「歯科医院」の倒産・休廃業解散動向(2024年1-10月)




帝国データバンクは、「歯科医院」の倒産・休廃業解散発生状況について調査・分析を行った。

<調査結果(要旨)>
- 「歯医者」の倒産・廃業、前年超え年間最多 前年比1.8倍ペース
- 歯科医の高齢化が影響 廃業時の平均年齢は70歳にせまる


集計期間:2024年10月31日まで
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産、休廃業・解散
調査機関:株式会社帝国データバンク


「歯医者」の淘汰が過去最多ペースで進んでいる。2024年に発生した歯科医院(歯医者)の倒産(負債1000万円以上、法的整理)が前年比倍増の25件、休廃業・解散(廃業)が101件発生し、10月までに計126件が市場から退出した。23年通年の件数(104件)を超えて年間最多を更新するなど、前年比1.8倍の記録的なハイペースで推移している。





経営者の平均年齢が60歳を超えるなど高齢化が進む歯科業界では、近年は特に歯科医の高齢化が要因とみられる廃業が目立っている。2024年に「休廃業・解散」となった歯科医院の代表者年齢は69.3歳と70歳に迫るほか、最高齢は90歳超と集計可能な2016年以降で最高を更新した。

また、歯科衛生士等の人手不足や後継者難に加え、「コンビニよりも多い」と指摘される供給過剰感や、虫歯治療で用いる銀などの合金をはじめとした物価高騰に伴う材料費等の値上げが重なり、収益環境も厳しい状況が続いている。こうしたなか、マイナ保険証に対応した関連設備の導入など電子化も求められ、新たな設備投資が必要となったことも、高齢の歯科医師が運営する歯科医院で廃業が増加した要因の一つとみられる。

足元では、「虫歯治療などに代わってホワイトニングなど審美目的の受診が目立つ」といった歯科医院もあり、患者が求めるデンタルヘルスのニーズはより多様化している。新たな設備投資やホワイトニングなど高付加価値の治療で顧客を獲得する若い歯科医と、高齢を理由に廃業を選択する歯科医との二極化が今後加速するとみられる。
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