中村勇吾氏、原研哉氏、深澤直人氏、三澤遥氏、岡崎智弘氏の豪華審査員を迎えて開催!

   一般社団法人未来ものづくり振興会(所在地:愛知県名古屋市 代表理事:舟橋正剛)は、新しいプロダクトのデザインを募る「17th SHACHIHATA New Product Design Competition (シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション)」に関して2024年10月11日(金)に表彰式を行い、受賞作品9点を発表しました。  第17回目となる今回は、中村勇吾氏、原研哉氏、深澤直人氏、三澤遥氏の4名の審査員、ゲスト審査員の岡崎智弘氏および特別審査員 舟橋正剛の計6名で厳正な審査を実施しました。今回は、『可視化するしるし』をテーマとし、これまで人の目に触れてこなかったもの、あるいは注目されてこなかったもの、そんな存在を見えるようにするしるしを表すアイデアを募集しました。その結果、国内外から過去最多となる1,538点の応募があり、そのうちの9点を受賞作品として決定しました。


受賞作品一覧


グランプリ1作品(賞金300万円)  
「めでたいん!」 (榎本千紘)

準グランプリ2作品(賞金50万円)  
「芽吹きかける想い」 (須田紘平)
「なかみのそとみ」 (松本和也)

審査員賞5作品(賞金20万円)  
中村賞 「結束水引」 (中道咲花)
原賞  「陰影折紙」 (江上恵一郎、舟橋慶祐)
深澤賞 「touchable mark 」(楠天童、楠麻耶)
三澤賞 「SKELETON 」 (東出和士)
岡崎賞 「すみがくれ」 (長谷川泰斗、山下采夏)  
  
特別審査員賞1作品(賞金20万円)   
「もじちょこ」 (山本晄暉)


第17回シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティションについて


 今年で17回目を迎えるシヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション(SNDC)には、昨年に続き国内外から1,538件という多くの提案が寄せられました。今回のテーマは「可視化するしるし」です。記録されない日々の出来事やささいな変化、誰も気に留めないような瞬間の中にある「しるしかもしれない」ものを捉えたアイデアを募集しました。

 テーマが「可視化」という抽象的なものだったためか、例年に比べてさまざまな角度からの提案が集まり、受賞作品の顔ぶれも彩り豊かなものになりました。回を重ねるごとにしるしの捉え方は拡張を続けていますが、今回はずっと視界に入っていたけれど誰も気づかなかったしるしを掘り起こすような提案が多く集まった印象です。
 
 今まで意識されることのなかった場所にしるしの気配を感じ取り、新たな在り方をご提案くださった方々に、こころよりお礼申し上げます。

審査員 コメント




中村勇吾 Yugo Nakamura
インターフェースデザイナー
tha ltd. 代表

ウェブサイトや映像のアートディレクション、デザイン、プログラミングの分野で横断/縦断的に活動を続けている。主な仕事に、ユニクロの一連のウェブディレクション、KDDIスマートフォン端末「INFOBAR」の UIデザイン、 NHK Eテレ「デザインあ」のディレクションなど。



~審査コメント~
「可視化するしるし」というテーマに対してさまざまな角度からアプローチしていただきました。準グランプリに選ばれたおにぎりのように楽しげなものから、ノートのように繊細なものまで、それぞれ独自の視点で新しいしるしを見つけようとしている気配を感じます。そんな中でグランプリに選ばれたパーティークラッカーの作品は、審査員にとっても未開拓な領域に新しいしるしの存在を見出した、稀有な作品だったと思います。審査を通して多種多様なしるしと出会いましたがいずれも優れており、高い平均点の中で賞が決まりました。



原研哉 Kenya Hara
グラフィックデザイナー
日本デザインセンター 代表

デザインを社会に蓄えられた普遍的な知恵ととらえ、コミュニケーションを基軸とした多様なデザイン計画の立案と実践を行っている。無印良品、蔦屋書店、GINZA SIX、JAPAN HOUSE、らくらくスマートフォン、ピエール・エルメのパッケージなど活動の領域は多岐。
一連の活動によって内外のデザイン賞を多数受賞。著書『デザインのデザイン』(岩波書店刊、サントリー学芸賞)『白』(中央公論新社刊)は多言語に翻訳されている。
~審査コメント~
一言で言うと脱ハンコ、という感じでした。昨年まではまだハンコというプロダクトの周辺での着想が多かったのですが、今年はそこからだいぶ離れた自由なアイデアが多く、新しいSNDCを感じることができました。過去の受賞者がふたたび応募してくださるなど、プロフェッショナルなプレイも多く見られましたが、今回はそういった見事な解答よりもキラキラとした新しいアイデアが目立っていたように感じます。グランプリにも、馴染み深い見た目でありながら、胸のすくような発想で、新たなしるしの在り方を教えてくれた作品が選ばれました。



