家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」を使い、2020年1月以降のモバイルバッテリ市場動向を調べた。22年下半期から販売数は回復。この3年間で大容量化はあまり進んでいないことが明らかとなった。
モバイルバッテリ市場における2020年1月の販売数量を「100.0」として、指数を算出した。新型コロナウイルスによる人流の抑制が始まった20年2月以降、指数は落ち込み始め、緊急事態宣言が発令されると急減速。同年4月は29.8、翌5月も30.5と市場規模は3分の1まで縮小した。しかし、7月に「Go Toトラベル」の開始と共に若干押し戻す。その後21年9月までは50-80の水準を行き来する状態が続いた。翌10月に海外からの入国者の隔離が緩和されると、呼応するようにモバイルバッテリの指数も右肩上がりで回復。同年12月には瞬間風速的に基点を上回る102.7を記録した。政府が経済を回す施策に舵を切ったこともあり、モバイルバッテリの販売も戻った。22年7月以降から指数は常に100を超え、22年12月は3年で最も高い水準となる133.4に達した。
このように指数が推移する中で、モバイルバッテリの大容量化はあまり進んでいない。21年から22年で、5000mAh未満、5000-10000mAh未満、10000-15000mAh未満、15000mAh以上の4つに分けて構成比を算出した。5000-10000mAh未満がボリュームゾーンであることに変わりないが、10000-15000mAh未満は3割台前半から後半まで緩やかに構成比が増加している。5000-10000mAh未満と10000-15000mAh未満の平均単価差は1000円にも満たないが、後者の比率はなかなか増えないのが実状だ。
海外からの旅行者も徐々に戻ってきており、今後人の流れが回復することは想像に難くない。そうした動きと連動して、モバイルバッテリ市場も活気づくと考えられる。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
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