去る9月6日(金)、前橋市にて開催された選考会にて、最果タヒ氏『恋と誤解された夕焼け』が第32回萩原朔太郎賞を受賞しました。
選考委員は佐々木幹郎、建畠皙、日和聡子、三浦雅士、松浦寿輝の5氏。




受賞作『恋と誤解された夕焼け』は、文芸誌「新潮」で3年間にわたって連載された詩を中心に、SNS発表作品を加えた43篇を収録しています。映画、写真、展覧会、街とのコラボレーションなど、詩の可能性を多方面で開花させてきた詩人が、斬新でロマンティックな世界観を最尖端のコトバで展開する第12詩集です!

■受賞メッセージ 

 孤独は、ただの空虚なものではないと思う。なにもかもが空っぽの、そんな時間や心ではなくて、自分にしか見えない星が一つ、夜空に見えるようなことだ。その星は誰にも見えないのかもしれない。本当にその光がそこにあると自分に証明する術もない。けれど、まっすぐに信じていて、信じている間、自分はもしかしたら誰にも「全て」を理解してはもらえないのかもしれないが、そうやって自分だけが知っている光がある限り、その光に誓うように、夢を見ることも、誰かを愛することも、自分自身を見捨てずに生き抜くこともできるだろう。孤独とはそんな星のある空のことだと、私は思う。思いたいです。誰かが見つめる星の光になりうる言葉が、詩だと信じている。詩を読んでくださる方、昔読んだ一文を今も覚えてくださっている方、これまで作品と出会ってくださった全ての方、ありがとうございます。これからも書いていきます。

■著者紹介

最果タヒ(さいはて・たひ)
詩人。1986年生まれ。2004年よりインターネット上で詩作をはじめ、翌年より「現代詩手帖」の新人作品欄に投稿をはじめる。2006年、現代詩手帖賞受賞。2007年、第一詩集『グッドモーニング』を刊行。同作で中原中也賞を受賞。以後の詩集に『空が分裂する』、『死んでしまう系のぼくらに』(現代詩花椿賞)、『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2017年、石井裕也監督により映画化)、『愛の縫い目はここ』、『天国と、とてつもない暇』、『恋人たちはせーので光る』、『夜景座生まれ』、『さっきまでは薔薇だったぼく』、『不死身のつもりの流れ星』『落雷はすべてキス』がある。2017年に刊行した『千年後の百人一首』(清川あさみとの共著)では100首を詩の言葉で現代語訳した。2018年、案内エッセイ『百人一首という感情』刊行。小説作品に『星か獣になる季節』、『渦森今日子は宇宙に期待しない。』、『十代に共感する奴はみんな嘘つき』など、エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』、『「好き」の因数分解』、『コンプレックス・プリズム』、『恋できみが死なない理由』など、絵本に『ここは』(及川賢治/絵)、翻訳作品に『わたしの全てのわたしたち』(サラ・クロッサン/著、金原瑞人との共訳)がある。

■書籍データ

【タイトル】『恋と誤解された夕焼け』
【著者名】最果タヒ(さいはて・たひ)
【判型】四六判(96ページ)
【定価】1,430円(税込)
【発売日】2024年5月30日
【ISBN】978-4-10-353813-4
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/353813/
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