小説家・花房観音さんの最新刊『京に鬼の棲む里ありて』が文庫オリジナルで新潮文庫9月新刊に登場します。
テーマは京都×時代。『時代小説 ザ・ベスト2023』(集英社)に直木賞作家の今村翔吾氏、米澤穂信氏らの作品と共に選出された「鬼の里」も収録する注目の一作です!
京都のバスガイドにして、団鬼六賞を受賞しデビューした小説家・花房観音さんによる、最新刊の時代短編集『京に鬼の棲む里ありて』。
比叡山麓に住む“鬼の子孫”八瀬童子の伝説をもとに描いた作品から、江文神社で行われた「大原の雑魚寝」こと年一度の乱交をテーマにした作品、さらに春日局の企みで、公家出の尼から大奥の側室となったお万の方の物語まで、平安から江戸の世の京都に生を受けた、男女の姿をつややかに炙り出します。
解説を寄稿したのは文芸評論家の細谷正充氏。歴史時代小説の読み巧者である細谷氏も、本作について「とびきり面白い」と太鼓判を押しています!
また、八瀬童子をテーマにした一編「鬼の里」は、今村翔吾氏や米澤穂信氏、木下昌輝氏、蝉谷めぐ実氏ら、そうそうたる面々の作品と共に『時代小説 ザ・ベスト2023』(集英社)にも選出された名品です。
▼細谷正充氏(解説より)
平安から江戸まで、扱う時代は自由自在。ストーリーもバラエティに富んでいるが、どれも“観音印”ともいうべき独自の色を湛えている。そして、とびきり面白い。だから最初から最後まで大いに楽しみ、満足できるのだ。何かと憂鬱なことの多い今のご時世、別世界に遊べる時間が持てるのは嬉しいこと。これぞ、観音様のご利益である。
▼著者コメント
私は今、京都で暮らしていますが、京都で生まれ育った者ではない「よそさん」です。
だからこそ見えるものがあって、ずっとそれを描いてきました。
「京都」にしかない普遍的なもの……『京に鬼の棲む里ありて』は、様々な時代を通じて、そんな京都ならではの光景や人々の心を描いた短編集です。
それは決して美しく優雅なものではなく、人が普段目を背けて心の奥底に沈めている邪な欲望だったりするけれど、それこそが私は「京都らしさ」だと思うのです。
女も男も貴族も娼妓も僧侶も立場や身分は違えど、人はすべて欲望を持つ存在であると。
だからこそ忌まわしく、醜く、けれどひたむきなのが人間であると。
「京都」という街に、時間を超えてくゆり続ける欲の焔の物語を集めた本を、ぜひ手にとってください。
▼収録作一覧とあらすじ
「鬼の里」八瀬の里で生まれ育ったかやは、美しき男妾、夜叉丸と出会い……。
「ざこねの夜」戦国の世を生きる少女ふみは、年に一度の乱交の夜を待ち望む。
「朧の清水」阿波内侍は、平家の生き残りである建礼門院徳子と大原で暮らし――。
「愚禿」六角堂で百日参籠をする私を惑わすのは、毎夜、花を活けていく女。
「糺の森」陰陽師が告ぐ。京の水を守る一族の井戸に、女の霊が憑いていると。
「母たちの大奥」春日局の企みで、京都の尼から側室のお万となった私は――。
▼書籍内容
比叡山麓の八瀬に住む人々は帝を守る鬼の子孫だと自らを誇る。里の娘かやは、貴人が囲う美貌の男妾、夜叉丸の世話をするうちに彼の苦しみを知り……(「鬼の里」)。仏道に邁進する私は、煩悩に溺れる者たちに呆れて比叡山を下りた。しかし洛中の六角堂で百日参籠を始めると、蠱惑的な香りの花を手に女が私を惑わせる……(「愚禿」)。嫉妬に劣情、尽きぬ欲望。男女の生き様を炙り出す京都時代短編集。
▼著者紹介
花房観音(はなぶさ・かんのん)
1971(昭和46)年、兵庫県生まれ。京都女子大学文学部中退後、映画会社や旅行会社などの勤務を経て、2010(平成22)年に「花祀り」で団鬼六賞大賞を受賞しデビュー。現在も京都でバスガイドを務める。著書に『寂花の雫』『指人形』『偽りの森』『花びらめくり』『くちびる遊び』『ゆびさきたどり』『うかれ女島』『どうしてあんな女に私が』『果ての海』『京都に女王と呼ばれた作家がいた 山村美紗とふたりの男』、円居挽との共著『恋墓まいり・きょうのはずれ』、中村淳彦との共著『ルポ池袋 アンダーワールド』、エッセイ『シニカケ日記』など多数。
▼書籍データ
【タイトル】『京に鬼の棲む里ありて』(みやこにおにのすむさとありて)
【著者名】花房 観音(はなぶさ・かんのん)
【発売日】8月28日
【造本】新潮文庫
【定価】649円(税込)
【ISBN】978-4-10-120586-1
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/120586/
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