深澤直人 Naoto Fukasawa
プロダクトデザイナー
NAOTO FUKASAWA DESIGN 代表

卓越した造形美とシンプルに徹したデザインで、国内外の大手メーカーのデザインとコンサルティングを多数手がける。電子精密機器から家具、インテリアに至るまで手がけるデザインの領域は幅広く多岐に渡る。デザインのみならず、その思想や表現などには国や領域を超えて高い評価を得ている。
受賞歴多数。
2018年3月作品集「Naoto Fukasawa EMBODIMENT」(Phaidon)発刊。

~審査コメント~
ここ数年、アイデアを形にする力が飛躍的に向上していると感じます。SNDCは抽象的なテーマに対して具体的なアイデアの提示を求められる場なので、イメージを形にする技術力が重要になります。今年も昨年に続き、アイデアの精度のみならず、イメージを定着させるというテクニカルな面において、レベルの高さを感じられる作品を多く見ることができました。本コンペが優れたアイデアだけではなく、プロフェッショナルな技術を駆使して競い合う、よりクリエイティブ精神の高い場所に変化しつつあることを実感しています。



三澤遥 Haruka Misawa
デザイナー
日本デザインセンター 三澤デザイン研究室

2005年に武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業後、デザインオフィスnendoを経て、2009年より日本デザインセンター原デザイン研究所に所属。2014年、三澤デザイン研究室として活動開始。ものごとの奥に潜む原理を観察し、そこから引き出した未知の可能性を視覚化する試みを、実験的なアプローチによって続けている。


~審査コメント~
ありそうでなかったアイデアが多く集まった印象があります。昨年は広いフィールドから未知のしるしを発見してくるような作品が多かったのですが、今年は、ずっと近くにあったけれど見えていなかったしるしを拾い上げるような、身近な場所へ向けられた視線が印象的でした。「可視化するしるし」というテーマだったので、「そうそう、これが見たかった」と思わせてくれるような作品を探すつもりで審査に来たのですが、それに高いクオリティで応えてくれる作品に出会えました。昨年に続き今年もレベルの高いコンペティションだったと思います。

ゲスト審査員 コメント



岡崎智弘 Tomohiro Okazaki
グラフィックデザイナー
SWIMMING 代表

2011年よりデザインスタジオSWIMMINGを設立し活動。グラフィックデザインの姿勢を基軸に、印刷物/映像/展覧会など視覚伝達を中心とした領域を柔軟に繋ぎながら、文化と経済の両輪でデザインの活動に取り組んでいる。デザインの仕事は、自分が知らない世界や事象と向き合う機会となることや、人や社会と繋がる行為となること、また世界の捉え方や構造を発見し関与することができるものであり、その可能性に大きな魅力を感じている。


~審査コメント~
今回、ゲスト審査員として初めて審査に参加しました。ハンコというものを外側から眺めてきた身からすると、テーマであるしるしの捉え方が想定よりずっと広いことに驚きました。並んだ作品からは、独自の手法で新種のしるしを見つけようとする作者の姿勢が強く伝わってきました。加えてひとつひとつの視点に、つい「なるほど」と言いたくなるような説得力があり、グランプリをはじめとした賞に残ったものほど、その説得力が際立っていたのではないかと思います。最終審査に提出されたモックアップのクオリティも素晴らしかったです。

特別審査員 コメント



舟橋正剛 Masayoshi Funahashi
一般社団法人未来ものづくり振興会 代表理事
シヤチハタ株式会社 代表取締役社長

1992年 米国リンチバーグ大学経営大学院修士課程終了。広告代理店勤務を経て1997年 シヤチハタ工業株式会社(現シヤチハタ株式会社)入社。2006年 シヤチハタ株式会社代表取締役社長 就任





~審査コメント~
今年はゲスト審査員に岡崎智弘さんをお迎えし、「可視化するしるし」をテーマに作品を募集しました。毎年、テーマに「しるし」というキーワードを入れているのですが、昨年まで はあまり修飾語の部分が意識されていない応募作品が多かったように思います。その点、今年は「可視化する」とはどういうことか、よく考えられた作品が多く非常に面白かったです。 テーマがそうさせたのかもしれませんが、ひとつひとつの作品によく練られた思考を垣間見ることができ興味深かった一方、賞を選ぶのがとても難しい審査でもありました。


