先日、「販売台数減少は平均単価上昇が要因か?ノートPC市場」という記事で販売台数と平均単価の関係について書いたが、今回はその平均単価上昇の要因を探ってみた。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」を用いて、ノートPCを搭載CPUでハイエンド、ミドルエンド、エントリーの3つに区分し、販売台数構成比や平均単価の推移をみていく。

搭載CPUを基に3区分した定義を説明していく。「ハイエンド」はIntelのCore i9・i7、AMDのRyzen 9・7、AppleのM1シリーズ・M2、「ミドルエンド」はIntelの Core i5・i3、AMDのRyzen 5・3、「エントリー」はIntelのAtom・Celeron・Pentium・Core Mシリーズ、AMDのAthlon・Aシリーズ・Eシリーズなどを搭載しているモデルとしている。

まず販売台数構成比は、2019年8月から20年10月までハイエンドが4割、ミドルエンドが3割台半ば、エントリーは2割台半ばで、ほぼ横ばいに推移していた。しかし、20年11月以降、ハイエンドの比率は恒常的に5割を超えて推移、その後は6割を超える月も出てきた。これはアップルがM1搭載の「MacBook Air」と「MacBook Pro」を発売したことが要因だ。同時期のミドルエンドの構成比は、2割台前半から1割台後半に減少、エントリーは21年10月を過ぎた頃からほぼ1割台で推移するようになった。

平均単価の推移でも、変化があらわれたのはやはり20年10月だった。ミドルエンドの平均単価は12万円前後、エントリーも8-9万円前後で推移していたが、20年10月を過ぎると共に1-2万円ほど下落した。ハイエンドでも一時的に14万円台から13万円台へと下落したが、ほぼ一年後の21年9月ごろから上昇に転じ、22年7月には15万円を超える水準にまで達した。21年9月以降は市場全体の平均単価も上昇に転じており、ハイエンドの平均単価の影響を受けていることは明らかだ。

この19年から22年にかけ、世界的な半導体不足によりノートPCの単価も上昇している。今回の分析で、Core i9・i7やRyzen 9・7といったハイスペックCPUを搭載したノートPCの販売台数構成比増と平均単価上昇が、市場全体の平均単価上昇に直結していることが分かった。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。

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