伝 俵屋宗達筆《老子図》日本・江戸時代 17世紀 「たらしこみ」技法により、牛の短い毛に反射した光のムラを表しているようにも見える
狩野尚信筆《山水花鳥図屏風》日本・江戸時代 17世紀 狩野探幽の弟で、同じく江戸幕府の行絵師だった尚信が、中国からもたらされた水墨技法の中でもっともラフなの技法で描いた
 
曾我宗庵筆《鷲鷹図屏風》日本・江戸時代 17〜18世紀
長沢芦雪筆《赤壁図屏風》日本・江戸時代 18世紀 岩山や樹木の奇抜な形態、奔放な水墨技法に蘆雪に個性が発揮されている

一方、白描は墨の線のみで描くもので、水墨が多用する「にじみ」や「ぼかし」は用いられない。その発生は水墨画より古く、中国・漢時代にすでに描かれ、その後、洗練が加えられていった。日本には奈良時代にもたらされ、平安から鎌倉時代にかけて仏像図像、物語絵巻に優れた成果を残している。

江戸時代のやまと絵の画家たちも、『源氏物語』や『伊勢物語』を題材に白描画に取り組んだ。近世の日本では金、墨の濃淡や抑揚のある線なども導入して、表現の幅を広げていった。


白描画のコーナーでは、『源氏物語』や『伊勢物語』を描いた屏風や画帖に加え、復古やまと絵派の画家・冷泉などによる逸品が並ぶ。