BD・HDDレコーダーの苦戦が続いている。昨年3月、販売金額前年比が100.9%を記録して以来、12カ月連続で販売台数、金額とも前年割れが継続。この3月の前年比は販売台数が76.3%、販売金額が77.1%。そろって2割以上の大幅な前年割れを喫している。回復基調にあるテレビとは対照的だ。全国家電量販店やネットショップなどの実売データを集計するBCNランキングで明らかになった。
レコーダーのこうした動きにはいくつかの要因が考えられる。まず、テレビ本体への録画機能の搭載だ。現在、販売台数で99%以上のテレビが録画機能を搭載している。単に放送番組を録画するだけならテレビ単体、あるいは外付けのHDDを買い足すだけで実現できるようになっている。TVerやNHKプラスのような地上波の見逃し配信が普及してきたこともレコーダー販売にはマイナスの要素だ。加えて、YouTubeやNetflixのようなネット動画サービスの台頭も影響している。放送波コンテンツの視聴時間が短くなることで、テレビ放送の相対的価値が低下している。レコーダーの不振の一因でもある。
メーカー別ではパナソニックが強い。安定的に35%前後のシェアを維持している。3月も34.3%でパナソニックがトップだ。このところシェアを上げてきたシャープが27.5%で2位。次いで20.3%のソニー、17.9%のTVS REGZAと続く。しかし、メーカー別の販売台数前年比では3月、パナソニックは66.9%と3割以上売り上げを落としている。2位シャープも83.6%と2桁割れ。ソニーも70.7%と大幅マイナスだ。唯一TVS REGZAは95.2%と1桁には収まっているものの、やはり前年割れであることには変わりない。
テレビには、4Kに加え8Kという選択肢もある。有機ELテレビやミニLEDテレビといった、映像の美しさを売りにする新たなカテゴリーも堅調だ。じわじわと大型化も進んでおり、平均画面サイズは42を超えている。この3年で平均単価は16.1%上昇した。一方でレコーダーには機能での新しい要素が少なく、平均単価は10.0%の上昇にとどまっている。テレビ放送に分が悪い外部環境もあり、レコーダー市場の回復には、新たな存在意義を創出しなければならない。クラウドとの連携を通じて、家庭にあふれるデジタルデータの交通整理や一元管理などホームサーバー的な要素を強化して、レコーダー自身の「テレビ離れ」も必要になりそうだ。(BCN・道越一郎)