株式会社博報堂DYホールディングス (東京都港区、代表取締役社長:水島正幸)の研究開発部門であるマーケティング・テクノロジー・センター(以下 MTC)と、中華人民共和国(以下 中国)のライフサービスオンライン検索プラットフォーム「美団」の広告部門Solid Bitは、中国人生活者を対象とした「インバウンド予報調査(第3回)」を共同で実施しました。
<調査結果サマリー>
●8月のインバウンド予報指数は83.2点。前回2023年6月(81.1点)から微増、特に訪日経験1回の層では前回+9.4ポイント上昇しており、再訪意欲の高まりがうかがえる。
●訪日目的は、訪日経験のある層において「高級レストランを体験する」「舞台・音楽鑑賞」「スキー・スノーボード」「スポーツ観戦」「治療・健診」が5ポイント以上上昇しており、一般的な体験よりさらに特別な体験が求められる傾向も。
●訪日意識は、「いろんな体験を楽しむ」に対して「ショッピングを楽しむ」が17.3ポイント上昇し回答者の半数を超えたことから、中国人生活者の購買意欲の持ち直しが期待される。
●買物時に「日系ブランドであることが購入の決め手」と考える回答者は全体の6割超に。




■訪日外国人旅行消費額は中国が最大、訪日外国人の旅行支出のうち「買物代」も中国が最も高く
日本政府観光局(JNTO)によると、2024年1~6月期の訪日客数の累計は1,777万7,200人となり、過去最高を記録した2019年同期を100万人以上上回りました。国・地域別にみると韓国、中国、台湾、米国の順に多く、このうち中国からの訪日外客数は約307万人で、2019年同期と比べるとおよそ68%に留まっています(※1)。一方、2024年4~6月期の訪日外国人旅行消費額を国籍・地域別にみると中国が4,420億円(構成比20.7%)と最も大きく、また、訪日外国人1人当たりの旅行支出を費目別にみると、「買物代」は中国が最も高くなる(※2)など、日本企業にとって中国人生活者の訪日意欲や訪日意識などの実態を把握することは引き続き重要な課題となっています。

■日常消費財を中心とした日系ブランドに対する中国生活者の買物意識や行動にも着目
昨年より実施している「インバウンド予報調査」は、MTCと「美団」の広告部門Solid Bitの継続的な共同研究として、美団が保有する生活情報プラットフォーム「大衆点評」のビッグデータを活用し行っているものです。このたびの第3回調査では、中国人生活者の3か月後の訪日意欲を表す「インバウンド予報指数」の算出や訪日目的・訪日意識に加え、日常消費財(FMCG)を中心とした日系ブランドに対する中国生活者の買物意識や行動にも着目し、今後の中国生活者に向けたインバウンド関連ビジネス強化のヒントを探りました。

<調査結果>
●インバウンド予報指数:
中国人生活者の訪日意欲について、社会環境や実現可能性を考慮せず、調査時点から3か月後の気持ちを端的に表す指標を「インバウンド予報指数」として算出しました。8月のインバウンド予報指数は83.2点(24年5月に調査)で2023年6月のインバウンド予報指数81.1点(23年3月に調査)と比較して微増となり、依然として訪日意欲が高いことが示されました。特に訪日経験が1回の層では、前回に比べて9.4ポイント上昇するなど、全体的に見て訪日経験のある中国人生活者の再訪意欲は堅調を維持しています。

●訪日目的:
訪日経験のある層に限ると、今後の訪日目的は「高級レストランを体験する73.0%」「大衆料理を楽しむ70.0%」「温泉入浴68.5%」「旅館に宿泊66.8%」「四季の体感66.8%」「自然・景勝地の観光66.0%」が「買い物60.2%」を上回っており、依然として“体験重視”の結果となりました。
さらに、過去の訪日時と比較したところ、「高級レストランを体験する73.0%」「舞台・音楽鑑賞22.7%」、「スキー・スノーボード22.5%」「スポーツ観戦13.1%」「治療・健診9.9%」が5ポイント以上上昇しており、一般的な体験よりさらに特別な体験への関心が高まりつつある傾向も見られました。

