学歴フィルターに関する国内の意識調査
調査背景
この調査の背景には、近年、採用における学歴フィルターの存在やその影響に対する関心が高まっていることが挙げられます。特に日本では、企業の採用プロセスにおいて学歴が長らく重要視されてきた一方で、近年はスキルや実務経験、個々の適性が重視される傾向が強まりつつあります。この調査は、学歴フィルターが現代の採用プロセスにおいてどのような役割を果たしているのかを明らかにするため、幅広い業界で働く人々を対象に実施しました。特に、学歴が就職や採用の際にどの程度影響するのか、また、企業が採用時に学歴フィルターを導入しているかどうか実態を把握することを目的としています。
主なトピック
・上位校出身者は大企業での雇用や高年収を得る傾向があり、特に30代以降にその差が顕著になる。
・就活の際に、学歴が影響があったと回答した人は63%。
・40%の採用担当者が、候補者を評価する際に学歴を重視すると回答した。
調査結果詳細
1. 以下の選択肢から卒業した大学や専門学校に該当するものを教えてください
・国公立大学 79名(24%)
・早慶上智 29名(10%)
・MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政) 24名(8%)
・関関同立(関西学院・関西・同志社・立命館) 9名(3%)
・日東駒専(日本・東洋・駒澤・専修) 9名(3%)
・その他私立大学 79名(26%)
・専門学校 35名(12%)
・高校 41名(14%)
・その他 2名(1%)
2. 現在の会社が属している業界を教えてください
業界ごとに学歴の偏りが見られ、特にコンサルや金融、商社は高学歴層が多く、サービスや小売は幅広い学歴層が就職しています。
3. 学群と会社の規模の相関関係
大学グループ別のデータを見ると、国公立大学や早慶上智の出身者は大企業に所属する割合が高く、特に早慶上智では1000人以上の規模の企業に多く就職している傾向が強いことがわかります。
一方で、専門学校や高校出身者は小規模から中規模企業への所属が多く見られ、規模の大きな企業へ進む割合は比較的低いです。
4. 20代の学群別年収一覧
20代の年収では、国公立大学やMARCH出身者は最低でも400万円の年収帯に分布していますが、その他私立大学、専門学校、高校出身者では300万円未満の年収も目立ち、特に高校出身者は300万円未満の割合が高い傾向にあることがわかります。
5. 30代の学群別年収一覧
30代の年収では、国公立大学や早慶上智出身者には、600万円以上の年収層が一定数いる一方で、その他私立大学や専門学校、高校出身者では300万円未満や300万円帯に集中しており、収入の差が明確に見られます。
6. 40代の学群別年収一覧
40代の年収では、国公立大学や早慶上智出身者には700万円以上の高収入層が多く、特に早慶上智は800万円以上に集中しています。一方、その他私立大学や専門学校、高校出身者は300万円未満の低収入層が目立ち、高収入層が少ないことがわかります。
7. 50代の学群別年収一覧
50代の年収では、国公立大学出身者には600万円以上の高収入層が一定数いる一方、MARCHや関関同立、日東駒専、その他私立大学、専門学校、高校出身者は300万円未満や400万円帯に集中し、高収入層は少ないことがわかります。
8. 学歴は、就職時にどの程度影響したと感じますか?
・非常に影響があった 41名(14%)
・ある程度影響があった 148名(49%)
・あまり影響がなかった 78名(26%)
・全く影響がなかった 16名(5%)
・分からない 17名(6%)
9. あなたの業界では、採用時に学歴フィルターが存在すると感じますか?
・強く存在している 48名(16%)
・ある程度存在している 146名(49%)
・ほとんど存在していない 68名(23%)
・全く存在していない 14名(5%)
・分からない 24名(8%)
10. 採用を担当している場合、学歴は候補者を評価する上でどの程度重視しますか?
