代表作『月まで三キロ』、『八月の銀の雪』、そして10月よりドラマがスタートする『宙わたる教室』。科学だけが気づかせてくれる大切な未来を描く伊与原新さんの待望の短篇集『藍を継ぐ海』を、新潮社より刊行いたします。



静岡書店大賞、新田次郎文学賞、未来屋書店大賞を受賞した『月まで三キロ』以来、科学が人に与える希望を描き続ける伊与原新さんが今作で描くのは、大切なことを引き受け、伝えることの大切さです。
5篇に登場するのは、徳島の海辺で祖父と暮らす中学生の女の子、奈良の山奥でフリーランスのwebデザイナーとして働く女性、山口で萩焼に絶妙な色味を出す伝説の土を探す元カメラマンの男、個人の考えの入る余地のないルーチンワークに疲れた長崎の町役場の公務員、年老いた父親を思うあまり、ある嘘をついてしまう北海道の身重の女性。
これらの人々が、科学のエッセンスにふれることで明日への希望を見出す物語です。

著者からのメッセージ


この『藍を継ぐ海』という短編集では、日々の慌ただしさに埋没しがちな意識を、地球や自然の悠久な流れの中に置き直してみる、ということに挑んでいます。
日本列島が擁するバラエティに富んだ自然環境の中で、各地方の人々が土地の特質やリズムと融け合うような営みを連綿と受け継いできたことを、執筆を通じて私自身も再認識することができました。
日本海の孤島、吉野の杉林、遠軽の雪原、長崎のみかん畑、徳島のポケットビーチ。
五編を通じて、それぞれの土地の空気と人々の息づかいを感じ取っていただければ嬉しいです。――伊与原新



【内容紹介】
なんとかウミガメの卵を孵化させ、自力で育てようとする徳島の中学生の女の子。老いた父親のために隕石を拾った場所を偽る北海道の身重の女性。山口の島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男――。人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。きらめく全五篇。


【著者紹介】
伊与原新(いよはら・しん)
1972年、大阪生れ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。2010年、『お台場アイランドベイビー』で横溝正史ミステリ大賞を受賞。2019年、『月まで三キロ』で新田次郎文学賞、静岡書店大賞、未来屋小説大賞を受賞。他の著書に『八月の銀の雪』『オオルリ流星群』『宙(そら)わたる教室』『青ノ果テ 花巻農芸高校地学部の夏』『磁極反転の日』『ルカの方舟』『博物館のファントム』『蝶が舞ったら、謎のち晴れ 気象予報士・蝶子の推理』『ブルーネス』『コンタミ 科学汚染』などがある。

【書籍データ】
【タイトル】藍を継ぐ海
【著者名】伊与原新
【発売日】9月26日
【造本】ソフトカバー
【定価】1,760円(税込)
【ISBN】978-4-10-336214-2
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/336214/
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