ここ3年でスキャナの市場規模は4割ほど縮小した。メーカーシェアではエプソンとPFU、キヤノンの3社で首位争いを展開していることが家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」により明らかとなった。
21年1月のスキャナの販売台数を「100.0」として指数を算出した。3月に106.3を記録したもののその後指数は急落、11月には57.8まで市場規模は縮小した。22年1月には85.2まで盛り返すも、半年で51.6まで落ち込むなど変動が激しい。23年6月には48.6と直近3年で最も低い値を記録したが、その後若干持ち直し、11月は66.7まで戻している。
一方、メーカー別の販売台数シェアにおいて21年から22年の間、エプソンとキヤノンに大差をつけ、PFUは首位を維持していた。しかし、22年4月に富士通がリコーに売却を検討していることが報じられ、9月にはリコーの完全子会社となったことも影響したのか、PFUのシェアは4割を下回る月が常態化していった。その隙を突くようにキヤノンが首位となった。その後もじわじわとシェアを上げていたキヤノンだが、23年4月の37.6%をピークにシェアは右肩下がりとなり、6月にはエプソンに抜かれた。PFUも徐々にシェアを回復し、23年10月に9か月ぶりに首位となった。11月は再びエプソンに抜かれたが、そのシェア差は2ポイント弱と僅差だ。
タブレット端末が登場し、書籍の電子化が進んだ。紙の書籍をスキャナで電子化する自炊がブームとなり、PFUはシェアを急速に伸ばしていった。その後も高いシェアを維持していたが、親会社が変わる試練を乗り越えつつ、再び首位争いを展開するまでに復活してきた。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。