「建設業」の倒産動向(2024年1-10月)
帝国データバンクは、「建設業」の倒産発生状況について調査・分析を行った。
<調査結果(要旨)>
- 「建設業」の倒産急増、過去10年で最多ペース
- 深刻な「職人不足」で苦境 人件費の高騰も経営を圧迫
集計期間:2024年10月31日まで
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
調査機関:株式会社帝国データバンク
中小建設業の苦境が続いている。2024年に発生した「建設業」の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は、10月までに1566件となった。8年ぶりの高水準を記録した前年をさらに上回る急増ペースで推移し、通年では過去10年で最多を更新する見込みとなっている。
木材をはじめとした建築資材価格の高止まりに加え、建設現場での「職人不足」と求人難に伴う人件費の高騰が、中小建設業者の経営を圧迫している。帝国データバンクの調査では、人手不足感を抱える建設業の割合は2024年9月時点で69.8%に上り、高水準での推移が続いている。
都市部を中心に再開発事業が活発なほか、災害復旧工事などで工事需要が旺盛な一方、今年4月から残業時間の上限規制が導入され、建築作業を担う職人や現場監督の求人難が鮮明となっている。深刻な人手不足は建設現場における人件費の高騰にも影響し、24年7月の現金給与総額は前年同月比で約10%上昇、全産業を大幅に上回る高い伸びが続いている。業務遂行に不可欠な資格を持つ従業員が転退職するなどして事業運営が困難になった「人手不足倒産」も前年を上回るペースで推移しており、「人がいない」ことで工期の延長や後ろ倒しといった悪循環が発生しやすい環境が、中小建設業の倒産件数を押し上げる大きな要因の一つとなっている。
足元では、戸建て住宅などの価格高騰や金利上昇を背景に「住宅着工が振るわない」といった企業もあり、業界環境は混沌としている。内外からの賃上げ圧力に晒されるなかで、賃金引き上げ余力に乏しい中小零細規模の建設業で倒産増が続く可能性が高まっている。
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