有機ELテレビは伸びが続いている

コロナ禍の巣ごもり特需で売れたカテゴリーのひとつにテレビがある。もともと地デジ化の2011年前後に購入したテレビの買い替え需要が活発化しつつあった。そこへ外出自粛。家で過ごす時間が増えた結果、テレビが売れた。特に昨年の5月~12月あたりまでの間は例年にない売れ行きを示した。最初に伸びたのは液晶テレビだったが、あとから追いかけてきた有機ELテレビは液晶を凌駕する勢いで売れ続けている。販売台数構成比こそテレビ全体の1割前後とまだ少数派。しかし19年11月以降、ほぼ毎月前年の販売台数を上回り続けている。唯一前年を下回ったのは2020年9月。前年の9月に起きた消費増税前の駆け込み購入の反動減という特殊事情があった月だけだ。

有機ELテレビの平均単価(税抜き、以下同)はこの11月現在で21万2500円。同じサイズ帯の液晶テレビの平均単価11万9300円と比べると2倍近くも高価だ。それでもなぜ伸びているのだろうか。旅行も行けずイベントも中止、外食もままならなかった時間を取り戻すべく、一点豪華な消費を楽しむ「リベンジ消費」が広がっているという。有機ELテレビはそうした消費行動の受け皿にもなっているようだ。せめてテレビぐらいはより美しい映像が楽しめるものを、と考える人たちが、少々値の張るテレビでも、ちょっとした贅沢として選択している。

有機ELテレビのサイズは限られている。日本で売られているのは48型、55型、65型、77型、83型、88型の6サイズのみ。11月の実売データで、販売台数が最も多かったのが55型で47.9%。有機ELテレビでおよそ半数を占める。次いで多いのが価格が手ごろな48型。3番目がちょっと大きめの65型で20.7%だった。77型以上になると販売台数は2.5%までガクンと落ちる。平均単価を見ると、一番安いのが48型で14万700円。次いで55型で20万1300円、65型になると30万2000円と価格が上がっていく。77型以上は51万5500円だ。このところ人気が盛り上がっているのが48型。昨年の春に登場し、徐々に構成比を伸ばしている。

有機ELテレビの販売台数ランキングTOP20を見ると、トップはソニーの55型「BRAVIA XR XRJ-55A80J」だ。6月発売のモデルで11.1%と唯一の2桁シェアモデルだ。55型としては価格がやや高めながらも堂々の1位。2位がシャープの「4K有機EL 4T-C48CQ1」。同社が有機ELテレビにAQUOSの愛称をつける前、昨年11月発売のモデルだ。価格も14万円を切るレベルまでこなれてきた。3位にソニーの「BRAVIA XR XRJ-65A80J」が入った。65型で30万円を超える価格だが、平均よりはやや安めだ。TOP20の中で最安はLGエレクトロニクスの「OLED TV OLED48CXPJA」だった。昨年6月発売のモデルの48型で、TOP20の中では唯一10万円を切った。

まもなく年末年始の休暇に突入する人も多いだろう。この時期、なぜかテレビが壊れがちだ。見逃せない特番が目白押しで、さてと思った途端に映らなくるのは「あるある」。丸2年が経過しようとするコロナ禍生活。そろそろちょっと贅沢していいテレビに買い替えたいと考えるなら、ワンランク上のプレミアムな選択として有機ELテレビをおすすめしたい。(BCN・道越一郎)