Q. これまで、訪日旅行の際に何をしましたか。(複数回答)
Q. 今後、訪日旅行の際に何をしたいですか。(複数回答)



●訪日意識:
今後の訪日意識において、対となる2項目のどちらをより重視するかを第2回調査の結果と比較したところ、訪日目的では全体ベースで「買い物」のポイント数は下がったものの、「いろんな体験を楽しむ43.6%」に対して「ショッピングを楽しむ56.4%」が17.3ポイント上昇し回答者の半数を超えたことから、相対的に購買意欲の持ち直しの兆しが見られました。
そのほかに、「行ったことのないところを探検60.1%」に対して「行ったことのあるところを再訪39.9%」が7.3ポイント、「歴史的な建物・遺跡などを楽しむ24.3%」に対して「自然な景観を楽しむ75.7%」、「日本の伝統文化を楽しむ74.4%」に対して「日本のポップカルチャーを楽しむ25.6%」も6.5ポイント上昇し、このような意識の変化を捉えながら体験設計を工夫する必要があると考えられます。

Q. 今後、訪日旅行の際に、下記の項目について、あなたの気持ちに最も近いものをそれぞれ一つずつお答えください。(それぞれ単一回答)



※第2回と第3回調査の結果をグラフ上に表示。
※Aは、「かなりAを重視する」「Aを重視する」「どちらかといえばAを重視する」の合計。
Bは、「かなりBを重視する」「Bを重視する」「どちらかといえばBを重視する」の合計。

●日系ブランドに対する買物意識:
日常消費財(FMCG)を中心とした買い物に際して、日系ブランドであることが購入の決め手だと考える中国人生活者は全体の6割超を占めています。そう答えた理由としては、客観的に「品質が良く、間違いないと思うから51.4%」、「レビューや口コミでいいと見たから50.5%」や「値段に対しての品質がいいから48.6%」がいずれも約5割で高い結果になりました。また情緒的な繋がりとして、「日本が好きだから31.5%」も3割超を占めており、日本という国または日系ブランドをより好きになってもらうための情報発信や体験の場の重要性が増していると捉えられます。

Q. 日系ブランドであることは、買うのをためらったり、迷ったりしているときの決め手となるのはなぜですか。(複数回答)



●日系ブランドに対する買物行動:
日常消費財(FMCG)を中心とした日系ブランドの買物に関連する行動は、「代理購買44.6%」が4割台と最も高く、「「日本で買うべきものリスト」を見たことがある34.6%」 や「ソーシャルコマースで買物30.3%」が3割台と続くほか、少数ながら「メタコマースで買物6.1%」または「AIに買物の相談をする5.3%」も現れており、行動パターンの多様化が加速していることが確認されました。

Q. あなたが日系ブランドについて、次の中から行ったことがあるものをお答えください。あてはまるものはいくつでもお選びください。(複数回答)



今後もMTCは「インバウンド予報調査」を定期的に行い、インバウンド事業・中国現地でのビジネスに参入を検討している日本企業・団体に向けた、日中クロスボーダー全域におけるフルファネル型マーケティングを進めてまいります。

(※1)出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2024年6月推計値)」
https://www.jnto.go.jp/news/press/20240719_monthly.html
(※2)出典:観光庁「インバウンド消費動向調査 2024年4-6月期の調査結果(1次速報)」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_00013.html

<第3回調査概要:8月インバウンド予報調査>
・調査対象都市:北京、上海、広州、深セン
・調査対象者:20歳~49歳までの男女
 ※2023年~2024年2月の間、海外渡航中に生活情報プラットフォーム「大衆点評」の利用者
・サンプル数:合計511人
・調査期間:2024年3月23日~5月5日
・調査手法:ミニプログラムによるインターネット調査
・調査機関:北京雲捷亮数科技有限公司
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