パナソニックホールディングスのマニュファクチャリングイノベーション本部は6月27日に、パナソニック エコテクノロジー関東および三菱マテリアルとの協力によるサーキュラーエコノミーの取り組みとして、エアコンの分解工程にて室外機をロボットで分解する「エアコン外装自動分解設備」と、分解に必要な情報を蓄積する「分解データベース」による、「エアコン室外機外装自動分解システム」を開発したことを発表した。
リサイクル工場の「分解工程」を省人化・自動化する
一般家庭や事務所から排出された使用済みの家電製品(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)から、有用な部品や材料を回収して廃棄物を減量するとともに、資源の有効利用を推進するための「家電リサイクル法」が2001年4月より施行されて以降、リサイクル工場には年間369万台のエアコンが持ち込まれている。
リサイクル工場に持ち込まれたエアコンのうち、室外機は熱交換器、コンプレッサー、制御基板といった部品を手作業によって分解・回収した後に、シュレッダーによる破砕および素材選別が行われる。エアコン室外機は、屋外に設置されているため汚れやサビなどの付着が多いほか、メーカーによってサイズやデザインなどが異なっていることから、これまでは分解工程の自動化が困難だった。
今回、開発された「エアコン外装自動分解設備」では、AIを活用した認識技術と正確な位置決め制御および人の手技を再現するロボット制御技術を用いて、エアコン室外機外装のビス外しとカバー外しを自動で行うとともに、パナソニック エコテクノロジー関東および三菱マテリアルと協力して、分解ラインに投入されるエアコン室外機の情報を型番ごとに蓄積し、設備の稼働率向上といった分解工程自動化における基盤となる「分解データベース」を構築している。
「エアコン外装自動分解設備」は、エアコン室外機をカメラで撮影して汚れやサビがあるビスをAIを用いて正確に見つけ出し、ドライバーを備えたロボットアームでビスを外す。その後、人が行う動きを再現する把持ハンドでカバーの嵌め込みを外して分解することで、分解工程の一部の自動化を実現した。
「分解データベース」では、三菱マテリアルのAI-OCR技術によってラベルから読み取った型番と、自動分解設備から取得したエアコン室外機のビス本数や位置など分解に必要な情報を紐づけて蓄積し、同データベースに登録済みとなったエアコン室外機では、ビスの誤認識によるロボットの無駄な動きを削減することで、分解効率の向上を可能にする。
「エアコン外装自動分解設備」を使い続けていくことによって、「分解データベース」への登録機種数が増え、分解動作が進化していくシステムとなっている。