「公共の場での授乳」論争はママの相談に25年余り乗ってきた【母乳110番】でも話題になったとか。

【母乳110番】代表で、母乳育児書のロングセラー『おっぱいとだっこ』等の著者・竹中恭子さんに、問題の背景と子育てしやすい社会を実現するヒントを聞きました!

トラブルになりやすいママ、傷つきやすいママがいる?あなたはどのタイプ?

――レストランで授乳をしたママに対して周囲への気遣いを求める新聞投稿がきっかけとなり、さまざまなメディアでも取り上げられた「公共の場での授乳」問題。

竹中さんは【母乳110番】代表として、また相談員として、ママたちのリアルに25年余り向き合い続けていらっしゃいますが、今日は母乳育児中のママのひとりとして聞かせてください。

「お出かけ先で、うまいタイミングで授乳できるかな」と、外出前はいつもドキドキしてしまうのですが、そんな母親は私だけなんでしょうか……。

竹中恭子さん(以下、竹中):【母乳110番】でも、相談員のママたちの間で今回の一件は話題になりました。

一人のママが、「バギーの扱いとか駅や電車での子連れの態度もそうだけど、傷ついているのは公共の場でのふるまいを“失敗しちゃったママ”、“不慣れなママ”なんじゃないかな」と言い出したので、「え、どういうこと?」と聞くと、

「“難なく切り抜けることができるママ”と“開き直って周囲の目を気にしないママ”は、そこに入らないわけよ。

だって、例えば全然肌が見えない授乳服を着るなり器用に隠すなりができる慣れたママは周りの風景に溶け込んでいるから、目立たないし話題にもならないワケだし、開き直るママは他人が何を言おうと気にしないワケでしょう?

話題になるのって『迷惑を掛けちゃいけない』と思い詰めて一生懸命授乳室を調べたり、混雑した時間帯を外そうとしたりしたけれど『でもこの時間しか病院の予約が取れなかった』とか『授乳室が入っている駅ビルがない方の改札から降りてしまった』とか『パパが休めなくて上の子を連れて混んでいる時間の電車に乗らざるを得なくなった』とか…。

つまり、何らかの理由があってトラブルの場に身を置かざるを得なくなったママで、しかもスマートに切り抜ける技もない、子連れ外出の初心者ママ。つまり“失敗しちゃったママ”なんじゃないかな」

と言うんですね。すると、ほかのママも次々と、

「うん、私もそうだと思う。双方トラブルに感じたからこそ話題になるワケで、『迷惑です』と言われた本人もショックを受けるし、世間も騒ぐんだよね」

「でもさ~。子連れでの外出って、ウルトラCみたいに高難度なところがあるから、“失敗”って言い方は酷だと思うよ」

「そうそう!私なんて、子連れの外出はイヤな思い出しかないよ~。駅の階段では後ろを歩いている人に舌打ちされるし、バスの運転手に嫌味を言われた時は涙が止まらなかったし」なんて、堰を切ったように語り始めたのです。

メンバーのひとりが、「でも知らない人が子どもをあやしてくれたり、楽しい思い出もあるでしょ?」と尋ねてみたのですが、

「まったくないわけじゃないけど、圧倒的にイヤな思い出の方が多い!それに印象がキョーレツ!」という答えが、残念ながら多数派でした。

そうなんです。都会では特にかもしれませんが、たしかに私自身の経験から考えても、子どもを連れていてイヤな目にあう体験、多かったです。最初は納得がいきませんでした。

「どうしてこんな目にあわなくちゃいけないの?子どもを育てているだけなのに!」と思いました。とても傷つきました。

でも今はどうしてそうなったのか、分かる気がします。

それはたぶん私が「公共の場」で、周りに溶け込めなかった“不慣れなママ”だったから。都会の人の流れの中を上手に動くことができず“失敗しちゃったママ”だったから、なんですね。

――竹中さんや【母乳110番】の相談員の方々のような、いわゆる「子育ての大先輩」の皆さんにも、そんな時代があったんですね。自分だけじゃなかった、と思えてちょっぴりホッとしました(笑)

竹中:子育ての“大先輩”だなんて言われちゃうと、ビミョーな感じですけど(笑)

でもそこにひょっとしたら、この問題の背景を読み解くヒントがあるのではないでしょうか。

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