26歳の新鋭、堂々の受賞!
7月31日、貴志祐介氏、道尾秀介氏、湊かなえ氏を選考委員に迎えた第十一回新潮ミステリー大賞(主催:株式会社新潮社、後援:東映株式会社)の選考会が行われ、二礼樹さんの『悪徳を喰らう』が大賞に決定しました。最終候補作4篇は、東映での映像化が検討されます。受賞作は来春、小社より単行本として発売、贈賞式も同時期に開催予定です。
二礼樹氏 (C)新潮社
日本推理サスペンス大賞、新潮ミステリー倶楽部賞、ホラーサスペンス大賞の遺伝子を受け継いで2014年にスタートした新潮ミステリー大賞。『チェレンコフの眠り』が第35回山本周五郎賞候補となった一條次郎さん。短篇集『#真相をお話しします』が本屋大賞にノミネートされ、累計50万部を突破した結城真一郎さん。『ループ・オブ・ザ・コード』が第36回山本周五郎賞候補となり、『不夜島』で第77回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉を受賞した荻堂顕さんなど、常に唯一無二の才能を輩出してきました。
第十一回となる今年は、全応募作172篇のなかから二礼 樹(にれ・いつき)さんの『悪徳を喰らう』が大賞に選ばれました。選考会では「完成度という点で一頭地を抜いていたと思う。相当数の読者を獲得しそうな華もある」(貴志祐介さん)、「リーダビリティが高いうえに、登場人物も魅力的。印象深いセリフもたくさんあって独特な世界観にどっぷり浸かった」(湊かなえさん)「人間の感情や空気の冷たさといった、目に見えないものも上手く描けていて、『文章世界』という言葉を思い出させてくれた。賞創設以来、いままで読んだなかでも最高に面白かった」(道尾秀介さん)と、新人離れしたリーダビリティーと独自の作品世界をつくりあげる高い筆力に多くの賞賛の声が集まりました。選評および受賞作の抄録は、9月22日発売の「小説新潮」10月号でお読みいただけます。なお受賞作は来春、小社より単行本として発売、贈賞式も同時期に開催予定です。弱冠26歳の新鋭の今後に、どうぞご期待ください!
■『悪徳を喰らう』あらすじ
リストランテ〈オンブレッロ〉。統一戦争をしぶとく生き抜いたこの店にはある秘密があった。みかけはただの高級店のなりをしているが、その実、裏では得意客を相手に「晩餐会」を催すことで、政財界やマフィアとの独自ルートを築いていたのだ。とある事情から〈オンブレッロ〉で雇われの身となった元軍人のオズヴァルドは、その腕を見込まれ、晩餐会で出す特別な「食材」の解体処理を任されていた。
ある日、誤発注された「食材」の状態を確かめるべく、店の冷凍庫へと向かったオズヴァルド。そこで、吸血鬼に出会うのだった……。名はルカ。飴細工みたいな金髪の男だった。
■著者プロフィール
二礼 樹(にれ・いつき)
1997年宮城県生まれ。システムエンジニア。現在東京都在住。
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