戦後、アジアの各地で行われた“戦犯”裁判により処刑、獄中死された方々の遺書遺稿集。1953年刊『世紀の遺書』から85篇を新字体、現代仮名遣いにして復刊
戦争犯罪人と云うレッテルを押され、多くの人々が地上から消えた。しかし、その人たちの声だけは消えずに残されている。それは絶叫ではなくして静かで小さな声だ。
日本人は一人のこらずこの人たちの声に耳かたむけ、戦争と敗北の運命をことごとく自己の問題として、あらためて考えなおさなくてはならない。民族の犠牲というかなしい結末が、新しい生命の息吹きとなって、私たち日本人の盲目となった眼をひらかしめることを私は疑わない。
ヒューマニズムの所在は形式的な戦争裁判にあるのではなく、その裁判によって鬼畜と断定され、死を宣せられた人格のなかにあるように思われる。
人間のもっとも大切な生命のぎりぎりの場からかがやき出たもの、しかもその死が個人的なものでなく、日本と日本人全体との責任によって生じたものであるのに、騒音によってかきまわされた昏迷のため、この人たちの言葉をかみしめないならば、日本民族に救いはないと思われる。
「世紀の遺書」を日本人が一人のこらず読むことが望まれる。
火野葦平「日本人必読の書」より
・書籍情報
書名:新字体・現代仮名遣い版 世紀の遺書―愛しき人へ
編者:巣鴨遺書編纂会
仕様:A5判 並製 408ページ
ISBN:978-4-8024-0185-2
発売:2024.10.24
本体:2,500円(税別)
発行:ハート出版
書籍URL:https://www.810.co.jp/hon/ISBN978-4-8024-0185-2.html
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