「コロナ禍」も今年3月で3年目に入った。在宅勤務制度の導入にあわせ、月額固定の通勤手当(定期代)の支給を廃止し、オフィスに出社した日数に応じて実費を支払う「交通費実費精算」制度を導入した企業に勤務する場合、差額を自己負担で支払って割引率の低い1カ月の通勤定期券を購入するよりも、出社のたびに、交通系ICカードで運賃を支払ったほうが月当たりの支払総額が少なくなるケースもある。定期券を買わなくなった電車通勤の会社員にとって、交通系ICカードと連動するポイントサービスの使いこなしは今すぐ実行できる節約の第一歩だ。
au PAY残高→モバイルSuicaで最大ポイント三重取り!
交通系電子マネーSuicaのモバイルサービス「モバイルSuica」向けに3月22日、KDDIはスマートフォン(スマホ)決済サービス「au PAY」のAndroid版アプリでSuicaの新規発行やチャージが可能になるサービスを開始した。20年5月にスタートした「楽天ペイのSuica」と同様、発行済みのモバイルSuicaと連携可能で、au PAY残高からモバイルSuicaへチャージすると、チャージ金額200円につき1Pontaポイントがたまる(最低チャージ金額1000円から)。チャージ時のポイント還元率は通常の買い物と同じ0.5%。つまり、au PAYカードなど、au PAY残高へのチャージ時にチャージ額の1%のポイントがたまるクレジットカードでau PAY残高にチャージすると、常時合計1.5%還元となる。
Pontaポイントは、「ポイントチャージ」としてau PAYアプリ上でau PAY 残高に1ポイント1円相当として100ポイント単位で交換できるので、今回のau PAYアプリの機能強化によって、Pontaポイントは間接的にSuicaにチャージすることが可能になった。交換のひと手間が加わるものの、JRE POINTアプリから申請してポイントのままSuicaにチャージできるJR東日本グループの共通ポイント「JRE POINT」、Android版楽天ペイアプリ経由でポイントのままチャージできる「楽天ポイント」と同様、買い物利用だけではなく、「ポイント交換で電車・バスに乗れる共通ポイント」にランクアップしたのだ。
楽天ペイ、au PAYに続くのは?
モバイルSuicaにチャージできる共通ポイント(JRE POINT・楽天ポイント)、au PAY残高をはじめとする各種ポイントから交換したプリペイド残高は、さかのぼると各種ポイントプレゼントキャンペーンの当選分やキャッシュレス決済サービスなどの利用に応じた還元分。もし、モバイルSuicaへのポイントチャージだけで毎月支払う交通費相当額を充当できれば、モバイルSuicaで乗車する公共交通機関は実質無料。Androidスマホユーザーは、Android限定のこのお得な仕組みを利用しない手はないだろう。
なお、首都圏の私鉄各社のポイントサービスは「登録済みPASMO限定」となるため、鉄道利用や沿線の対象施設の買い物に応じて、いつでもどこでも各ポイントを最大限ゲットしたい場合は、モバイルSuicaとPASMOの使い分けが必須となる。数ある交通系電子マネー(カード・モバイル)のなかで、au PAYとの連携を開始したモバイルSuicaの優位性が高まる一方で、アプリを使ったポイントから交通系電子マネーへのチャージは、Suicaばかりではなく、PASMOなどにも拡大してほしいという要望が高まりそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)