・非常に重視する 19名(6%)
・ある程度重視する 102名(34%)
・あまり重視しない 52名(17%)
・全く重視しない 6名(2%)
・採用担当ではない 121名(41%)
11. 採用基準に学歴を用いている場合、その主な目的は何ですか?(複数選択可)
・一定の学力基準を確保するため 129名(43%)
・優秀な人材を確保するため 83名(28%)
・候補者の数を絞るため 79名(26%)
・社内の文化や価値観に合った人材を選ぶため 26名(9%)
・クライアントやパートナー企業の期待に応えるため 9名(3%)
・学歴フィルターは導入していない 7名(2%)
・採用担当ではない 139名(46%)
代表取締役 末永雄大のコメント
今回の調査では、学歴が採用やキャリアに与える影響が顕著であることが分かりました。回答者の卒業校別の内訳では、国公立大学や早慶上智などの上位校出身者が多くの割合を占めており、その他私立大学や専門学校、高校卒業者も一定数見られました。次に、現在の勤務先についての調査では、サービス業が最も多く、これに続いて小売業とメーカー業の回答が多かったですが、様々な業界に回答者が分布していることが分かりました。
学歴と企業規模の関係では、上位校の出身者が大企業に多く所属している一方で、専門学校や高校卒業者は小規模な企業に勤務する傾向が見られました。さらに、年収に関しては、20代から30代では国公立大学や早慶上智出身者の方が比較的高収入の割合が多く、30代以降になるとこの傾向がより顕著になっています。特に40代から50代にかけて、国公立大学や早慶上智の出身者が800万円以上の高年収を得る割合が多くなり、学歴と年収の関係が長期的に続くことが伺えます。
就職活動中に学歴がどの程度影響したかという質問に対しては、全体の63%の人が「影響があった」と回答しました。その中でも、14%の人が「非常に影響があった」と回答しました。一方で、学歴が就職活動に「全く影響がなかった」と回答した人は5%と非常に少ないことが確認できました。
さらに、業界における学歴フィルターの存在については、「存在している」と回答した人が全体の65%という結果になりました。また「強く存在している」と全体の16%の人が回答しました。この結果から多くの業界で採用時の学歴フィルターが存在していることが伺えます。しかし、全体の5%の人が「全く存在していない」と回答していることから、企業によって学歴フィルターの影響に差があることがわかります。
また、学歴を採用時にどの程度重視するかという質問に関しては、全体の40%の採用担当者が「重視する」と回答しましが、「非常に重視する」と回答した人は全体の6%と、学歴以外の要素も重視されていることが分かります。採用において、学歴フィルターを使用する理由については、「一定の学力基準を確保するため」と全体の43%の採用担当者が回答し、次いで「優秀な人材を確保するため」「候補者の数を絞るため」が挙げられました。この結果から、学歴は単なる学力の指標としてだけでなく、企業文化に適した人材を見極める手段としても使われていることがわかります。
全体的な結論として、学歴が採用やキャリアに強い影響を及ぼしていることが分かります。上位校出身者は大企業での雇用や高収入の傾向が見られ、特に30代以降に学歴の影響が収入に顕著に表れています。また、採用において多くの企業が学歴フィルターを用いており、一定の学力や適性を保証する手段として学歴を重視していることもわかります。
ただし、学歴がすべてではなく、特に幅広い業界にさまざまな学歴の人が活躍している点から、キャリアの多様性も示唆されています。このため、学歴はキャリアにおいて一つの要因であるものの、最終的には個人の能力や経験がキャリアの質を決定する重要な要素であると考えられます。
まとめ
・上位校出身者は大企業での就職や高年収に結びつきやすく、その影響は特に30代以降で顕著になる。
・全体の約6割の人が学歴フィルターを経験。
・学歴フィルターを導入している理由として、学力を測るためだけではなく、企業文化と合っている人材であるか見極める指標としても使われている。
調査概要
調査名:日本国内の「学歴フィルター」に関する意識調査
調査対象:日本国内の就業経験がある20代~60代の男女 300名
調査年月:2024年10月12日
調査機関:自社調べ
調査方法:インターネット調査(クラウドワークス)
有効回答数:300名
回答者の年齢構成:20代:25名、30代:98名、40代:139名、50代:34名、60代:4名
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