視聴質ブログの人気連載企画「『光る君へ』くぎづけシーン分析」全48回を振り返る特別版を公開




ご家庭に人体認識技術を搭載した機器を設置し、テレビスクリーンへの「アテンション(注視)」を測るREVISIO株式会社(以下REVISIO)は、2024年1月にスタートした、大石静さん脚本・吉高由里子さん主演の『光る君へ』の視聴質分析を公開しました。
今回は、属性別注目度*データですべての放送回を分析し作成した「放送回別ランキング」を基に『光る君へ』を振り返る特別企画をお届けします。
一年間の集大成です、どうぞお楽しみください。

※注目度とは? 
テレビの前にいる人(滞在者)のうち、テレビ画面に視線を向けていた人(注視者)の割合を表します。シーンに注目している度合いがわかります。

改めて『光る君へ』はどんな大河ドラマだったか
2024年NHK大河ドラマ「光る君へ」が、12月15日の最終回をもって完結しました。この記事がリリースされる頃には、「光る君へ」ロスに苦しんでいる方も大勢いるのではないでしょうか。
好評のうちに幕を閉じた「光る君へ」ですが、その前評判は非常に厳しいものでした。「戦がない」「時代がマイナー」「紫式部と藤原道長以外に有名な登場人物がいない」「登場人物の名字が藤原だらけで見分けがつかない」など、大河ドラマとして明らかに不利な要素が多くあり、平和な平安時代を舞台に繰り広げられるであろう貴族たちの恋愛模様に、まったく興味がもてないなどと散々に言われていました。
ですが、第1回「約束の月」のラストシーンで、主人公・まひろ(紫式部)の母親が、道長の兄に刺し殺されるというショッキングな展開で評価は一変。回を重ねるごとに大きな反響を呼び、オンエアの時間帯は、X(旧Twitter)で関連ワードが毎週トレンド入りする大人気ぶり。視聴率こそ振るわなかったものの、NHKプラスでの視聴者数も鑑みると十分な支持を得た大河であったといえるでしょう。
そんな「光る君へ」の魅力は数多くありますが、大石静さんによる秀逸な脚本と、個性豊かな登場人物にあることは間違いありません。今より1000年前の古い時代ということで、残っている記録や著名な登場人物が少ないことを逆手にとり、大胆かつ繊細なストーリー展開と思い切ったキャラクター設定により、非凡なドラマ作りに成功しました。
また、「出演者がみんな平安貴族っぽい薄い顔」だと思えば「ありえないほど真っ黒な大納言」が混じっていたりして、キャスティングも細部まで絶妙で話題性も十分でした。そして、視聴者がドラマに没頭できるかどうかは、視聴者自身が自分と登場人物の誰かを重ね合わせて感情移入ができることが重要なポイントとなります。普通に考えれば平安時代の超上級貴族を身近に感じることのできる現代人なんてほとんど存在しないと思いますが、「光る君へ」では台詞が現代語に限りなく近かったり、登場人物が現代人と同じような言動をしたりと、今に生きる私たちが親近感を持てる設定に徹底したことも成功の要因といえるでしょう。

さて、今回は総集編ということで、視聴者の注目度が高かった放送回の上位10回について、なぜこの回が注目されたのかを分析しながら、過去回を振り返っていきたいと思います。



『光る君へ』放送回別ランキングで解明!視聴者が最も注目したエピソードとは?

放送回別注目度ランキングトップ10表画像



「光る君へ」で注目されるシーンは、「物語の展開」が注目されるパターンと「登場人物(キャラクターもしくは俳優)」そのものが注目されるパターンのどちらかに分かれます。さらに、そのシーンに「サプライズ」が含まれていた場合、注目度が激増する傾向があります。
最も注目度が高かった第29回「母として」は、「物語の展開」に「サプライズ」が加わった典型的なパターンといえます。主人公・まひろの夫という重要人物である藤原宣孝が、直前のシーンでは娘・藤原賢子(永井花奈さん)と楽しそうに遊ぶ元気な姿を披露していたにも関わらず、その数日後には亡くなっており、まひろは宣孝の死を、宣孝の嫡妻の使者によって初めて知らされるというショッキングな内容でした。ようやく安定しつつあったまひろの生活が一転してしまう物語のターニングポイントであり、前週の予告で宣孝の死には一切触れられていないことから、多くの視聴者にとって大きなサプライズとなりました。筆者は宣孝の没年を知っていたので、そろそろ退場となることは予想していましたが、それでも、本シーンを視聴した時には「え?」と絶句したのを覚えています。
2位から4位に関しては、第36・34・.37回と同じ時期の回がランクインしていますが、この頃の物語は、まひろがようやく「源氏物語」の執筆を始めた時期であり、「源氏物語」や「紫式部日記」に絡めたエピソードが多く描かれているのが特徴です。「日本文学好き」の視聴者層にはたまらない展開ですね。第36回「待ち望まれた日」では「紫式部日記」、第34回「目覚め」では「若紫」、第37回「波紋」では「若菜」を想起させる描写がありました。

