電子情報技術産業協会(JEITA)がまとめた民生用電子機器の2023年8月国内出荷実績が発表された。805億円の出荷額は2000年以降の8月として最も低い金額で、デジタル系民生機器は需要低迷からなかなか脱却できない状況だ。
映像機器の1月からの累計出荷金額は前年同期比87.5%
JEITAが集計している三つのカテゴリ別で8月の国内出荷実績をみると、テレビやブルーレイレコーダーなどの映像機器は382億円で前年同月比(以下、前同比)81.3%。アンプやスピーカー、ヘッドホンなどのオーディオ関連機器は63億円で同130.7%。カーオーディオやETC車載ユニットなどのカーAVC機器は361億円で同85.6%だった。
上記のとおり、オーディオ機器は前同比2桁伸長した。このところの製品価格上昇と出荷金額そのものが小さいことが、この2桁伸長の要因ではないかと考えられる。
1~8月の累計では映像機器が前年同期比87.5%で、オーディオ関連機器が同88.4%、カーAVC機器も同96.7%と3カテゴリとも前年同期実績を下回った。三つのカテゴリを合算した民生用機器合計の1~8月累計は同92.0%だった。
50V型以上の大画面テレビの構成比はテレビ全体の42.4%
8月の薄型テレビ全体の出荷台数は31万6000台で、前同比89.5%。1~8月累計でも前年同期比87.4%となっている。
画面サイズ別の出荷実績では、29V型以下が3万台で前同比74.9%。30~39V型は6万3000台で同105.5%と伸長した。40~49V型は9万台で同89.4%、50V型以上は13万4000台で同87.2%だった。
8月の薄型テレビのサイズ別出荷台数構成比を見ると、29V型以下が9.5%で30~39V型は19.9%、40~49V型は28.5%、50V型以上は42.4%。50V型以上の大画面テレビは1~8月累計で全体の39.2%を占めており、前年同期と比べて構成比は0.6ポイントアップし、緩やかではあるがテレビは大画面サイズにシフトしている
有機ELテレビの出荷台数は前同比72.0%
4K8Kチューナー搭載タイプの8月の出荷台数は19万5000台で前同比87.9%。1~8月の累計でも前年同期比87.1%で2桁減。出荷全体に対する同タイプの8月の台数構成比は61.7%だった。
また、有機ELテレビの8月の出荷台数は4万3000台で前同比72.0%。1~8月累計でも前年同期比82.7%と、前年比2桁減が続いている。
その他の製品を見ると、ブルーレイレコーダーの8月出荷台数は5万8000台で前同比83.9%。1~8月の累計でも前年同期比71.3%で、前年実績から大きく乖離している。システムオーディオは5万8000台で前同比96.9%。ラジオ受信機は5万8000台で同89.8%。ステレオヘッドホンは38万9000台で同101.5%と伸長したが、1月~8月累計では前年同期比84.0%だった。
テレビの新製品は高画質化やネット動画対応、スマホ連動など、本質機能の進化に加えて利便性や操作性を向上させた機能が盛り込まれている。製品としては進化しており、冷蔵庫や洗濯機などの大型製品と比べると決して割高とはいえない面もある。しかし、出荷にしても販売にしても低迷状態が続いている。
これまでテレビメーカーは製品を通して消費者ニーズを探り、需要を創出してきた。しかし、メーカー単独で今の低迷状態を打破するのは難しいのではないか。そんな考えも浮かぶほど現在の出荷状況は厳しい。