内蔵SSD市場において、2023年1月から1GBあたりの単価(以下、GB単価)の下落が続いていた。9月に入り底を打ち、10月に入ってからようやく上昇に転じていることが家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」により明らかとなった。
23年1月以降の内蔵SSDのGB単価の推移を追うと、1月3週に11.99円とピークに達した。その後下落に転じたものの、例年の動きとは異なり春先になっても上昇せず続落。世界的なPCやスマートフォン需要の減退により部材のだぶつきが大きな要因だ。8月3週の7.35円を底にようやく横ばいで推移。上昇に転じたのは9月4週からだが、いまだ戻りは鈍い。こうしたGB単価下落を背景に大容量化は進行。5月4週以降は常に1TBを超える水準で推移し、7月2週には1384.41GBと23年に入ってから最大値を記録した。その後大容量化は鈍化したが、10月4週も1116.74GBと依然として1TB超を維持している。
次に、内蔵SSDの種類別にGB単価を全体と比較してみる。M.2などのボード型とそれ以外の2.5"内蔵型等の2種類に分けた。まず、ボード型は全体に比べると1-2円高い水準で推移。一方、2.5"内蔵型等は2-3円安い水準だ。全体同様、1月3週をピークに下落に転じ、ボード型の最安値は8月3週の7.59円。2.5"内蔵型等の最安値は9月3週の6.83円だった。共にその後、GB単価は上昇に転じるものの勢いは鈍く、直近の10月4週はボード型が8.19円、2.5"内蔵型等は7.59円となった。
NANDメモリメーカーは生産調整を行うことにより、単価の下落をようやく食い止めた形だ。しかし、今後PCやスマートフォンの需要回復はあまり見込めず、減産の状態は続くと考えられ、メモリメーカーに取って厳しい状況がしばらく続きそうだ。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。