スマートフォン(スマホ)の普及で規模の縮小が続いているコンパクトデジカメ(コンデジ)市場。大手各社はミラーレス一眼への注力度合いを高めており、コンデジの新製品投入ペースは著しく下がった。そんな中、かつて世界的なフィルムメーカーとして名を馳せたKODAKのブランドを冠する製品が意外な躍進を遂げている。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」を基に、コンデジ市場の動向をまとめた。

21年は5%前後で推移していたKODAKのシェアは、じわじわと増加していき、22年3月に9.7%まで上昇。4月は「PIXPRO FZ43」の販売台数が伸びたことに加え、ソニーの販売台数が急減した影響もあり、シェアは16.4%まで拡大した。7月は一旦後退したものの、8月は新製品「PIXPRO FZ55」の発売が奏功して18.1%まで伸長。11月には過去最高の24.7%を記録し、初めてメーカーシェアで首位を獲得した。

KODAK躍進の理由は平均単価の安さだ。キヤノンやソニーなどの上位メーカーは低価格帯製品の取り扱いを縮小。高倍率ズームを備えたものや動画性能に特化したものなどに絞り込んでおり、直近の平均単価は3万円から4万円前後だ。一方KODAKは、1万円から1万5000円のモデルを展開。販売台数は2年余りで7倍超まで膨らんだ。手元にスマホがあっても、手軽に使えるコンデジが欲しいというニーズは、小なりといえど残っている。今となってはニッチともいえる需要をすくい上げることで、競合他社があきらめ、空白ができたポジションにうまく収まったと言えるだろう。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。

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