7月は猛暑でエアコンに代表される季節家電の販売が好調だった

経済産業省の商業動態統計調査で家電大型専門店の7月販売実績が発表された。7月の家電大型専門店の商品販売額は4463億2500万円で前年同月比(以下、前同比)105.0%。このところ前年同月実績(以下、前年実績)に届かない前年割れが4カ月間続いていたが、5カ月ぶりに前年実績を上回った。

カメラ類の販売額は4カ月連続で前年2桁増

3月決算が多い家電の大型専門店にとって第1四半期となる2023年4~6月の各月は前年割れで、第1四半期は前同比95.0%と低迷していた。しかし、7月は全国的に猛暑という季節要因と前年7月が低気温で販売不振だったこともあり、商品販売額は前同比105.0%と伸長した。

商品販売額は、AV家電と情報家電、通信家電、カメラ類、生活家電、その他の六つのカテゴリの合算で、通信家電とカメラ類を除く4カテゴリはさらに小分類がある。

7月の「AV家電」は前同比96.9%で、ビジュアル家電が同96.3%、オーディオ家電が同99.0%だった。減少率はこれまでよりやや改善されたが、まだ前年実績をクリアするまでには至っていない。

「情報家電」は前同比94.2%。5カ月連続で前年割れとなっている。小分類の本体は同93.3%で前月から一転、前年割れとなった。もう一つの小分類である周辺機器は同95.3%で前年割れは10カ月続いている。

「通信家電」は前同比98.4%で前年割れは5カ月連続。カメラ類は同115.1%で前年クリアは7カ月続いており、前同比2桁増も4カ月連続と好調をキープしている。

エアコンがけん引し季節家電は7カ月ぶりに前年実績クリア

「生活家電」は前同比112.5%で前年クリアは7カ月ぶり。生活家電は家事家電と調理家電、理美容家電、季節家電の四つの小分類で構成されており、いずれも7月は前年実績を上回った。

家事家電は前同比102.1%で前年クリアは2カ月連続。調理家電は同103.9%で、前年実績クリアは5カ月ぶりだ。理美容家電は同111.3%と前年実績クリアは10カ月連続で、前同比2桁増は2カ月連続。22年度の下期から販売は好調に推移している。

季節家電は23年1月から前年割れが続いていたが、7月は7カ月ぶりに前年実績クリアとなる前同比126.7%だった。量販店各社の月次速報を見ても分かるとおり、猛暑でエアコンの販売が好調だったことが前年実績クリアの要因だ。

「その他」は前同比99.5%で前年割れは3カ月続いている。小分類のうち、照明器具や温水洗浄便座、ヒートポンプ給湯器、太陽光発電などの住設家電は同97.2%で4月以降前年割れが続いている。

電池、管球、玩具、時計類、映像・音楽ソフト、酒類などのその他は同100.1%だった。

7月の生活家電の販売額は全体販売額の53.4%を占める

全体の販売額に占める6カテゴリの販売額構成比を見ると、7月は「生活家電」が53.4%を占め、家電大型専門店の販売額の2分の1以上が「生活家電」だった。AV家電は10.9%、情報家電は16.2%、通信家電は6.2%で、これら3カテゴリの構成比は4月から徐々に低下している状況だ。

家電量販店の月次度速報を見ると、7月の売上高はコジマを除く各社が前年実績をクリア。ほぼ業界全体の傾向を表しているといってもよく、7月の商業動態統計調査とも一致している。家電量販店の8月の売上高は全社とも前年実績をクリアしており、8月の商業動態統計調査も同様の傾向を示すものと思われる。