【第1弾】青少年とのコミュニケーションにおける関係構築に、ゲーム交流が有効である可能性を示唆
ゲーミフィケーション事業を展開する株式会社セガ エックスディー(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 執行役員 CEO:谷 英高、以下:セガXD)は、富士通株式会社(本店:神奈川県川崎市、代表取締役社長:時田 隆仁、以下:富士通)、認定NPO法人カタリバ(本社:東京都中野区、代表理事:今村 久美、以下:カタリバ)らとともに、青少年たちの非行化を、ゲームをきっかけに未然に防ぐことを目的とした、ゲームでつながる相談室「GAME CHILLAX(ゲーム チラックス)」(以下:本プロジェクト)にて実証を開始しました。また、第1弾となる実証実験を2024年10月に実施し、青少年とのコミュニケーションにおけるきっかけづくりおよび関係性の構築に、ゲーム交流が有効である可能性が示唆されたことをお知らせします。
本プロジェクトは、悩みを持つ青少年を能動的に探し出し寄り添うことで、青少年の非行化を未然に防ぐ取り組みに着目し、多くの青少年たちが楽しんでいる“ゲーム”を活用することが有用なのではないかという仮説のもとスタートしました。今回はその第1弾として、オンラインゲームで遊ぶ青少年への直接的なコミュニケーションの有用性を検証することを目的に、学校法人角川ドワンゴ学園協力の元、同校の生徒を対象に実証実験を行いました。
具体的には、初見となる青少年とユースワーカー(青少年の成長を手助けする専門スタッフ)がオンライン上でペアとなりゲームをしながら、ビデオ通話を通じて会話をするというものです。これまでユースワーカーが、青少年と相対する中であげられる課題の一つとして、会話のきっかけづくりや、青少年たちによる発言を引き出すことの難しさがあげられてきました。
本実証実験では、6チームのペアを組み、約1時間の実験を行った結果、各チームとも途切れることなく会話することができ、プライベートな事柄についても青少年が自発的に言及するケースも確認され、青少年との関係性を構築する施策として、ゲームによる交流が有効である可能性を示唆する結果となりました。
■ 背景
青少年の犯罪がメディアでも度々取り上げられている昨今、非行に走る青少年たちが増加する現状に対して、未然に防ぐ手段が非常に少ないことに苦慮し、社会全体で手を差し伸べる仕組みが欠如していることが問題であると本プロジェクトチームは捉えています。そこで、生成AI・マッチング技術などのIT技術により相談空間の実装を実現する富士通、ゲームの社会実装によって改題解決を行うセガ XD、そして日々青少年たち向き合うカタリバが、それぞれのノウハウを持ち寄り、共同で実証実験をするに至りました。
■ 今後の展望
本プロジェクトでは、カタリバがこれまで青少年に居場所や学びの支援を提供する中で課題として感じていた、多くの「支援が必要でも自ら声を上げることができない青少年」を見つけ出し、より多くの青少年を助けることにつなげるための仕組みづくりを目指しています。ゆくゆくは、課題を抱える自治体と連携を行うなど、活動の展開方法についても考えて参ります。
今回の実証実験では、第1弾として、コミュニケーションにおけるゲームの有用性の実証を目的に特定の対象との交流をベースに検証を行いました。今後は、能動的に非行を防ぐ仕組みづくりを目指すべく、SNSによるアウトリーチ※ など、悩める青少年たちを見つけ出し、コミュニケーションを図ることの有用性についても実証して参ります。
また、本プロジェクトは、ゲームを仕事にしたい多くの青少年たちの新しいキャリアのきっかけとして、ゲームによるアウトリーチ活動が子ども・青少年支援に関わる入口となる可能性についても見出していければと考えています。
※アウトリーチ:援助が必要であるにもかかわらず、自発的に申し出をしない人々に対して、公共機関などが積極的に働きかけて支援の実現を目指すこと
■ プロジェクト概要
名称:ゲームでつながる相談室「GAME CHILLAX(ゲーム チラックス)」
主催:富士通、セガXD、カタリバ
<実証実験>
目的:ゲーム交流を通じて相談しやすい関係性を構築できるかを検証
実施時期:2024年10月7日(月)
被験者:学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校・S高等学校・N中等部の生徒 6名
実証方法:
・オンライン環境で青少年とユースワーカーがゲーム交流
被験者(青少年)とユースワーカーがペアとなり約1時間にわたり会話を行う。また、会話テーマは問わず、協力プレイ、対戦プレイなどゲーム内のルールに沿ってゲームを行いながらコミュニケーションを図る。
・外部チャットツールなどを使い相談の場所と時間を確保
・アンケートによる効果検証
■ 実験結果
今回の実験では、ゲーム交流による青少年とのコミュニケーションのきっかけづくりおよび関係性の構築について、有効である可能性が示唆されました。
・被験者全員とユースワーカーは世代が異なるが、同じ世界観(ゲーム)の中で会話をすることにより、会話が途切れることはなかった
・ユースワーカーの方のゲームスキルによる差異は見受けられなかった
・ゲームを行うことにより、賞賛や感謝を贈りやすく、寄り添いや共感をもったコミュニケーションとの相性がよかった
・打ち解け度の平均は、5段階中、青少年が4/ユースワーカーが3.6と、青少年の方が話しやすかったと捉えていることが伺える
