政敵を次々とギロチン送りにした「恐怖政治の元凶」という評価は正しいのか? サントリー学芸賞を受賞した俊英が「独裁者」の正体に迫ります。

『トクヴィルの憂鬱』で第34回サントリー学芸賞を受賞した政治学者・高山裕二さんが、フランス革命で「恐怖政治」を行い最後はギロチンで処刑された悲劇の革命家の生涯を描いた、『ロベスピエール:民主主義を信じた「独裁者」』(新潮選書)が、新潮社から11月20日(水)に発売されます。






フランス革命において、人民の圧倒的な支持を背景に独裁政治を行い、政敵を次々と粛清、最後は自らも断頭台で葬られたロベスピエール。「私は人民の一員である」と言い続けた勤勉実直な元祖〈ポピュリスト〉は、なぜ冷酷非道な〈暴君〉に堕したのか。気鋭の政治学者が、その波乱に満ちた生涯を克明に辿り直し、じつは誰よりも民主主義を信じ、それを忠実に実行しようとした革命家の姿を浮かび上がらせる。矛盾に満ちた政治家の思想から、現代民主主義の抱える「問題の核心」を鋭く問い直す画期的評伝。

■目次

プロローグ 「独裁者」のメッセージ
第I部 青春
第1章 美徳と悪徳
第2章 「名誉」を超えて
第3章 心の「師」との出会い
第4章 「幸福の革命」に向けた三つの矢
第II部 革命の幕開け
第5章 ヴェルサイユの華
第6章 能動市民と受動市民
第7章 堕ちた〈象徴〉
第8章 帰郷
第9章 「陰謀」への強迫
第III部 共和国の誕生
第10章 〈民の声〉は「神の声」か?
第11章 恐怖時代の幕開け
第12章 「生存権」の優位
第13章 革命政府の成立
第IV部 恐怖政治の時代
第14章 恐怖政治の由来
第15章 ジェルミナルのドラマ
第16章 革命の祭典
第17章 大恐怖政治
第V部 最期
第18章 失脚
第19章 「暴君」の最期
第20章 マクシミリアンの影
エピローグ 《透明さ》を求めて

■著者コメント

今日、ロシアをはじめ東欧や南米の一部の〈ポピュリスト〉と呼ばれる政治指導者によって民主主義が偽装され、個人や一部の利害関係者のために利用されている。そして「西側」内部でも、権威主義に肯定的な意見が広がる中、権威主義化とは異なる民主主義の未来を描くことは困難になりつつある。こうした時代にあって、本書はフランス革命の「独裁者」と呼ばれる男の残したメッセージの軌跡をたどることで、民主主義の危うさとともにその可能性を探ってみたい。ロベスピエールのような人間が活躍するのは望ましい時代とは思えないが、世界中で民主主義への不信が広がる今、彼の精神の遍歴から伝わってくるメッセージは傾聴に値する面があるはずである。

■鹿島茂氏、推薦!

「美徳」の二面性という観点から大革命を見直すことで、「独裁者ロベスピエール」という紋切型を打破するのに成功した優れた評伝である。(『波』12月号より抜粋)

■書籍内容紹介文

フランス革命において、人民の圧倒的な支持を背景に独裁政治を行い、政敵を次々と粛清、最後は自らも断頭台で葬られたロベスピエール。「私は人民の一員である」と言い続けた勤勉実直な元祖〈ポピュリスト〉は、なぜ冷酷非道な〈暴君〉に堕したのか。気鋭の政治学者が、その波乱に満ちた生涯を克明に辿り直し、じつは誰よりも民主主義を信じ、それを忠実に実行しようとした革命家の姿を浮かび上がらせる。矛盾に満ちた政治家の思想から、現代民主主義の抱える「問題の核心」を鋭く問い直す画期的評伝。



ロベスピエール

■著者紹介




高山裕二(たかやま・ゆうじ)1979年、岐阜県生まれ。明治大学政治経済学部准教授。2009年、早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。博士(政治学)。専門は政治学・政治思想史。主な著作に『トクヴィルの憂鬱 フランス・ロマン主義と〈世代〉の誕生』(白水社、サントリー学芸賞受賞)、『憲法からよむ政治思想史(新版)』(有斐閣)、共著に『社会統合と宗教的なもの 十九世紀フランスの経験』、『共和国か宗教か、それとも 十九世紀フランスの光と闇』『フランス知と戦後日本 対比思想史の試み』(いずれも白水社)。



■書籍データ

【タイトル】ロベスピエール:民主主義を信じた「独裁者」
【著者名】高山裕二
【発売日】2024年11月20日
【造本】新潮選書/四六判変型ソフトカバー
【定価】1,925円(税込)
【ISBN】978-4-10-603915-7
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/603915/
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