低体温症による死亡の報告も


がれきと化したガザの街を歩く父親と子ども(パレスチナ、2023年10月8日撮影) (C) UNICEF/UNI448939/El Baba

【2025年1月8日 東エルサレム/アンマン/ニューヨーク】
ガザ地区では容赦ない暴力により、2025年の最初の7日間だけで少なくとも74人の子どもが命を落としたと報告されている、とユニセフ(国連児童基金)は発表しました。ガザ市、ハンユニス、および南部の一方的に指定された「安全地帯」であるマワシにおける夜間攻撃など、多数の死傷者が出た複数回の戦闘で子どもが犠牲となったとの報告があります。昨日の直近の攻撃では、マワシで5人の子どもが亡くなったと伝えられています。

* * *

ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは次のように述べました。「ガザ地区の子どもたちにとって新年は、攻撃と剥奪、そして募る寒さによる死と苦しみがもたらされただけでした。停戦は大幅に遅れています。新年早々、あまりにも多くの子どもが命を落とし、愛する人を失っています」


必要最低限の住まいがない状態が続いている中で、冬に入って気温が下がり、子どもたちは深刻な脅威にさらされています。100万人以上の子どもが仮設テントで生活しており、この15カ月間に多くの家族が家を追われているため、子どもたちは極めて深刻なリスクに直面しています。12月26日以来、低体温症により8人の乳児と新生児が死亡したと報告されています。低体温症は、体温調節ができない幼い子どもにとって大きな脅威です。


ガザ地区の人道的状況は制御不能なまでに悪化しています。ガザ地区に入ってくる支援物資を積んだトラックの数は、家族の最低限のニーズを満たすには依然として甚だ不十分です。人道物資は略奪され、ガザ地区内の社会的な秩序はほぼ完全に崩壊しています。


わずかに残っている稼働中の病院も、限界に達しています。民間インフラの破壊により、食料、安全な水、衛生設備、保健医療へのアクセスなど、生活に必要な物資・サービスの入手が困難な状況が続いています。ガザ地区北部で唯一稼働中の医療施設であり、小児科病棟も有していたカマル・アドワン病院は、先月末の空爆により、もはや機能していません。これにより、すでに厳しかったこの地域の医療状況はさらに深刻化しています。


「ユニセフはかねてより、不十分な住居、栄養や保健医療へのアクセスの欠如、劣悪な衛生状況、そして今では冬の気候が、ガザ地区の子どもたちの命を危険にさらしていると警鐘を鳴らしてきました。特に、新生児や何らかの疾患を抱えている子どもは非常に脆弱な立場にあります。紛争当事者および国際社会は、暴力を終わらせ、苦しみを和らげ、すべての人質、特に残る2人の子どもが解放されるよう、緊急に行動を起こさなければなりません。人々は、この想像を絶する苦しみと悲しみに終止符が打たれることを必要としているのです」(ラッセル事務局長)


ユニセフは、紛争のすべての当事者に対し、市民や人道支援関係者、民間インフラへの攻撃を中止し、市民の最低限のニーズへ対応し、迅速かつ安全で妨げのない人道アクセスを促進するなど、国際人道法に基づく義務の遵守を訴えています。ユニセフはまた、支援物資を運搬するトラックの安全確保を含め、支援従事者が支援を必要としている地域に無事に到達できるよう、安全な環境を整えることに早急に取り組むようあらためて呼び掛けます。援助物資を届けることは、ガザ地区の子どもたちにとって生死に関わる問題なのです。

* * *

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます


■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(https://www.unicef.or.jp
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