<会話量グラフ> ※1ケース
■ 各社コメント
富士通株式会社 パブリック事業本部 デジタルビジネスデザイン統括部 マネージャー 千葉 梢
未来に向けて永く安心安全な社会を実現するため、青少年という属性に着目したこのプロジェクトは、課題を解決するためにはどのような力を組み合わせることが必要か?ということを考え、エンタメの力、青少年サポートの力、IT技術の力、を集結して実現しました。
今回の実証では、プロフェッショナルの力や想いが重なると、届けたい相手にこんなにも届く、という成果が示されたと実感しています。「たまたまラッキーだったから悩みを打ち明ける人がいた」ではなく、より多くの青少年が気軽に、居場所にアクセスし相談できる空間を、IT技術の力を使ってさまざまな場所で再現できる仕組みとして社会に実装してまいります。
認定NPO法人カタリバ 相談チャット事業責任者 藤井理夫
私たちは不登校や子どもの貧困、ヤングケアラーなどの社会課題に対してオンラインで伴走支援する取り組みを行っています。その中で、青少年自身が人間関係での傷つきを経験していたり、本人に人と交流する意欲が乏しかったりとコミュニケーションのハードルが高いケースにしばしば直面します。そうした他者と繋がれない青少年に対して、家庭訪問による対面支援であれば、ただ同じ空間を共有するという交流も可能になりますが、オンラインではそれはできません。地理的・時間的な制約を受けにくく、アクセスが容易なオンライン支援には大きなメリットがある一方で、こうした課題もあります。さらに保護者相談の現場では、お子さんがオンラインゲームに多くの時間を費やしているという相談が多数寄せられています。青少年にとってオンラインゲームが居場所になっている現状がありますが、同時に様々なトラブルに巻き込まれるリスクもあります。そのような中で、安心安全に第三者の大人とゲームを通じた交流の場があり、その先に必要な支援に繋がっていくのであれば、大きな可能性を秘めているのではないかと考えています。
株式会社セガ エックスディー 取締役 執行役員 COO 伊藤 真人
青少年の価値観やライフスタイルが多様化している一方で、多様な価値観を認め合うダイバーシティ&インクルージョンはまだまだ浸透しきっておらず、青少年の生きづらさは大きな社会問題となっています。我々セガ エックスディーは、人を夢中にさせるエンタテインメントとしてのゲームを、課題解決の手段として活用していくことができると強く信じています。ゲームを活用することで、生きづらさを感じる青少年たちの悩みが少しでも解決することに加え、ゲームを職業にしたいと考える青少年の新たなビジネスの受け皿にもなり得るのではないか、と考え今回の実証を実施しました。引き続き実証を重ね、ゲームの社会実装を目指していきます。
■富士通株式会社 会社概要
会社名 富士通株式会社
代表者 代表取締役社長 時田 隆仁
所在地 神奈川県川崎市中原区上小田中4-1-1
設立 1935年6月
事業内容 サービスソリューション、ハードウェアソリューション
ユビキタスソリューション、デバイスソリューション
URL https://global.fujitsu/ja-jp
■ 認定NPO法人カタリバ 団体概要
どんな環境に生まれ育った10代も、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指し、2001年から活動する教育NPO。コロナ禍以降はオンラインを活用して経済的事情を抱える家庭やメタバースを活用して不登校の子どもたちに学習支援を行うなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組んでいます。
団体名 認定NPO法人カタリバ(認定特定非営利活動法人カタリバ)
代表者 代表理事 今村 久美
所在地 東京都中野区中野5丁目15番2号
設立 2001年11月1日
事業内容 1.人づくりを通じた社会活性化に関する事業
2.キャリア学習イベント等活動の企画・実施事業
3.普及啓発事業
4.災害等により学習環境に恵まれない人たちのための、通信教育、学習相談その他の教育事業
5.その他目的を達成するために必要な事業
URL https://www.katariba.or.jp
■ 株式会社セガ エックスディー 会社概要
セガXDは、ゲーミフィケーションで企業や社会の課題を解決するゲーミフィケーションカンパニーです。セガXDは、人々を夢中にさせるゲーミフィケーションメソッドを中心とした技術やデザイン、世界観をつくる力と、日々研究開発を進める AR / VR などの最新テクノロジーを掛け合わせ、人々の"感情を動かす"ノウハウを強みに、事業戦略から大規模開発・プロモーションまで、一気通貫で企業課題・社会課題の解決に取り組んでいます。
会社名 株式会社セガ エックスディー
代表者 代表取締役社長 執行役員CEO 谷 英高
所在地 東京都新宿区西新宿6-18-1 住友不動産新宿セントラルパークタワー 20階
設立 2016年8月1日
事業領域 ゲーミフィケーション
事業内容 エクスペリエンスデザイン事業
マーケティングプラットフォーム事業
URL https://segaxd.co.jp/
記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。
本文書に記載している情報は、発表日時点のものです。
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