受賞作品


グランプリ

めでたいん!
榎本 千紘  Chihiro Enomoto
紐を引くとパンッと音が鳴り、名前がひらひらと宙を舞う。主役の名前のしるしをしのばせることで、少し特別なサプライズを仕掛けられるパーティークラッカーです。誕生日でも、結婚式でも、授賞式でも、名前で主役を引き立て最高の瞬間を作り出す、めでたいしるしの提案です。
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対象にしている時間軸が他の応募作品と全く違うのがよかったです。審査員にとって未開拓の領域での発想だったので、その分鮮度の高い驚きを与えてくれた作品だと思います」(中村)「紙吹雪という空間に作用するものの中に、しるしの形を使って人の名前を押印するのは新しいハンコの発見だったと思います」(原)「しるしが
パーティーグッズにもたらす新しい価値を見つけたところがポイントです。SNDCが求めるものをわかった上であえて別の方向を狙った、高度な気づきのある作品だと思います」(深澤)「真剣なシーンで使われることが多いハンコに、直感的な喜びの機能を発見したのが面白いです。素材をもっと浮遊感のあるものにすれば、さらに華やかに祝えそうです」(三澤)「しるしを入り口にこの形に辿り着く想像力がすごい。入っていた名前が『岡崎』だったので紐を引いた瞬間、嬉しさと恥ずかしさとこれは何なんだ?という気持ちが同時に押し寄せてきました」
(岡崎)


準グランプリ

芽吹きかける想い
須田 紘平 Kohei Suda
真っ白なノートを見つめる人の瞳には、これから書こうとする言葉の輪郭がうっすらと見えています。「芽吹きかける想い」は、そんな未形成な想いをひとつのしるしとして可視化したノートです。ユーザーは曖昧な想いを輪郭のあるしるしの上に記述することで、本当の想いを描き出していきます。
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「白さはノートの価値でもありますが、高い緊張感をもたらすものでもあります。ノイズに満ちたこのノートは着想の一歩手前の頭の中に似ていて、イマジネーションを投影しやすい対象だと思います」(原)「図書館のざわめきのように、自分が書く文字以外の存在が思考を刺激してくれているように感じました。白い紙に向き合う時とは異なる、新しい書くという体験ができそうです」(岡崎)


準グランプリ

なかみのそとみ
松本 和也 Kazuya Matsumoto
運動会のお昼休憩。みんなでおにぎりを食べる時間が楽しみなんだけど、大好きな鮭だと思って食べてみたら梅干しだった、なんてことはありませんか?「なかみのそとみ」は、おにぎりの具材のパターンを印刷したアルミホイル。具材に合わせた包装で中身を可視化する、新しいしるしの提案です。
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「おにぎりは包み紙をむいて食べるので、中身と包みの形が密接に関係しています。そこを活かして具材である鮭の表皮をむきながら食べるような体験を作ったのが面白いです。『なかみのそとみ』というタイトルもいい」(中村)「ありふれたおにぎりによくこの解答を見つけたなと思うと同時に、ありふれているものこそ、これくらい高いクリエイティブ力を持っているべきだと感じました」(深澤)


審査員賞
中村賞

結束水引
中道 咲花 Sawa Nakamichi
「結束水引」は、相手を思う気持ちをさりげなく表現するしるしです。ちょっとしたお土産を渡したい時や借りた物を返す時、ふつうの紐やリボンではなく、結束水引を使うことで、ありがとうの想いに輪郭を結びます。少しの手間で相手への気持ちを表す、こころを可視化するしるしの提案です。
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「結束バンドのハードな質感に水引を合わせたのが面白いです。今回のテーマに完全に呼応しているかと言われると悩みますが、完成度の高さに目を惹かれました。袋を縛る時にリボンではなく、こういうデザイン性の高い結束バンドを使うことで、さりげなく気を利かせられそうです」(中村)


原賞

陰影折紙
江上 恵一郎 Keiichiro Egami
舟橋 慶祐 Keisuke Funahashi
各面のグラデーションによって折り目というしるしを可視化した折り紙です。グラデーションは紙の重なりで生じる影を強調し、完成品をより立体的で趣のある印象に仕上げます。折り目を線ではなく、さらなる効果を生むしるしに作り替えるアイデアです。兜や風車など他の折り紙にも展開が可能です。
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「折り目というしるしに陰影を纏わせることで、平面、立体、プロセスのすべてに見どころが生まれています。特に折ることで陰影を統合し、ひとつのグラデーションを形作りながら完成させていくプロセスはよくできていると思います。完成品もグラデーションの効果で凜としていて美しいです」(原)


