コロナ禍以降、半導体の需給バランスの崩れに伴う価格高騰や需要減により、ノートPC市場は苦戦を強いられていることが、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」で明らかとなった。

ノートPC市場における前年同週比を算出した。2023年1月1週(01/02-01/08)から28週経過したが、そのうち前年を上回ったのは5回に過ぎない。価格高騰や需要減の影響が強い。また、コロナ感染拡大前の20年1月、Windows 7のサポート終了によって買い替え特需が発生したことも、現在の需要減につながっているとみて良さそうだ。

上位5社で、同様に前年同週比を算出したところ、メーカーごとに異なった動きを示した。まず、ASUSは前年比69.8%と他の上位メーカーよりもマイナス幅が大きい。直近では、ポータブルゲーミングPCの「ROG Ally」が好調に推移していたが、07/11にmicroSDカードスロットが熱により不具合を起こす可能性があることを発表し、一時的に販売台数が落ちたことが挙げられる。次に131.5%と大幅に前年を上回ったアップルは、22年6月のM2チップ搭載MacBook Proの発売と同時に、為替レートを変更。実質値上げになり販売台数が減少した時期と比較しているため、大幅なプラスとなった。富士通は6月に消費者庁に景表法に基づく措置命令の影響もあってか、前年の4分の3にとどまっている。

ノートPC市場では、ポータブルゲーミングPCという新しいジャンルが立ち上がりつつある。しかし、ゲーミングPC市場は決して大きいとは言えないため、需要の喚起は限定的となるだろう。ノートPCにおける需要回復の兆しは今のところ見られない。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。