戸田建設株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:大谷 清介)は株式会社Serverless Operations(本社:東京都、代表取締役社長:堀家 隆宏)の技術支援の元、生成AIを活用した自動議事録作成ツール「Make-Minutes」を開発しました。

ミーティング後の要点やネクストアクションのまとめなど議事録作成にかかる時間を大幅に削減して、参加者は会議のみに集中できます。特に議事録作成者の心理的負担を減らすとともに大きなコスト削減と効率化に貢献しています。

▼導入事例の詳細は以下より参照いただけます。
https://serverless.co.jp/works/cm6e_yrqi63/



Make-Minutesの開発に至った経緯
戸田建設のDX推進室では内製の開発チームで社内の課題を開発する様々なプロダクトを開発しています。元々AIについては興味を持っていたチームメンバーである平林さんが、2023年の4月頃から個人的なPoC(Proof of Concept=概念実証)として開発を始めて、6月にプロトタイプとして完成しました。このプロトタイプを部署や社内で公開したところ、面白い試みだと評価していただけました。

この頃は本人の勉強のつもりだったので、開発も自分で調べたり、ChatGPTに聞いたりしながら、基本的には単独で開発していました。プロトタイプを公開してからも、少しずつ改良を進めていたのですが、2023年12月に他部署から機能追加の要望があり、そこからその部署と共同プロジェクトとして、本格的に業務として開発がスタートしました。

まずは、要望があった文字起こしのプレビュー機能などを実装したものをバージョン1.0として2024年1月に公開しました。この当たりから、Servrless Operationsにも相談するようになって、AWSアーキテクチャを中心とした技術的なアドバイスを元に開発を進めていました。
DX推進室佐藤室長からの言葉

佐藤室長

当時はOpenAIのChatGPTがきっかけとなって、生成AIの大ブームが起きていました。私自身も非常に面白そうだなと思って、自分でいろいろと触っていました。

そうしているうちに、私たちは開発部門ですから、自分達で開発するとしたらこんな風にできそうだと思いついて、システム構成を図に書いて部署内のWikiに投稿したんです。これを見た誰か社員が、やってくれたらいいな、くらいの気持ちで投稿したのですが、そうしたら見事に平林さんが手を挙げてくれたんです。

こうした開発は、業務命令でやらせるよりも、自分でやりたいと思って取り組む方がモチベーションが高くなります。だから、指示はしたくなくて、誰かがやってくれたらいいな、くらいの気持ちでだったんですが、それに対して平林さんが期待以上の動きを見せてくれました。
Make-Minutesの機能
Make-Minutesはブラウザベースのウェブアプリケーションになっており、音声ファイルをアップロードすると、音声認識AIが自動的に文字起こしを行い、その内容をLLMが整理、要約してテキストファイルの議事録として出力してくれます。議事録の内容は、議題ごとに議論の内容をサマリーしたものと、決定事項、それにともなう次のアクションも記述します。あらかじめ定めた議事録のフォーマットに揃えて出力しているので、一見しただけではAIによる自動作成とは分からないほど、議事録として完成したクオリティのものを出力することができます。

議事録作成の完了画面


人間が行わなければならない作業は、音声ファイルのアップロードと、会議の名称、日時、場所、参加者を入力することだけ。最短なら、2クリックで議事録を作成できます。音声認識による文字起こしデータも、閲覧したり編集したりできます。不要な部分をトリミングしたり、反対に特定の部分だけを切り出すといった使い方も可能です。

設定画面


Make-Minutesでは要約に利用しているGPT-4oはOpenAI APIを、その他のモデルついてはAWS Bedrockを経由しており、音声認識モデルは、Amazon TranscribeかWhisperを、利用者が選べるようにしています。前者を選ぶと話者分離が可能で、後者だと話者分離はできないですが認識精度が高く、処理速度も速いです。例えば1時間の音声ファイルなら、Amazon Transcribeだと15~18分、Whisperだと約3分ほどで文字起こしが作成されます。

高度な設定画面


そうやって文字起こしをしたものをOpen AIが開発したLLMのGPT-4によって要約して、議事録として成形しています。要約の際には、会議の内容や性質に合わせたプロンプトを、テンプレートとしていくつか用意しており、それを利用者が選択します。

デフォルトでは汎用的なテンプレートになっており、それでほとんどの会議はカバーできますが、例えば議題が明確な場合の会議であったり、自由な発想や意見を出すことが目的のワークショップだったり、プロジェクト開始時のキックオフミーティングであったりなどは、専用のテンプレートを用意しています。また、ユーザーが必要に応じて自分でプロンプトを組むことができるようにもなっています。

また、カスタムボキャブラリー辞書という機能も用意しており、建築・土木の専門用語や社内用語などを辞書ファイルとして設定しておくことで、音声認識の精度を高める事ができます。

プロンプトの設定画面

今後は更なる領域で生成AIの活用を目指す
現在ではMake-Minutes以外にも、BIM(Building Information Modeling)のデータを活用した建築パースに生成AIを活用する取り組みを手掛けています。BIMとは、建物の構造や材料、各部署の仕様や性能、部材の価格など、建物に関わるあらゆる情報を統合した上で、3次元モデルとして見える化する仕組みのことです。

このデータを使い、建物の完成予想図である建築パースを、画像生成AIであるStable Diffusionを使って描くことに挑戦しています。以前はそうした建築パースは、設計図を元に人間が描いていましたが、現在は3D CADのデータを元にしたCGが主流となっています。

それをさらにStable Diffusionを使うことで、天候や季節を変えたり、実際に人間が建物にいるといった、さまざまなシチュエーションのパースを短時間で作成することに挑戦しています。

これが実現すれば、例えばお客様との打合せにあたって、外壁の色を変えた際に、様々な状況での実際の見え方をリアルタイムでシミュレーションするといったことができるようになります。

一般的な事業会社での生成AIの取り組みの多くはLLMが中心ですが、Sutable Diffusionを始めとした画像生成の取り組みも増えてきました。AWSでもStable Diffusioの最新バージョンとなるStable Diffusion 3 Large、Stable Image Ultraが、一部のリージョンで使えるようになったことから、今後はさらに画像生成に関する企業の取り組みは増えていくでしょう。


【会社概要】
会社名:株式会社Serverless Operations
所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷3丁目51番10号
代表者:堀家隆宏
設立:2018年11月26日
URL:https://serverless.co.jp

株式会社Serverless Operations は「企業を支えるパートナーとして未来の成長の礎を作る」という理念の元、主に企業のDXを目指すお客さまにAWSクラウドの活用・導入支援を行っています。デジタルテクノロジーを戦略的に活用して、企業の競争力と成長を促 進するためのご支援を提供しております。

【お客様から及び本リリースに関するお問い合わせ先】
info@serverless.co.jp 担当;堀家
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