株式会社文藝春秋(本社:東京都千代田区 社長:飯窪成幸)は、市川沙央さんによる『ハンチバック』(文春文庫)を、10月7日に発売します。

私の身体は生きるために壊れてきた。--重度障害者として、身体を迫力ある筆致で描ききった本作は、読書バリアフリーに一石を投じ、芥川賞受賞後大きな社会的話題となりました。また25の国と地域で翻訳決定、英訳版は全米図書賞〈翻訳文学部門〉ロングリストに、日本人作家の作品として唯一選出されています。まさに時代を突き動かした1冊です。


市川沙央『ハンチバック』(文春文庫)

■『ハンチバック』あらすじ

井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。
両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、有名私大の通信課程に通い、しがないコタツ記事を書いては収入の全額を寄付し、18禁TL小説をサイトに投稿し、零細アカウントで「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」と呟く。
ある日、グループホームの男性ヘルパー・田中に、そのアカウントを知られていることが発覚し――。

■文庫版の特徴

〇ルビを大幅に増やしました。

〇著者が本作執筆にあたり大きな影響を受けたと語る『凜として灯る』の著者・荒井裕樹氏(二松学舎大学文学部教授、文学研究者、文筆家)との往復書簡「世界にとっての異物になってやりたい」(「文學界」2023年8月号)は、大変話題となりましたが、今回新たな書簡を特別付録として追加し、全文を巻末に収録しました。
市川: 障害者につきまとう異物のイメージを何とかして消したい、無効化したい、解消したいと、あらゆる知恵を絞(しぼ)り策を弄(ろう)しても、そのもがき方に異物という言葉が似合ってしまう。障害者につきまとうこの異物感が消えてなくなる日って来るんでしょうか?

荒井: 見えない排除が可視化されるには、どうしても「異物」の存在が必要になるでしょう。(略)そもそも、健常者社会から「異物」として排除されている人たちのことが「障害者」という言葉でラベリングされている、という側面もあるはずです。

 

■市川沙央さんからのコメント


小さな部屋で主人公の釈華がつむいだ言葉たちは、解き放たれるや海を越え20カ国以上の人々に読まれて、みんなの心をざわつかせているらしいです。その驚異的な爆発力を持った物語が、いよいよ文庫になって皆様のお手元に届きやすくなりました。こんなにコンパクトな一冊の本が、あなたの心に大事件を起こすとしたら、ものすごくコスパがいいと思いませんか! 世界に遅れず『ハンチバック』の衝撃を味わうなら今です、今!



市川沙央さん

市川沙央(いちかわ・さおう)
1979年生まれ。早稲田大学人間科学部eスクール人間環境科学科卒業。筋疾患先天性ミオパチーによる症候性側彎症および人工呼吸器使用・電動車椅子当事者。2023年、「ハンチバック」で第128回文學界新人賞、同作で第169回芥川賞受賞。最新作は『女の子の背骨』(文藝春秋刊)。

■文庫化を記念して、『ハンチバック』冒頭8,000字を特別公開しています。

https://books.bunshun.jp/articles/-/10319

■書誌情報

書 名:『ハンチバック』
著 者:市川沙央
判 型:文庫判
文庫版発売日:2025年10月7日
定 価:660円(税込)
ISBN:978-4-16-792425-6
書誌URL:https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167924256

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 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163920214
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