「フリーランス新法」施行、37.8%が「契約トラブル防止に期待できる」。「期待できない」の約2倍。「企業と対等に取引できるようになる」「法律を味方にできる」の声も




株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、全国のフリーランスとして働く個人(1,000名、独立系:776名、副業系:224名)を対象に実施した「フリーランスの意識・就業実態調査2024年版」の結果を発表しました。本調査は今回が初めての実施となります。


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【TOPICS】
◆フリーランスとして独立した人のうち、約半数が会社員時より収入が「減った」。職種によっては収入が大幅減となるも、62.1%が働き方に「満足」【図1、2、3】
◆フリーランスとして働く上での不安は「収入の不安定さ(38.8%)」が最多。直近1年間の最高月収は平均53.5万円、最低月収は平均11.3万円と収入に波がある結果に【図4、5】
◆約5人に1人が取引先との金額・納期・仕事内容に「交渉の余地なし」。職種によって「金額面について」交渉余地に差が出る結果に【図6】
◆「フリーランス新法」施行、3人に1人が契約トラブル防止に「期待できる」。「明文化・法令化されることが心強い」「権利を主張しやすくなりそう」【図7、8】
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【調査概要】
◆フリーランスとして独立した人のうち、約半数が会社員時より収入が「減った」
職種によっては収入が大幅減となるも、62.1%が働き方に「満足」
元会社員(正社員)で現在フリーランスとして独立している人に、働き方の違いを聞いたところ、「(会社員時代より)増えた」のは「仕事の進め方の自由度(79.9%)」が最も多く、次いで「私生活の幸福度(58.6%)」となった。対して、「(会社員時代より)減った」のは「仕事上のストレス(65.5%)」が最も多く、私生活も含めて充実している様子がうかがえた。
一方で収入については「増えた(計35.7%)」、「減った(計49.9%)」と、回答は様々だった。具体的な金額をみると、[ITエンジニア・開発系]は約73万円増加、[編集・ライター・印刷系]は約95万円減少しているなど、職種による違いがみられた。
働き方の満足度では、全体の62.1%が「満足」、職種別にみても5割以上が「満足」と回答した人によっては収入の減少はありつつも、働き方に満足している人が多いことがわかる。【図1、2、3】
【図1】



【図2】



【図3】



フリーランスとして働く上での不安は「収入の不安定さ(38.8%)」が最多
直近1年間の最高月収は平均53.5万円、最低月収は平均11.3万円と収入に波がある結果に
フリーランスとして働いている人の、働く上で不安なことは、「収入に波がある・不安定(38.8%)」が最も多く、次いで「収入額が少ない(31.6%)」となった。
直近1年間の最高月収と最低月収をそれぞれ聞いたところ、最高月収は「50~80万円未満(18.1%)」が最多となり、平均すると53.5万円。一方で最低月収は「なし(37.6%)」が最多で、平均すると11.3万円となり、毎月一定の収入がある会社員とは違った不安定さがみられた。また、職種別にみると[ITエンジニア・開発系]や[コンサルタント系]は最高月収・最低月収どちらも平均より高く、[建築・施工系]の最低月収は平均以下だが最高月収は平均以上と、職種によって異なる不安定さがあった。【図4、5】
【図4】



【図5】



約5人に1人が取引先との金額・納期・仕事内容に「交渉の余地なし」
職種によって「金額面について」交渉余地に差が出る結果に
フリーランスとして独立し、企業・団体から業務委託をされている人に、金額などの条件面について取引先と交渉できる余地があるかどうか聞いたところ、「業務範囲・仕事内容について(75.0%)」、「納期・スケジュールについて(71.9%)」、「金額面の交渉(61.7%)」と、それぞれ6割以上が「交渉ができる余地がある※1」と答えた。一方で、約5人に1人がいずれにおいても「交渉の余地がない(18.2%)」と答え、取引先に対して主張や意見をすることが難しい人も一定数いることがわかる。
「金額面について」職種別に交渉余地をみると、 [企画計事務]が84.4%で最も高く、次いで[コンサルタント系]が82.4%となった。最も低いのは[通訳・翻訳系]で35.9%と、職種によって交渉の余地に差があった。【図6】
※1 「十分交渉の余地がある」+「ある程度交渉の余地がある」の合計値
【図6】



「フリーランス新法」施行、3人に1人が契約トラブル防止に「期待できる」
「明文化・法令化されることが心強い」「権利を主張しやすくなりそう」の声も
フリーランスとして独立し、企業・団体から業務委託をされている人に「フリーランス新法※2」について期待感を聞いたところ、35.0%が「フリーランスとしての働きやすさの向上(総合的に)」に期待できると回答した。また、要素別では「契約トラブルの防止(37.8%)」に期待できるという回答が最も多かった。
「フリーランスとしての働きやすさの向上(総合的に)」について「期待できる」と回答した理由では、「法律を味方につけることができる」「いざというときの対応の仕方が判断しやすくなる」など、規則が明文化されたことを前向きに捉える回答や、「不利益があった時、意見できそう」といった、法律によって権利を主張しやすくなりそうという声がみられた。一方で、「期待しない」回答では「発注先が有利なことに変わりはない」「要望を言っていたら、仕事がなくなりそう」といった意見が多く、フリーランスが弱い立場である実態がわかる。【図7、8】
※2 公正取引委員会 https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2024/index.html
【図7】



【図8】



【調査担当者コメント】
今回、元会社員(正社員)で現在フリーランスとして独立している人の実態を調査することで、会社員時代より「仕事の自由度」「私生活の幸福度」などが増える傾向にあり、フリーランスとして働くことの満足度は6割超と高い水準であることがわかりました。企業の正社員においても副業が解禁されるなど、働き方の多様化が進むなか、フリーランスは今後さらに身近な選択肢となるかもしれません。
一方で、収入の不安定さについては多くの人が不安を感じており、ほとんどの会社員とは違い毎月一定額の収入が保障されず、収入がなくなるリスクと隣り合わせの状況が見られました。そのような中で、クライアント側の一方的なキャンセルや未払いが発生すると大きな打撃となることがうかがえます。
2024年11月に「フリーランス新法」が施行されることにより、トラブルの抑止や解消の手助けとなることが期待されています。
アンケートでは新法が施行されても「弱い立場は変わらない」という意見もありました。新法を皮切りに仕事に見合った適切な報酬や、納期等を交渉できる環境をフリーランス・企業側双方が考えていくことで、フリーランスとしてより安心して働けることに繋がるのではないでしょうか。
キャリアリサーチラボ 研究員 元山 春香


『フリーランスの意識・就業実態調査2024年版』
■調査期間/
2024年8月23日(金)~2024年8月27日(火)
■調査方法/WEBアンケート調査
(調査主体:株式会社マイナビ/アンケートモニター提供元:外部調査会社)
■調査対象/
全国の20-69歳の男女のうち、本業または副業でフリーランスに該当する業務※3を行っている人
※3フリーランスの定義は以下として、本業または副業であてはまるかどうかを回答してもらった
定義:
1. 雇い主がいない、個人事業
2. 1.の事業のための実店舗はない
3. 1.の事業において従業員を長期で雇用していない
■有効回答数/
1,000名(独立系:776名、副業系:224名)
※調査結果の詳細はこちら
(https://career-research.mynavi.jp/reserch/20241021_86947/ )からご確認いただけます。
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