深澤賞

touchable mark
楠 天童  Tendo Kusunoki
楠 麻耶  Maya Kusunoki
(チーム名:KUSU-KUSU)
“視えない” 時でも触れば“わかる”ように。照明のスイッチやリモコンのボタンなどに、透明なインクで半立体の触れるしるしを押せるハンコです。もの自体の印象を変えることなくしるしを付けることで、一般の人や字の読めない子ども、触覚を拠り所にしている人などさまざまな人を優しくガイドします。
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「どのスイッチがどの照明に繋がっているか、どれが醤油の瓶でどれが濃口醤油の瓶かなど、はっきり識別をしないままにしている多くのものを、一押しで差別化できる優れたプラットフォームになりそうです。ハンコというプロダクトの簡便さを活かせば商品として化けるのではないでしょうか」(深澤)


三澤賞

SKELETON
東出 和士 Takashi Higashide
スポンジに含んだ朱のインクが印面へと浸透し、バネ式のギミックを伝って押印できる。シンプルでありながら無駄のない洗練された構造美がシャチハタにはあります。そんな構造を敢えて可視化させることで、物の持つワクワク感や、押印する楽しみを表現したいと考えました。
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「手に取った時に『これは可視化して欲しかったもののひとつだ』と感じました。スケルトンの商品は既に世の中に溢れていますが、シヤチハタ印の内側は言われてみれば確かに見たかったと思うものであり、それを素直に開示する潔いアイデアだと思います。モックアップの精度も高かったです」(三澤)


岡崎賞

すみがくれ
長谷川 泰斗 Taito Hasegawa
山下 采夏  Ayaka Yamashita
手紙の最後にイラストや笑えるひとことなど、見つかったら嬉しいしるしを残したくなるのは忍者の歴史を持つ日本人の特性でしょうか。「すみがくれ」は箱の角や隅にこっそりしるしを残せるハンコです。宅配便の隅などに押して、見つけて嬉しい、見つかって嬉しい、そんな瞬間を作ります。
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「しるしは本来何かを知らせるためにあるものですが、これは微妙に隠れているところが面白いです。例えば部屋のどこかに、過去の自分が押したこのしるしを発見したら思わず微笑んでしまいそうです。大きな意味はないけれど、小さな豊かさを生むユーモラスなアイデアだと思います」(岡崎)


特別審査員賞

もじちょこ
山本 晄暉 Hikaru Yamamoto
かじることで隠れた文字が可視化されるチョコレートです。誰かに感謝を伝える時に“ありがとう”のもじちょこを渡せば、かじった時にありがとうが文字としてふたたび相手の元に届きます。文字や言葉、想いを食べるという行為の中に可視化する、スイーツを素材にしたしるしの提案です。
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「気の利いた面白い気持ちの伝え方ができそうです。大切な人に想いを込めて贈れば、チョコレートの甘さとともにメッセージが現れ、ウィットに富んだ気持ちの伝え方になるのではないでしょうか。メッセージや言葉を工夫することで、いろいろなシーンで活用ができると思います」(舟橋)


第17回 シヤチハタ・ニュースプロダクト・デザイン・コンペティション 概要


■応募受付期間:2024年 4月1日(月)~ 5月30日(木) 12:00
■テーマ: 「可視化するしるし」
 「しるし」が持つ可能性を広げるプロダクトもしくは、仕組みをご提案ください。
 なお、応募作品は未発表のオリジナル作品に限ります。
■参加資格:
・個人、グループ及び企業、団体。年齢、性別、職業、国籍不問
 (ただし、日本語でのコミュニケーションが可能であること)。
・1次審査を通過した場合、2024年8月30日(金)までに、模型制作が可能であること。
・入賞した場合、2024年10月11日(金)18時(予定)から東京都内で行われる表彰式に参加が可能なこと。
※1人または、1グループで複数作品の応募が可能です。
  ただし、事前エントリーは1応募につき、1エントリーをお願いします。
■賞:グランプリ1作品(賞金300万円)、準グランプリ2 作品(賞金50万円)、
審査員賞5作品(賞金20万円)、 特別審査員賞1作品(賞金20万円)
※全ての受賞作品が、商品化の対象となります。また、本コンペの公式サイトで公開されます。 
■一次審査提出物:プレゼンシート(サイズ:A3、枚数:1枚、形式:PDF、容量:10MB以内)
■審査基準:1.テーマの理解力|2.新規性・革新性|3. 提案の実現性
■応募方法:公式サイト(https://sndc.design)よりご応募ください。
■表彰式:2024年10月11日(金) 18時から予定
■主催:一般社団法人未来ものづくり振興会
■特別協賛:シヤチハタ株式会社
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