無線LANルーター市場が苦戦している。市場規模は過去3年で6割程度にまで縮小した。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」から明らかになった。

2020年6月の販売台数を「100」とした指数は、直近23年6月に「58.1」と過去3年で最低を記録した。新生活需要で市場が盛り上がる3月も年々売り上げが鈍化。21年の「129.9」をピークに、22年は「113.5」、23年は「96.4」と右肩下がりだ。

不調の主な要因は、コロナ禍で起きた巣ごもり需要の反動減。頼みの綱はWi-Fiの新規格だ。Wi-Fi 6/6Eは通信速度の速さや安定性、同時接続数の多さなどが特徴。無線LANルーターだけでなく、スマートフォンやPCでも対応製品が増えてきた。一定の買い替え需要は喚起できている。しかし現状では、落ちた勢いを取り戻すほどのインパクトはない。まもなく登場するWi-Fi 7では、さらなる高速通信と低遅延の通信環境を実現できると注目されている。こうした新規格のメリットをユーザーにわかりやすく訴求できれば、買い替えが進み、市場回復にもつながっていくだろう。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。