本体+左右コントローラーを一度に充電できる「Anker Charging Dock for Oculus Quest 2」。Oculus Readyの認証も受けている

【木村ヒデノリのTech Magic #054】 「Oculus Quest 2」の登場でVRがグッと身近になった。解像度は初代機の1.5倍に向上し、フラッグシップ機のスペックを持ちつつ価格はエントリーモデル並みの3万7180円とするなど、「VRをはじめるならこれ!」という決定版を出してきた印象だ。しかし、VRを定期的に楽しむためには別のハードルがあった。それは「充電」だ。 通常のゲーム機と違い、VRは本体+左右コントローラーの三つを充電しておかなければならない。こうなるとどれか一つの充電が切れているだけでも使用できなくなる。また、置き場所にも困る。「Anker Charging Dock for Oculus Quest 2(以下、Anker Charging Dock)」はこうした問題を一気に解決してくるうえに、従来のOculus Quest用充電製品のデメリットも補ってくれる製品だった。

使い勝手を考えると非常に重要な「充電」という壁

前述したとおり、VR機器を購入する際に見落としがちなのが充電方法だ。通常どのVRヘッドセットでも本体は充電式、左右のコントローラーは電池駆動となっている。経験上、本体は有線接続で常に充電しておいたとしても、コントローラーが電池切れになっていることが多い。「その都度新しい電池に入れ替えれば良いのでは?」と考える方もおられるかもしれないが、実際には使いたいときにパッと使えないストレスというのは相当なもの。VR機器を使わなくなる1番の理由に上がってきてもおかしくないくらいやる気を削がれるのだ。

こうした問題を解決するために、Anker Charging Dockには独自の乾電池と蓋が付属している。初代Oculus Quest用に作られたCharging Dock(DAZED社製)では接点が下の方にきており、チャージできているという確実性が低かった。

対してAnker Charging Dockは寝かせて置くような構造になっており、ドックにセットしただけで100%充電がされているという信頼感がある。少しの差だが、毎回常に充電ができているという信頼感があるだけで機器を使用する頻度は上がる。

本体も本来USB-Cコネクタで接続する部分に専用のアダプタが用意されており、ドックに置くだけでマグネットがコネクタをつなぎ、充電が開始される。これもDAZED社製の挟み込む形式よりも優れており、総じて信頼性が増しているのには好感が持てた。

このように「置くだけで確実に充電されている」という信頼性が、他社製チャージャーよりも増しており、いつでも使えるようになったところはかなりの進化と言っていいだろう。充電関連のプロダクトで実績のあるAnkerが作った製品というのもこれを後押ししてくれる要素だ。

収納場所の問題も同時に解決してくれるのが良い

充電問題と同時に困っていたのが収納場所だ。意外と嵩張るヘッドセットとコントローラーだが、Anker Charging Dockに置くだけでスッキリと陳列できるのはかなりのメリット。本来ならケーブルも相まってごちゃっと見えがちだが、ドックを使うとデスク上においた場合でもスッキリと見せることができる。

さらに常時充電もできるのだから、これ以上のソリューションはないだろう。筆者も毎日使っているが、ドック無しで使うよりも明らかに使用頻度が上がっているし、使い終わったらピシッとおさまる場所へ置くだけというのがなんとも心地良い。

しっかりと考えたいスペックとユーザー体験のバランス

ガジェットはとかくスペックのみに注目しがちだが、毎日使うものであればそれをどう使うか、という経過も考えないと本末転倒になる。毎日使うものだからこそ、どう使うか、という部分が重要。今回で言えば、使いたい時には常に満充電、収納も即時にできて散らからない、というのは必須だ。そういった意味でAnker Charging Dockは非の打ち所がない。

特に充電の意味ではサッと置いただけでほぼ100%充電開始してくれるというのが何より一番便利。日本のユーザーはこういう体験が当然だと思っているかもしれないが、先進のガジェットといえば海外製となってきた昨今、一考の余地がある。筆者はDAZED社製のものも含め、どちらも便利なのではないかと感じて購入したが、実際はかなりの差があった。毎日使うようなものには特に顕著に影響すると思うので、「ユーザー体験も考慮した最新のガジェット」という選び方が今後最新ガジェットの指標になるのではないだろうか。(ROSETTA・木村ヒデノリ)

■Profile

木村ヒデノリ

ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。

普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で1歳半の娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。

【新きむら家】

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