江戸芝居の狂気を描き切った蝉谷めぐ実氏の『万両役者の扇』が第15回山田風太郎賞の候補作に選ばれました。



『万両役者の扇』は「芸のため」ならどんなことにも手を染める江戸森田座の役者・今村扇五郎を中心に、彼の贔屓たちの視点で、役者とその崇拝者たちの狂気を活写した時代小説です。あっと驚く結末も用意された本作は注目を集め、第14回「本屋が選ぶ時代小説大賞」に続き、このたび、第15回山田風太郎賞の候補作となりました。
選考会は10月21日(月)予定、蝉谷氏が山田風太郎賞の候補になるのは『おんなの女房』(KADOKAWA)以来、二度目です。
発売時、蝉谷氏が「役者の業が大好きで、しかし同時に『役者の業』で始末をつけがちな自分に、今回は刃を向けてみました。ねろねろと濃い江戸歌舞伎を味わっていただけましたら幸いです!」と語っているように、この機会に、どろどろの底なし芝居沼にぜひはまってみてください!

■書籍内容

江戸森田座気鋭の役者・今村扇五郎にお熱のお春が、女房の座を狙って近づいたのは……。芸を追求してやまない扇五郎に魅せられた面々の、狂ってゆく人生の歯車。ある日、若手役者の他殺体があがり、ついには扇五郎本人も――「芸のため」ならどこまでの所業が許されるのか。芝居の虚実を濃密に描き切ったエンタメ時代小説。

■著者紹介

蝉谷めぐ実(せみたに・めぐみ)1992年大阪府生まれ。早稲田大学文学部で演劇映像コースを専攻、文化文政期の歌舞伎をテーマに卒論を書く。2020年『化け者心中』で第11回小説野性時代新人賞を受賞し、デビュー。21年に同作で第10回日本歴史時代作家協会賞新人賞、第27回中山義秀文学賞を受賞。22年に刊行した『おんなの女房』で第10回野村胡堂文学賞、第44回吉川英治文学新人賞を受賞。他の作品に『化け者手本』などがある。



蝉谷めぐ実氏 (C)新潮社写真部


■書籍データ

【タイトル】万両役者の扇
【著者名】蝉谷めぐ実
【発売日】2024年5月16日
【造本】四六判・ハードカバー
【定価】1,980円(税込)
【ISBN】978-4-10-355651-0
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/355651/
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