富士通が子会社であるPFUをリコーに売却する報道が2022年4月25日にあった。富士通は検討については認めたものの、決定した事実はないと発表。そこで家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」を使い、07年から21年までの15年間のスキャナー市場規模推移と、20年1月以降のメーカー別販売台数シェアの推移についてみていく。

スキャナーの市場規模推移をみるため、07年一年間の販売台数を「100.0」として指数化したところ、10年-14年に市場は拡大したことが明らかとなった。これは、ちょうどタブレット端末が登場し、電子書籍の「自炊」に注目が集まり、シートフィード型スキャナーの販売台数が増加したことに起因する。しかし、著作権などの問題や電子化する作業の手間がかかることから、「自炊」は徐々に下火になっていった。ビジネスでは名刺などをスキャンするニーズもある。一方、コンシューマー市場ではスキャナー機能を搭載したインクジェットプリンターの普及などが、単機能スキャナーの需要を押し下げ、21年現在では07年の6割程度まで市場は縮小した。

次に、メーカー別販売台数シェアをみていくと、PFUは20年1月以降4割以上を占有し、キヤノンやエプソンを大きく引き離している。しかも21年後半から、シェアは右肩上がりで推移している。キヤノンとエプソンはシェアを落としつつも2位争いを展開し、ブラザーは2%-4%と大きな変化はない。今回の報道がPFUのシェアに影響を与えるかどうかは、今のところ計り知れない。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。

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