昔から横浜市の住民税は高かったのか?

もう一つよくある噂だが、「昔から横浜市の住民税は高い」と言う方々も多いので、この点についても調査した。平成16年度から、すべての自治体において市区町村民税(均等割)は、標準課税金額の3,000円となっている。

そして、平成21年度から横浜みどり税が適用されるまで、横浜市の市区町村民税(均等割)について、超過税率はこれまで適用されておらず、横浜市の住民税は他の自治体と同金額であった。
しかし、平成15年度以前の全国の市区町村民税(均等割)は、

 1.人口50万人以上        (平成8年 年額3,000円)
 2.人口5万人以上50万人未満 (平成8年 年額2,500円)
 3.その他の市            (平成8年 年額2,000円)

上記の3区分で分けられて課税されており、横浜市は人口50万人以上の都市なので3区分の中で1番高い。そのことが影響して、当時2.3の自治体から転居されて来た際、納める税金が高いと感じて噂されるようになったのではないだろうか。

 

横浜みどり税って必要なの?

横浜市環境創造局みどりアップ推進課担当係長 河岸さん

では、横浜市民の新たな税金である「横浜みどり税」とはどういったものなのか。

この税金の導入経緯と利用方法等について、横浜市総務局主税部税制課企画係長 黒部さん、横浜市環境創造局みどりアップ推進課担当係長 河岸さんにお伺いした。


―横浜みどり税の導入経緯についてお教えください。

「1970年(昭和50年)45.4%あった横浜市の緑被率(一定面積の中に樹林等が生育している面積の割合)が2004年(平成16年)31%になり、何としても歯止めをかけて現状を維持していかなければならないということになりました。この緑を保護する事業には、概算予算として約110億円必要であり、国庫補助金等から差し引き約20億円分の新たな財源が必要と想定しました。横浜市長からの提案で議案に掛けられ、当時賛否両論はあったものの議会で認められ採択されました。

集めた税金の使途を明確にするため、他の財源と分け、税収相当額を『横浜市みどり基金』へ積み立てるかたちをとっています。主な取り組みとしましては、(1)樹林地を守る (2)農地を守る (3)緑をつくる の3本柱ですが、予算の約8割は緑地保全制度による地区指定拡大と買取りをメインとしています」

―初年度の決算資料の開示が無いのですが、実際の税金の使い道である成果等お教えください。

「決算資料に関しては、市全体の決算資料の一部としてお示ししていますが、今後、ホームページなどで、より分かりやすくお示ししたいと思います。メインとしている樹林地の指定は、87.8ha行うことができました。その他、様々なみどりアップ計画を実施してきましたので、横浜市 環境創造局のホームページをご覧ください。」
 

神奈川区内小学校の校庭芝生化前
神奈川区内小学校の校庭芝生化後

―樹林地指定、買取についてメインとしているようですが、樹林地を所有されている方はどのくらいいて、どの程度認識されているのでしょうか?

また、5年間で1,000haを目標としているようですが、初年度でわずか87.8haです。目標達成するのでしょうか?

「地区指定できるのは、500㎡以上の樹林地が対象となります。500㎡以上の所有者さんは約5,000人おり、初年度のアプローチで40%の方から返信を頂いています。皆さんには、まずこの制度を知ってもらい、地区指定ができるように働きかけていきたいと思います。

目標数値ですが、今年度は前年より伸びておりますので、高い数値目標ではありますが達成できるよう目指していきます。買取については、事業の性質上、相続等が発生し、所有者さんから申し出があった場合に行うものなので、想定したようには進まないということもご理解いただきたいと思っております。」
 

『広報よこはま特別号』(平成21年5月発行)より抜粋

―事業の性質上、とても5年間で結果が出る事業では無いようにみえます。集めた税収を使い切れると思いません。5年後は、どのようになるのでしょうか?

「時限立法なので、5年間でこの税収は終了します。緑の保全の取組は、以前から継続しているもので、息の長い取組です。この5年間、みどりアップ計画に基づき、特に集中して行うこととしていますが、その後も継続して行っていきたいと考えています。

ただ、集めた税収である『横浜市みどり基金』の条例には、特に期間を設けていませんので、5年後にどうなるかわかりません。横浜みどり税や横浜市みどり基金を5年後どうするかについては、今後の課題になります。」
 

取材を終えて

横浜市の住民税は、現在はどの自治体よりも高いことが判った。そして、その超過課税の一つである『横浜みどり税』について今回はメインに取り上げた。確かに緑を大切にすべきことは重要であるが、市民から新たに税を徴収して行うには目的が、あまりにも曖昧である。

この税収は、樹林地を守る・買い取ることを主軸に事業を行っているのだが、役所はデベロッパーが提示する金額を上回れるのだろうか。逆にデベロッパーが手を出さない樹林地のみ地区指定・買取ということで、本来の目的は達成されるのだろうか。樹林地の地区指定、買取には相当な歳月がかかるのは、あらかじめ想定できるはずだ。買取も上手く進まず予算も使われないまま5年が終了してしまい、余った予算は、基金へプールされる。最終的にどうなるのか判らないのでは、あまりにも杜撰だ。

もう一つ横浜市民として神奈川県の超過税、水源環境の保全・再生を名目に課税している税金がある。今回この点は深く探求しないが、恐らく曖昧なのはおよそ理解できるだろう。

自然の保護を名目にして、曖昧な税金を搾取していいのだろうか。行財政改革を抜本的に見直し財源を確保することができないのか、明らかにしてから超過課税をしてほしいものである。
 

 

※本記事は2011年5月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。

 
 

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