有線イヤホン市場において、「Apple EarPods with USB-C Connector」の販売増でアップルのシェア拡大に貢献していることが家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」により明らかとなった。
21年1月の販売数量を「100.0」とした有線イヤホン市場は、23年10月まで基点を一度も上回ることなく縮小している。もう少し指数の推移を細かくみていくと、22年4月までは80を上回る水準を維持できていたが、同年6月に77.0となったのち、80を下回る月が出始める。23年に入ると更に指数は低い水準で推移し、2月に70.6、6月は68.8まで落ち込んだ。その後10月は73.7と少し持ち直している。
23年10月時点の上位5メーカーを対象に、22年1月以降のシェアの動向をみていく。オーディオテクニカはほぼ16-18%、エレコムも14-16%の間で推移している。JVCケンウッドは22年1月時点では10%に達していなかったが、23年6月以降シェアを上げ、10月は12.0%まで拡大した。一方、ソニーは14.0%から11.0%へ1年10か月で3ポイント下落し、JVCケンウッドとは対照的な動きとなった。上位5メーカー中、最も変動したのはアップルだ。22年1月に12.4%だったシェアは半年後には8.8%まで下落、その後は緩やかに回復。23年10月は17.6%と前月から4ポイントほど上昇して首位になった。この動きは9月の、USB type-Cを搭載したiPhone 15シリーズと同時発売の「Apple EarPods with USB-C Connector」が要因。これがアップルのシェアの拡大につながった。
現在では何かと完全ワイヤレスイヤホンが話題に挙がっているものの、有線イヤホンがイヤホン全体の6割程を占めている。今後も有線イヤホンの需要は根強く残るだろう。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。