通話にはやっぱりマイクアーム付き片耳タイプのヘッドセットがオススメ

ついにわが社のオフィスから固定電話機が消える。テレワークが増え、社員それぞれの机上に置いた電話機の利用頻度は激減。逆に何かと不都合が目立つようになってきたからだ。代わりに導入したのがクラウドPBX。代表番号にかかってきた電話を、インターネット回線経由で各社員のスマートホン(スマホ)やPCに無料で転送できる。発信は会社の固定回線経由になるため、通話料の節約にもなる。社員同士の「内線」は無料。設定済みのスマホやPCとインターネット回線さえあれば、社員がどこにいても受発信が可能だ。

テレワークの普及は、コミュニケーションのスタイルを随分変えた。オンライン会議は当たり前。ヘッドセットで会話をすることも増えた。ヘッドセットの利点は両手が自由になることだ。PCでエクセルのシートを広げながら会話するような場面では、とても楽で助かる。最近では、スマホに電話がかかってきても、ヘッドセットに切り替えて受けるほどだ。特に資料を参照しながら込み入った話をする場合には、必須のフォーメーションだ。

さて、ここからが本題。ヘッドセットだ。しかも、片耳タイプでアームの先にマイクが付いたタイプをお勧めする、という話だ。例えば、PCで電話を受けるためには、ほとんどの場合何らかのヘッドセットを使う必要がある。その際、是非検討してほしいのがマイクアーム付き片耳タイプのヘッドセット、というわけだ。

現在愛用しているのは、サンワサプライが扱っているMM-HSU03BK。コールセンターなどで採用されているモデルだ。メーカーは香港のaccutone。コールセンター用のヘッドセットなどをつくる老舗だ。軽くて疲れにくい。持ち運び用とオフィス用で同じものを2つ購入した。USB Type A端子でPCに接続して利用する。USB Type Cジャック付きのスマホにも接続できるよう、Type AとType Cに対応する変換コードを結束バンドでくくりつけている。

マイクアーム付き片耳タイプのヘッドセットをオススメする理由として一番大きいのは、マイクアームの存在だ。マイクセッティングの基本は距離。口元から2~3cmと、ちょうどいい距離を保持できるため音質が良くなる。どんな体勢でもマイクと口の距離は変わらず、相手に確実に声を伝えることができる。さらに、マイクが近いという心理的な安心感もある。この安心感、というのが意外に大事だ。

その昔premini(プレミニ)という携帯電話があった。ソニー・エリクソンがNTTドコモで展開していた。初代モデルは2004年7月発売。手のひらににすっぽり収まる、高さ約90mm×幅約40mm×厚さ約19.8mmの超ミニサイズのケータイだ。これが、どうにも使いにくい。要因はマイクだった。本体を耳に当てると、耳から90mmのところ、ちょうど頬のあたりにマイクが来る。口元からはかなり距離があり、これがとても不安だった。性能的にはしっかり声を拾えていて、問題なく使える。わかってはいても、本当に声が相手に届いているのか、とても不安で使いにくかった。

ヘッドセットとして、有線イヤホンにマイクが付いたイヤホンマイクを採用するのもいい選択だ。ただマイクが、ちょうどあごの下あたりに来る感じ。これも何となく不安になる。機能上はそのままで十分きれいに声を拾えるにも拘らず、どうしてもケーブルを手に持って口にマイクを近づけたくなってしまう。最近では完全ワイヤレスイヤホンに仕込まれたマイクを使って通話する人も増えた。マイクはイヤホン本体に内蔵されているので、口元からの距離はさらに遠ざかる。それでもしっかり声を拾えるというのは素晴らしい。しかし、これはこれで、ちょっとした問題がある。ぶつぶつと独り言を言いながら歩く不気味な人かと思いきや、完全ワイヤレスイヤホンマイクで通話中ということは、よくある話だ。

さすがに歩きながら使うには大げさすぎるが、屋内で使うなら、マイクアームの先にマイクが付いた昔ながらのヘッドセットだ。不安も不気味さもなく、すがすがしく通話に集中できる。両耳ではなく、片耳タイプをお勧めするのにも理由がある。周囲の音にも気を配ることができるため、社内での利用には特に便利だからだ。知らない間に話す声が大きくなってしまう「イヤホンボイス」問題も回避できる。確かに両耳タイプのヘッドセットは集中できる利点があるものの、周囲からのコミュニケーションを拒絶している感が強い。ちょうどいいのが片耳タイプというわけだ。ヘッドセットが必要になったら、是非検討してみてほしい。何より、昔から業務用ヘッドセットの定番でもある。カッコイイ。まあ、そう思うのは自分だけかもしれないが。(BCN・道越一郎)