Alnylam Japan株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 岡田裕、以下「アルナイラム」)は、「アムヴトラ(R)」(一般名:ブトリシランナトリウム、以下「アムヴトラ」)について、トランスサイレチン型心アミロイドーシスを対象とした治療薬として医薬品製造販売承認事項一部変更申請を行いましたので、お知らせします。


トランスサイレチン型心アミロイドーシスは、急速に進行し、身体的に衰弱させ、死に至ることも多い疾患です。


今回の申請は、第III相HELIOS-B試験の肯定的な結果に基づくものです。本試験は、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(遺伝性または野生型)と診断された655名の成人患者が登録された、第III相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同の国際共同試験です。全死因死亡及び再発性心血管関連イベントの主要複合評価項目の減少というアムヴトラの有効性及び安全性を評価するように計画されました。本試験のデータは、英国ロンドンで8月30日から9月2日まで開催された欧州心臓病学会(ESC Congress 2024)のHot Lineセッションで発表されました。同時に『The New England Journal of Medicine』誌にも掲載されました。


アルナイラムの代表取締役社長、岡田裕は「トランスサイレチン型心アミロイドーシスは、症状の進行が早く、死に至るケースもある疾患です。心不全の原因としても認知されるようになっており、多くのアンメットニーズが存在します。アムヴトラの適応追加が新たな治療選択肢となり、患者さんに貢献できるよう、承認取得に向け引き続き尽力してまいります」と述べています。


アムヴトラは現在、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの治療薬として日本を含む15か国以上で承認・販売されています。日本では、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型及び変異型)に対して2024年8月28日に希少疾病用医薬品に指定され、優先審査の対象となっています。海外では、米国、EUにおいて、トランスサイレチン型心アミロイドーシスの治療に対する適応追加のための一部変更申請を提出しています。



アムヴトラ(R)(ブトリシラン)の効能・効果および重要な安全性情報

効能・効果
アムヴトラは、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの治療に適応しています。なお、トランスサイレチン型心アミロイドーシスの承認を有している国/地域はありません。


重要な安全性に関する情報
血清ビタミンAレベルの低下と推奨される補給

アムヴトラ投与は血清ビタミンAレベルの低下を引き起こします。


アムヴトラを服用している患者さんには、ビタミンAの推奨1日摂取量(RDA)の補給が勧められています。血清ビタミンAレベルは体内の総ビタミンAレベルを反映していないため、アムヴトラの治療中に正常な血清ビタミンAレベルを達成しようとして、RDAよりも高い用量を与えるべきではありません。


患者さんがビタミンA不足を示唆する眼科症状(例:夜盲)を発症した場合は、眼科医への紹介が必要です。ビタミンAレベルに関する詳しい情報(妊娠中の警告と影響に関する情報を含む)については、インタビューフォームをご参照ください。


副作用
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの治療のためにアムヴトラを使用した患者さんで発生した最も一般的な副作用は、注射部位反応(3%以上)、およびビタミンAの減少(3%以上)でした。


Vutrisiranに関する追加情報については、添付文書の全文をご覧ください。


アムヴトラ(R)(ブトリシラン)について
アムヴトラ (ブトリシラン) は、標的となる特定のメッセンジャーRNA(mRNA)を分解し、野生型および変異型 TTR タンパク質が作られる前にその産生を阻害するように設計されたRNAi治療薬です。本剤は、3カ月に1回の皮下注射により投与され、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの治療薬として15か国以上で承認・販売されています。またアムヴトラは、野生型および遺伝性の疾患の両方を含むトランスサイレチン型心アミロイドーシスの治療薬として開発中です。

トランスサイレチン型アミロイドーシスについて
トランスサイレチン型アミロイドーシス(ATTR)は、ミスフォールドされたトランスサイレチン(TTR)タンパク質が原因で、神経、心臓、胃腸などの体の様々な部位にアミロイド沈着物として蓄積する疾患です。診断が難しく、急速に進行し、身体的に衰弱させ、死に至ることも多い疾患です。患者は、多発性神経症、心筋症、または両方の病状を示すことがあります。ATTRには2つの異なる形態があります。遺伝性ATTR(hATTR)は、TTR遺伝子変異によって引き起こされ、患者数は全世界で約50,000人います。一方、野生型ATTR(wtATTR)は、TTR遺伝子変異なしに発生し、推定患者数は全世界中で200,000人~300,000人におよびます1-4。

RNAiについて
RNAi(RNA interference :RNA 干渉)は、遺伝子発現抑制(サイレンシング)という細胞内の自然なプロセスであり、現在、生物学と創薬の分野で最も期待され急速に進歩している最先端領域の一つです5。RNAiの発見は「10 年に 1度の画期的な科学の前進」とされ、その功績に対して2006年にはノーベル生理学・医学賞が贈られています6。RNAi治療薬は、細胞内で生じるこの自然な生物学的プロセスを利用した新しい作用機序を持つ薬剤として誕生しました。RNAiの作用機序は、アルナイラム社のRNAi治療薬のプラットフォームであるsiRNA(small interfering RNA:低分子干渉RNA)が、疾患に関与するタンパク質をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)の発現を抑制(サイレンシング)することで、そのタンパク質の産生を阻害するというものです5。RNAi治療薬は、遺伝子疾患などの治療法を変える可能性が示唆されている新たなアプローチです。

Alnylam Pharmaceuticals 社について
Alnylam Pharmaceuticals社(Nasdaq:ALNY)は、RNAi技術を、希少疾患や一般的な疾患に苦しむ患者さんの治療や生活の質を改善することが期待される医薬品に応用するリーディングカンパニーです。RNAi治療薬はノーベル賞を受賞した科学に基づいており、アンメットニーズの高い難治性疾患を臨床的に実証されたアプローチで治療する革新的な医薬品です。当社は、2002年の設立以来、RNAi治療プラットフォームにより、科学的可能性を現実のものにするというビジョンを実現しています。当社は、後期開発段階の複数の製品候補を含む、充実したパイプラインを有しています。今後も引き続き、希少疾患と一般的な疾患の両方に対して変革をもたらす治療薬を生み出すことを目標とした「Alnylam P5x25」戦略を遂行し、持続可能なイノベーションと優れた財務実績を通して世界中の患者さんに貢献し、その結果としてバイオ医薬品のリーディングカンパニーとして認知されることを目指します。当社はマサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置きます。


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1 Hawkins PN, Ando Y, Dispenzeri A, et al. Ann Med. 2015;47(8):625-638.
2 Gertz MA. Am J Manag Care. 2017;23(7):S107-S112.
3 Conceicao I, Gonzalez-Duarte A, Obici L, et al. J Peripher Nerv Syst. 2016;21:5-9.
4 Ando Y, Coelho T, Berk JL, et al. Orphanet J Rare Dis. 2013;8:31.
5 Elbashir SM, Harborth J, Lendeckel W, et al. Nature. 2001;411(6836):494-498.
6 Zamore P. Cell. 2006;127(5):1083-1086.



AMV-JPN-01054 | November 2024
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