「(仮称)木鋼ハイブリッド梁」の共同研究 建築物の木質化拡大にむけた取組も推進中

本プレスリリースのポイント
1.2023年10月竣工した「野村不動産溜池山王ビル」は、木材利用促進コンクルール優良施設部門 『内閣総理大臣賞』・みなとモデル二酸化炭素固定認証制度『最優秀賞』を受賞
2.建築物木質化の拡大にむけた取組として木質材料と鋼材を一体化した「(仮称)木鋼ハイブリッド梁」を日鉄エンジニアリング(株)と共同開発し、「国土交通大臣認定 2時間耐火構造」を取得、今後積極的に非住宅建築物に採用予定

 野村不動産株式会社(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:松尾 大作、以下「当社」)が所有する野村不動産溜池山王ビルは、木材利用推進コンクルール優良施設部門『内閣総理大臣賞』、みなとモデル二酸化炭素固定認証制度『最優秀賞』を受賞しましたことをお知らせいたします。
 脱炭素社会の実現に向けて、気候変動などの課題への対応が急務となる中、木材利用の促進が求められております。また、木材の主要な需要先である建築物分野では、木材の利用による、建築時の温室効果ガスの排出削減やカーボンニュートラルへの貢献、森林資源の循環利用への寄与、空間の快適性向上といった効果に対して期待が高まっております。そのようななか、野村不動産溜池山王ビルに於いては、清水建設株式会社(本社:東京都中央区/代表取締役社長:井上和幸)の「シミズ ハイウッド(R)」を活用し木質建築部材と鉄骨造を合理的に組合せ、高い耐震性と耐火性を確保しつつ心地よい無柱の木質オフィス空間を実現いたしました。
 また、当社では建築物木質化の拡大にむけて日鉄エンジニアリング株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:石倭 行人、以下「日鉄エンジニアリング))と、集成材と無機繊維フェルトを用いた「(仮称)木鋼ハイブリッド梁」※1を共同開発し、「国土交通大臣認定 2時間耐火構造」を2023年12月に取得しており、今後は積極的に非住宅建築物に採用し木材利用を促進してまいります。
※1 正式名称は両社で協議予定



1.各種受賞概要
1)木材利用推進コンクール 
https://www.jcatu.jp/competition/
野村不動産溜池山王ビル 優良施設部門『内閣総理大臣賞』受賞
木材を活用した優れた施設及び国産材利用を積極的に推進する優れた取組について「優良施設部門では1.地域の木材を持続的且つ有効的に活用するための工夫2.建築物の木造化・木質化のための工夫3.木材利用による地球温暖化防止等への貢献4.デザインや快適な空間づくり等における工夫の4点に関して、優れた施設が選定されます。
<受賞ポイント>
都心における高層木造建築物の実現に求められる高い耐火性・耐震性に対して、木質ハイブリッド技術の深化・発展を通じて合理的に解決を図った。都心のオフィス街において木質建築として特徴のある外観の創出、外部環境を最大限採り込む21m×18mの開放的な木質無柱空間、ワーカーの知的生産性の寄与などを実現し、中高層オフィス木質化事例としての貢献が期待される。

2)みなとモデル二酸化炭素固定認証制度 
https://www.city.minato.tokyo.jp/houdou/kuse/koho/press/202410/20241030_press01.html
野村不動産溜池山王ビル『最優秀賞』、H¹O芝公園『優秀賞』受賞