対して、5位から9位までは「登場人物」が注目されたパターンです。6位の第30回「つながる言の葉」と、9位の第38回「まぶしき闇」では奔放な平安ギャル・あかね(和泉式部)の登場シーンがもっとも注目されました。どちらの回でも女性注目度が男性注目度を上回っており、女性誌のファッションモデルとして活躍する泉里香さんの女性からの人気の高さを証明しています。史実で伝わる和泉式部を泉さんはまさに体現していましたね(ダジャレではありません)。この第38回は、上位10位の中でもっとも世帯視聴率が高い回でもあります。予告では鬼の形相をした藤原伊周(三浦翔平さん)や、静かにブチギレするききょう(清少納言:ファーストサマーウイカさん)などが映し出され、視聴者の期待度が高かった回での1位獲得ですが、タイトルにある「闇」はあかねにはまったく見受けられませんでした。
7位の第40回「君を置きて」では、武士の世の到来を暗示するオリジナルキャラクター・双寿丸が初登場を果たしたシーンがもっとも注目されました。双寿丸を演じる伊藤健太郎さんが颯爽と登場するや、SNSではリアルタイムで視聴していた伊藤さんのファンのコメントで大いに盛り上がりを見せたのは記憶に新しいですね。双寿丸は男性オリジナルキャラクター3人衆(直秀・周明・双寿丸)の中で唯一生きのびることができました。東国の戦では戦功を立てることはできたのでしょうか。

REVISIOの視聴質ブログでは、本ランキングから読み取れる分析・考察をさらに詳しく掲載しております。ぜひブログ記事も併せてご覧ください。

ブログ記事はこちら
注目度上位には「源氏物語」の執筆開始以降の放送回が多くランクイン

全放送回平均注目度推移グラフ画像


上位10位はすべて第29回以降の物語後半であることも見逃せないポイントです。特にまひろが源氏物語の執筆を始めたあたりから注目度が上がっていますので、やはり「紫式部」や「源氏物語」に興味がある「文学好き」視聴者層が、「光る君へ」のメインの視聴者層であるといえそうです。また、ほとんどの回で男性視聴者の注目度を女性視聴者の注目度が上回っていることから、普段は大河ドラマを見ない「少女漫画好き」、「恋愛モノ好き」、「推しの俳優目当て」の女性視聴者を取り込むことに成功したといえるのではないでしょうか。

さて、数々の名シーンを生み出し続けてきた「光る君へ」ですが、今回の記事では、視聴者の注目度が高かった放送回の上位10回について分析をおこないました。みなさんの好きなシーンはランクインしていたでしょうか?
2025年NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」は、18世紀後半を舞台としており、この時代を描く大河ドラマは今回が初めてです。また、大きな戦がないという点も「光る君へ」と共通しており、従来の大河ドラマにはない魅力をふたたび見せてくれるのではないでしょうか。
べらぼうでは果たしてどんなシーンが注目されるのか? REVISIOでは引き続きくぎづけシーンを分析し毎週公開していきます。どうぞお楽しみに。


■ドラマやバラエティなどテレビ番組を分析したオリジナル記事を公開中「視聴質ブログ」
REVISIOの「視聴質ブログ」では、ドラマやバラエティの注目度ランキングやテレビCMの分析など、様々なコンテンツをご用意しております。ぜひご覧ください。
視聴質ブログはこちら


■テレビ番組の視聴率・注目度を無料でチェック!視聴データ公開サイト「RE.Source」
REVISIOの視聴データ公開サイト「RE.Source」では、過去1週間の関東・関西地域での地上波6局7チャンネルの世帯視聴率・注目度を毎日更新中。どなたでも無料でご覧いただけます(注目度をご覧頂く際はお名前とメールアドレスの登録が必要です)。年末年始特番の最新視聴率・注目度はこちらからチェックしてみてください。
最新の視聴率・注目度はこちらから


REVISIOでは、視聴者がテレビに目線をどれだけ向けたかという視聴データをテレビ番組では毎分、CMでは毎秒で、独自に取得しております。今後も注目のテレビ番組やCMの分析を行う予定ですので、どうぞご期待ください。


■今回分析に利用した指標について

※注目度とは?
テレビの前にいる人(滞在者)のうち、テレビ画面に視線を向けていた人(注視者)の割合を表します。シーンに注目している度合いがわかります。





<本件に関する問い合わせ先>
REVISIO株式会社 広報担当 安武
東京都千代田区大手町1丁目6番1号大手町ビル
E-mail info@revisio.com
Tel(担当直通) 050-5897-4931


【REVISIO株式会社について】
REVISIO株式会社は2022/10/1より、TVISION INSIGHTS株式会社から社名を変更いたしました。
人体認識技術によってテレビ番組・CMの視聴態勢データを取得し、BtoB向け視聴分析サービスを提供しています。ご家庭のテレビに、REVISIOが独自に開発した人体認識技術を搭載した調査機器を設置し、調査参加者の視聴態勢を毎秒で自動的に取得。「誰がテレビの前にいて、ちゃんと見ているか」というREVISIO独自の注視データを広告主・広告会社・放送局など国内累計200社以上のクライアントにご活用いただいています。
現在、国内では関東エリア2,000世帯・関西エリア600世帯の地上波全番組の視聴データ、ならびにコネクテッドTVの注視データを提供しています。
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