気候変動で深刻化する異常気象
台風20号による暴風雨に見舞われた南カマリネス州では、政府発表によると、100人以上が死亡、50万人以上が洪水により家を追われた。大半の地域では1週間経っても水が引かなかった(フィリピン、10月31日撮影)(C) UNICEF/UNI680322/San Diego
【2024年11月12日 マニラ発】
フィリピンを立て続けに襲った大型台風の被害は、広範囲に及んでいます。数千世帯が未だに安全な水や衛生施設を利用できず、2,000万人に上る子どもたちの学習が中断されたままです。
* * *
先月末、猛烈な熱帯低気圧である台風20号(現地名クリスティン)と超大型の台風21号(同レオン)は、フィリピンの13の地域と29の州に壊滅的な被害をもたらし、約130万人の子どもを含む少なくとも420万人が影響を受け、30万人以上が避難を余儀なくされました。
そして、今月7日には熱帯性暴風雨である台風22号(同マルセ)が、12日には23号(同ニカ)が、ほぼ同じ地域に影響を及ぼし、さらに新たな台風24号(同オフェル)の危機が迫る中、フィリピン政府は、さまざまな対応を強化しています。被害が予想される地域では、気候変動の影響で深刻化している異常気象に備えています。
ユニセフ・フィリピン事務所代表のオユンサイハン・デンデブノロブは、「緊急事態の発生時や発生後の救命物資の重要性は、いくら強調してもしきれません。私たちは政府や他の支援団体などと協力し、感染症の発生やまん延を防ぎ、子どもたちの命を守るため、被災した子どもたちと家族に水、衛生設備、衛生用品を提供しています」と述べています。
被災地は、今回の台風被害を受ける以前から、基本的な水・衛生サービスの普及率や利用率が低い地域でした。今回の連続台風により、その状況はさらに悪化しています。飲料水の汚染をはじめとする衛生環境の悪化や感染症の発生の要因にもなる屋外排泄の事例も多数報告されています。
ユニセフは、10月31日からこれまでに、ルソン島中部ビコール地域の南カマリネス州とアルバイ州の最も被害の大きかった地域で、目標としている3,300世帯のうち2,950世帯に衛生キットと給水キットを届けました。国際NGOや地元のNGOと連携し、残りの350世帯にも今後数日以内に届ける予定です。
ユニセフはパートナーとともに、台風で被災した地域に水や衛生キットを配布している(フィリピン、10月31日撮影)(C) UNICEF/UNI680390/San Diego
南カマリネス州とアルバイ州では、地元の教育省学校課と連携し、1万4,594人の子どもが学び765人が教壇に立つ25の学校と5つの地域開発センターに教育用品を配布。教師・生徒キット3,261セット、幼児ケア・育成キット32セット、レクリエーション・キット38セットが提供される予定です。また、教師1人と生徒40人分の教材や学用品が含まれた、どんな場所も「教室」にする「箱の中の学校」と呼ばれる支援物資25セットも提供する予定です。
フィリピン政府教育省は、ビコール地域の少なくとも500校がこうした支援を必要としていると推定しています。
「子どもたちの学習が妨げられないようにすることは、ユニセフの支援活動における優先事項の一つです」と、ユニセフ・フィリピン事務所の教育専門官、伏見暁洋は語ります。「ユニセフは、学校が避難所としてではなく、子どもたちに安定した学習環境を提供する場所として確保されるよう、各方面に働きかけています」
* * *
■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(https://www.unicef.or.jp )
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ
関連記事