現在、携帯オーディオ(DAP)市場ではソニーがシェア9割を占めている。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」でDAPの市場規模と価格帯の変遷をみていく。
2022年5月10日にアップルのiPod touchが販売終了となった後、DAP市場はソニーの独占市場になっており、23年1月におけるソニーのシェアは9割を超えた。20年1月の販売台数を「100.0」として指数を算出したところ、市場規模は月を追うごとに縮小。23年1月は32.0と、3年で市場規模は3分の1まで落ち込んでいる。しかし、3月と12月に販売台数が増える周期的な変動は相変わらず出現していることがデータから明らかとなった。
直近の価格帯販売台数構成比を算出したところ、22年1月から3月までは1.0万円未満が15%前後、1.0-1.5万円未満が3割程で推移しており、1.5万円未満がほぼ半数を占めていた。同年5月にはiPod touchの販売終了に伴う特需が発生し、2.0-2.5万円未満と3.0万円以上の比率が急増。その後、1.5-2.0万円未満、12月には2.5-3.0万円未満の構成比が増加した。約3年ぶりの新製品、NW-A300シリーズ(販売価格およそ4-5万円)とNW-ZX707(同およそ9万円)が発売になったことをきっかけに、23年1月は3.0万円以上の構成比が34.6%まで達し、高価格帯へのシフトが鮮明だ。
以前から言われていることではあるが、スマートフォンの普及やサブスクリプションサービスの拡充に伴い、DAP市場は縮小しており、今後もこの傾向は続くだろう。DAP市場は、コンポーネントステレオのように高単価の製品が市場を支えていく構造に変化しつつある。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
<% bcn_video1 %>