「港区建築主におけるみなとモデル二酸化炭素固定認証制度」及び「港区テナント事業におけるモデル二酸化炭素固定認証制度」に基づき認証された民間建築物のうち、1.木材の使用方法が公開性や視認性、デザイン性に優れ、創意工夫がみられること2.先進的な技術を利用して木材を使用していること3.木材の活用に先導的な役割を果たしていること4.協定木材等の利用に積極的に取組んでいることの4点に関して優れた建築物が選定されます。
<野村不動産溜池山王ビル:受賞ポイント>
木質ハイブリッド構造を採用した木材利用量と高層木質建築に求められる耐火性、耐震性等の様々な課題に対し合理的アプローチで解決を図り木質建築における更なる木材利用に大きく貢献している。
https://www.city.minato.tokyo.jp/chikyuondanka/minato_model_awards/mmawards01.html
<H¹O芝公園:受賞ポイント>
一部の柱と梁を木造にすることで木材使用量を増やし、内部だけでなく外部からも木材が見えデザイン性に優れている。
https://www.city.minato.tokyo.jp/chikyuondanka/minato_model_awards/mmawards02.html



その他、野村不動産溜池山王ビルでは、ウッドデザイン賞2024年を受賞しております。
【報道発表資料】2024年11月26日
https://www.nomura-re-hd.co.jp/cfiles/news/n2024112602553.pdf

2.建築物木質化拡大にむけた取組
1)「(仮称)木鋼ハイブリッド梁」国土交通大臣認定 2時間耐火構造 

 脱炭素社会の実現にむけ建築物における木材利用に於いて、木材使用量の増加・森林を有効活用することが求められており、木材使用量を大きく増やすには住宅などの小規模建築物だけでなく、中大規模建築物の構造部材や耐火被覆に木質材料を適用する必要があると言われております。しかし木質材料を用いた建築物は木材使用量が増加するほど、建築コストが増大し、普及が促進されない要因の1つになっています。このような背景から、木材を用いることで建築物を構成する鋼材の一部を削減し、コストの上昇を極力抑える工夫など、総合的にコスト低減が図れる工法の開発は急務となっております。そのようななか、当社と日鉄エンジニアリングは木質材料と鋼材を一体化する摩擦接合型コネクタの技術を活用し、鉄骨を木材により補剛しつつ、耐火性を確保できる「(仮称)木鋼ハイブリッド梁」を開発いたしました。
・木質材料使用量、炭素固定量の増加
集成材を使用することにより、長さ1m当たり99.7kgの炭素が固定され、温室効果ガス削減および国内森林活性化に対して寄与することができ、脱炭素社会の構築に貢献できます。
 ※「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」(林野庁)による
・木質空間の実現
集成材は、H形鋼の耐火被覆材の一部を担っており、本材料をそのまま現しで使用することが可能です。これにより、木肌を感じられる、温かみのある建築空間が実現できます。
・今後の展開について
今回の開発部材はカラマツ材の集成材を使用しておりますが、今後は使用可能材料をスギ材やヒノキ材へ拡張、およびより製造単価が安価なCLT材へ拡張し、より使用できる幅を広げて、多用途多箇所への採用を実現させていきたいと考えています。

H形鋼の下端に集成材を挟み込む構成により、鉄骨の補剛と耐火被覆を併せ持つ部材。集成材が被らない範囲は、無機繊維フェルトにて被覆

2)その他 当社木質化の取組に於ける各種認証取得等一覧







https://www.nomura-re.co.jp/cfiles/news/n2021030501808.pdf




【報道発表資料】
2021年1月26日 国際森林認証「SGEC/PEFCプロジェクトCoC認証」取得 不動産デベロッパー初・オフィスビル初の取得
https://www.nomura-re-hd.co.jp/cfiles/news/n2021012801791.pdf


2021年2月18日「とうきょう森づくり貢献認証」「CASBEEウェルネスオフィス認証」等多数の環境認証の取得
https://www.nomura-re.co.jp/cfiles/info/n2021021800368.pdf


【ご参考】野村不動産グループのマテリアリティと SDGs の紐づき



※野村不動産グループの重点目標(マテリアリティ)を国連のSDGs(持続可能な開発目標)「169 の目標」に当てはめて整理しております。
サステナビリティの取組み詳細は以下をご確認ください。
URL:https://www.nomura-re-hd.co.jp/sustainability/

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