独・シャミッソー賞奨励賞、ベルリン芸術賞奨励賞を受賞、世界16カ国で翻訳される奇蹟の傑作
株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役 小野寺優)は、2002年2月、39歳で非業の死を遂げた作家アグラヤ・ヴェテラニーが、生前唯一遺した自伝的小説『その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか』を、2024年9月27日に刊行いたします。
■『その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか』あらすじ
ピエロの父、曲芸師の母、踊り子のわたし――。
祖国ルーマニアを逃れて放浪生活を送る、サーカス一家の末娘。
「地獄は天国の裏にある。」
祖国ルーマニアの圧政を逃れ、サーカス団を転々としながら放浪生活を送る、一家の末っ子であるわたし。ピエロの父さんに叩かれながら、曲芸師の母さんが演技中に転落死してしまうのではないかといつも心配している。
そんな時に姉さんが話してくれるのが、「おかゆのなかで煮えている子ども」のメルヒェン。やがて優しいシュナイダーおじさんがやってきて、わたしと姉さんは山奥の施設へと連れて行かれるのだったが――。
■『その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか』とは
『その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか』は、39歳で非業の死を遂げた作家・俳優アグラヤ・ヴェテラニーが、生前唯一遺した自伝的小説です。
幼少期からの諸国放浪生活ゆえに、15歳まで読み書きのできなかった著者は、チューリヒ定住後にドイツ語を習得し、俳優として活躍するかたわら新聞、雑誌へ多数の記事を寄稿。
1999年に発表された本作は「ドイツ文学史上最も強烈な個性」と評され、シャミッソー賞奨励賞、ベルリン芸術賞奨励賞を受賞、世界16カ国で翻訳されるなど、大きな反響を呼びました。
ドイツ文学史上最も強烈な個性。――南ドイツ新聞
まさに綱渡り芸を、息をのんで下から見守っているかのよう。
――ペーター・ビクセル(スイスの国民的作家)
おかゆのなかで煮られる子どもの運命に思いを馳せることで、「わたし」は墜落の危険のある芸に挑む母親の身を案じる不安から、いっとき解放される。施設に預けられたときも、「姉さん」と一緒に盛んにこの子どもの話を思い出す。亡命者のサーカス一家としての不安定な生活のなかで、この話が「わたし」の人生に伴走していく。
(松永美穂「訳者あとがき」より)
→「訳者あとがき」全文をWeb河出にて公開中
■著者紹介
[著者]アグラヤ・ヴェテラニー(Aglaja Veteranyi)
1962年、ルーマニアの首都ブカレストでサーカス家庭に生まれる。67年に亡命し、77年にスイスのチューリヒに定住するまで、サーカス興行のために各地をめぐる生活を送る。
定住後にドイツ語を学び、俳優として活躍するほか、実験的文学グループ「Die Wortpumpe」を共同で設立し、新聞や雑誌に多数の記事を寄稿。1998年にベルリン文学コロキウムの助成金を受ける。
1999年に初小説『その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか』を出版し、シャミッソー賞奨励賞、ベルリン芸術賞奨励賞を受賞。2002年2月の早朝にチューリヒ湖で自死。
[訳者]松永美穂(まつなが・みほ)
ドイツ文学者・翻訳家。早稲田大学文学学術院教授。シュリンク『朗読者』で毎日出版文化賞特別賞受賞。他の訳書にシュピリ『アルプスの少女ハイジ』、ヘッセ『車輪の下で』、バッハマン『三十歳』、シュテファン『才女の運命』、ティム『ぼくの兄の場合』、シュタム『誰もいないホテルで』等。著書に『世界中の翻訳者に愛される場所』等。
■書誌情報
書名: その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか
著者: アグラヤ・ヴェテラニー 松永美穂訳
仕様:四六判/上製/216ページ
発売日:2024年9月27日
税込定価:2,750円(本体2,500 円)
ISBN:978-4-309-20914-2
装幀:名久井直子
装画:Leonora Carrington “Darvault”
書誌URL:
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309209142/
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