「9割超の家庭で子どもの教育機会が減少」「約7割の家庭が教育資金に関する困りごとを抱えている」




 子どもの教育格差の解消に取り組む公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(東京都墨田区、代表者:今井悠介・奥野慧、以下CFC)は、令和6年能登半島地震(以下、「能登半島地震」)で被災した、小中高生の子どもがいる家庭の保護者252名に対するアンケート調査および、保護者22名に対するヒアリング調査を行い、『能登半島地震で被災した子どもの学び実態調査』結果を公表しました。

 調査の結果、9割超の家庭で子どもの教育機会が減少したこと、約7割の家庭が「教育資金に関すること」を困りごととして抱えていることが明らかになりました。背景として、被災による地域の教育資源(部活・習い事等)への影響や、住家被害等による経済苦などがあります。加えて、震災後の転居の有無によって困りごとの状況が異なる等、被災家庭の状況が複雑化していることも分かりました。
 詳細は、ホームページ上に公開した調査報告書をご覧ください。 https://cfc.or.jp/wp-content/uploads/2024/11/noto_research2024.pdf

 報道関係の皆様におかれましては、本調査の結果や当法人の活動についてご取材・ご報道いただきたく、お願い申し上げます。

■調査結果の要約
結果1:9割超の家庭で子どもの教育機会が減少した。



 震災後、学校内外における、子どもたちの様々な教育機会(学習機会・体験機会)が減少した。いずれかの教育機会が減少した家庭は96.8%にのぼった(グラフ1)。
 背景として、地域の習い事教室や学習塾の閉鎖、学校設備の被災や、転居による部活への参加者減など、地域の教育資源への影響に関する声などが聞かれた。


保護者の声(一部)
・習字教室に行っていましたが、地震で全壊となり、教室がなくなってしまいました。習い事がなくなってしまった子どもたちがほとんどだと思います。
・地震があって部員もばらばらになり、部活がなくなってしまいました。それもあってか息子の元気がない様子。また、学校の運動場が仮設住宅になってしまい、部活動をする場所がなく、思うように運動できません。

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結果2:約7割の家庭が教育資金に関する困りごとを抱えている



 子どもに関する困りごととして、「子どもの教育資金」と回答した家庭が69.8%にのぼり、最多となった(グラフ2)。特に、教育費のかかる中高生がいる家庭や、震災前から経済基盤がぜい弱であることが多いひとり親家庭においてはその傾向が顕著だった。
 背景として、被災による収入減少や、家屋の解体・修繕費用により子どもの教育資金の確保が難しいという声が聞かれた。


保護者の声(一部)
・5か月間は貯金を切り崩して自費でまかなっていました。これから当面の費用も考えて「塾に通わせられるかなあ」と言った時があり、子どもは資金面を心配しているようです。親の不安が伝わってしまったかもしれません。
・4年半前に事業を畳んで自己破産しています。生活再建中に起きた地震で資金面が心配です。日勤・夜勤制の仕事をしているので、月によって収入が安定せず、塾に通わせることは考えていません。娘のやりたいことはやらせたいので、部活で頑張っている卓球の用品を買ってあげたいです。(ひとり親家庭)
・家が全壊し、解体して建てるとなってもダブルローンになるし、いつになるか分かりません。子どもが輪島でやっていたピアノを金沢でもやりたいと言ったので教室を探しましたが、輪島の倍の値段で驚きました。


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結果3:被災家庭の状況やニーズは複雑化している



 転居の有無や子どもの学校段階等により、被災家庭の状況は複雑化している。例えば、転居した家庭では、学校外での体験機会(習い事等)が減少した割合が高かった一方、転居していない家庭では、学校内での教育機会(学校行事等)が減少した割合も高かった(グラフ3)。
 また、学校段階別にみると、中高生がいる家庭は、小学生がいる家庭と比較して、学習機会の減少が顕著であり、進学や学力といった学習関連の困りごとが多い傾向が見られた。


保護者の声(一部)
・学校が地震があってからしばらく休みで、いまだに面談などの理由で昼前に終わることもあり、今まで通り授業が進んでいるという感じではなさそうです。中学2年生132人中、30人近くが0点に近い点数を取っていたという話も聞きました。ニュースで都会の様子を見ても、遅れているのではないかと心配になります。勉強はさせないと、と思っています。(被災地に残った家庭)


■調査概要
目的:能登半島地震における被災地の現状および被災された方々の教育(学習・体験)に関する困りごと等を把握すること


アンケート調査
・対象者:能登半島地震で被災した子どもを支援することを目的としたCFCの教育支援事業(助成金)に申込んだ家庭の保護者
・調査期間:2024年4月15日~6月28日
・調査方法:WEBアンケートフォーム
・有効回答数:252件(子どもの人数は449名)
・主な質問項目:現在の住まい、転居の有無、住家被害/震災後の教育機会の状況/震災後の困りごと/助成金の利用希望先 など


※CFCは、能登半島地震で被災した小1から高3の保護者であり、かつ、住家の全壊もしくは半壊、または、世帯の主たる生計維持者が「死亡」もしくは「行方不明」の方を対象に学校外活動費(部活動費を含む)を助成した。アンケート調査は、助成金の提供を行う前(申請段階)に実施。

ヒアリング調査
・対象者: 能登半島地震で被災した子どもを支援することを目的としたCFCの教育支援事業(助成金)に申込んだ家庭の保護者
・調査期間:2024年7月3日~7月30日
・調査方法:電話によるヒアリング
・有効回答数:22件
・主な質問項目:助成金を知ったきっかけ/助成金の利用希望先を選んだ理由/被災後の暮らしぶりの変化/子どもの学校・部活動・学校外教育の様子/転居の背景 など


■団体概要
公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン


国内の子どもの貧困・教育格差解消を目的に、2009年にプロジェクト発足、東日本大震災の発生を受け、2011年6月に法人設立。経済的な理由で学校外教育を受けることができない経済困窮家庭の子どもたちに、学校外教育で利用できる「スタディクーポン」を提供するとともに、大学生ボランティアによる相談支援を行っている。2023年度より、体験格差の解消をめざす新事業「子どもの体験奨学金事業『ハロカル』」の展開を開始。2024年度より、能登半島地震で被災した子どもに対する緊急支援事業を開始。HP:https://cfc.or.jp/


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