トゥーランドット 臥龍居のオーナーシェフ脇屋友詞氏による「Sシリーズ」の調理実演を交えて紹介

パナソニックは9月5日、都内の高級中華料理店「トゥーランドット 臥龍居」で、ビルトインタイプのIHクッキングヒーター「Sシリーズ」の新製品体験会を開催した。トッププレートの奥のスペースでも加熱できる新技術「匠加熱IH」を開発して搭載した。発売日は9月20日。メーカー希望小売価格は「KZ-S1F7S/K(幅75cm)」が66万円、「KZ-S1F6S/K(幅60cm)」は63万8000円。

トッププレートの「奥のエリア」も使える!

Sシリーズの特徴は、加熱エリアが従来よりも約1.7倍に拡大したこと。トッププレートの奥のエリアまで加熱できるようにしたことで、これまであまり活用できていなかったエリアが調理に有効利用できるようになった。

例えば、人気の鋳物ホーロー鍋「ル・クルーゼ」のようなオーバル鍋や大きなフライパン、アウトドアで使うような大きな鋳物フライパンや鉄板なども手前と奥で加熱。中央と端の加熱ムラを抑えて調理できる。

それを可能にしたのが、約2年半の開発期間を費やしたという業界初の新加熱制御技術「匠加熱IH」だ。一つのインバーターで熱源となる10個のコイル(ピースコイルと呼ぶ)を制御して、複数の加熱パターンを自動で選択する。左右で合計20個のピースコイルをレイアウトしている。

従来通り「前エリア」では左右に鍋やフライパン、奥に小さい鍋というパターンはもちろん、「全体エリア」ではオーバル鍋や鉄板などを縦に置いて加熱できる。

さらに床への油はねが気になるときや調理中に一時的に保温するとき、手前スペースでちょっとした作業をしたいときなどは、「奥エリア」で加熱できる。

いろいろなエリアで調理できるバリエーションは増えても、使い方が難しくなるのでは?と思われるかもしれないが、その点も安心。「全体エリア」を選択して、間違って普通サイズの鍋やフライパンを手前に置いても、奥のピースコイルは自動で加熱しないように制御する。

個々のコイルにセンサーを搭載していて、鍋やフライパンの位置を検知しているからだ。

煮物も対流の切り替えで鍋底が焦げない

また、一つのピースコイルは内側と外側で加熱パターンを切り替えられることから、中央を加熱するパターンで三つ、外側を加熱するパターンで三つの計六つの加熱パターンを切り替えられる。鍋や調理状態に合わせて最適な加熱を実現する。

もちろん、この制御は調理メニューによりSシリーズが自動で制御するので、ユーザーは作りたいメニューを選ぶだけで、加熱方法はまったく気にする必要がない。

ピースコイルの内側と外側での切り替えは、例えば煮物をつくる際に内側と外側で対流を切り替えるので、加熱ムラが少なく、鍋底が焦げないなどのメリットがある。

鍋振りできる点もアピール

体験会では、トゥーランドット 臥龍居のオーナーシェフ脇屋友詞氏による実演も披露。「海老とレタスのあんかけ焼きそば」をつくりながら、大きなフライパンを使えるSシリーズのよさや、加熱の立ち上がりの速さを評価していた。

特に、従来のIHクッキングヒーターでは「鍋振り禁止」が常識だったが、最近では鍋振りもできるようになっている。Sシリーズも鍋振りをしても火力の立ち上がりが速いので、加熱に大きな影響を及ぼさないこともアピールしていた。

新技術「匠加熱IH」を搭載して加熱エリアを拡大したSシリーズは、IHクッキングヒーター史上においても「オールメタル対応」に匹敵するぐらいの大きな進歩といえるのではないだろうか。(BCN・細田 立圭志)