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「ミステリーの女王」と呼ばれるアガサ・クリスティが、1934年に発表した名作推理小説を再映画化した『オリエント急行殺人事件』が12月8日から公開される。
トルコのイスタンブールを出発し、フランスのカレーへと向かう豪華寝台列車内で起こった密室殺人の謎を、名探偵エルキュール・ポアロが解き明かすというストーリーだが、列車には国籍も身分も違うさまざまな人々が乗り合わせていたという設定故、製作側にとっては多彩な配役が組めるところが利点となるし、見る側もそれを楽しむことができる。
シドニー・ルメットが監督した前作(74)では、ポアロ役のアルバート・フィニーを筆頭に、リチャード・ウィドマーク、ローレン・バコール、ショーン・コネリー、イングリッド・バーグマン、バネッサ・レッドグレーブら、そうそうたる顔ぶれのスターたちが、大雪で停車した列車内で、優れた舞台劇を思わせる格調高い演技合戦を繰り広げた。
今回も、ポアロ役で監督も兼任したケネス・ブラナーをはじめ、ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、ジュディ・デンチ、ペネロペ・クルス、デイジー・リドリー、ウィレム・デフォーら、新旧の俳優たちが顔をそろえた。中でも、前作のウィドマークに変わって、“被害者”のラチェットを演じたデップのうさんくささが際立っている。
監督のブラナーは、65ミリフィルムで撮影し、画面に奥行きを与えたほか、キャラクターの設定を少々変え、乗客を外に出すなど、新たな趣向を取り入れ、初めて見る者にはミステリーの醍醐味(だいごみ)を、すでに結末を知る者には演者の異なる古典劇を見るような楽しみを与えてくれる。
前作に比べると、全体的にスピーディーで、雰囲気も軽くなった印象を受けるが、それこそが“今の映画の証し”ということなのかもしれない。どちらの展開や配役が自分の好みかと、見比べてみるのも楽しい。(田中雄二)
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