ティーピーリンクジャパンに売れてる理由を聞いた
映像をモニタリング・記録することで防犯対策をはじめ、子どもやペットの見守りに役立つネットワークカメラ。2024年10月以降、販売台数は前年同月比を上回り続けており、家電の中でも特に成長しているカテゴリーとして注目を集めている。そんな市場で、圧倒的なシェアを誇っているのが、TP-Link(ティーピーリンク)だ。全国主要家電量販店やネットショップのPOSデータを集計する「BCNランキング」の「PCカメラ部門」では、2年連続で年間販売台数シェアNo.1を獲得するなど、存在感を放っている。そこで、ティーピーリンクジャパンでマーケティングを担当する根本知宜氏とSOHOプロダクトエンジニアの齋藤太郎氏に、市場全体が成長している背景やユーザーから支持を集めている理由、売れ筋になっているモデルなどについて聞いた。
闇バイト対策で需要アップ。抑止力としての効果も期待
ネットワークカメラ市場が大きく成長している背景にはいくつかの要因があるが、最大のトピックとして挙げられるのが、23年末ごろから社会問題として取り上げられるようになった「闇バイト」だ。特に関東地方を中心とした連続強盗事件が報道されるようになった24年夏以降、ネットワークカメラの販売が伸びた時期とリンクする。
一連の報道によれば、闇バイトによる犯罪は事前に下見して侵入経路などを確認した上で行われているとのこと。ネットワークカメラは映像の記録や遠隔モニタリングのほか、設置するだけで犯罪を抑止する効果も期待できるため、防犯対策を検討する一般家庭で支持を伸ばした格好だ。
盤石になった「Tapo」シリーズへの信頼感
実は一般家庭向けのネットワークカメラを展開しているメーカーはそれほど多くない。TP-Linkはネットワークカメラのブランド「Tapo(タポ)」シリーズを、市場が立ち上がり始めた19年ごろから展開しているが、競合が少ないことも追い風にシェアを着実に伸ばしてきた。
ネットワークカメラは防犯目的ということもあり、ユーザーにとって信頼性が最重要。先行者として地道に製品開発やマーケティングに取り組んできたことや、「最も売れている」という事実が他のカテゴリー以上に評価され、ここ数年でさらに地位を盤石なものにしたのだ。
より具体的な理由として、根本氏はTapoシリーズの多彩なラインアップと全モデルに共通する使いやすさを挙げる。「Tapoはそのときどきで変化するお客様のニーズに合わせたモデルをコンスタントにリリースしてきた。例えば、直近では4Kモデル。フルHDでも顔くらいなら認識できるが、4Kであれば車のナンバープレートまで鮮明に確認することができるため、需要が高まっている」(根本氏)。
4Kモデルに加えて、新たなトレンドになっているのが、配線不要のフルワイヤレスモデルだ。従来のネットワークカメラは電源を確保するために配線を行う必要があり、一般家庭では導入の大きなハードルになっていたが、同社は小型のソーラーパネルと本体を一体化することで、この課題を解決した。
全モデルに共通する使いやすさに該当するのが、アプリと記録方法だ。セッティングから映像の確認までスムーズに操作できるアプリはブラッシュアップを重ね、多機能ながらシンプルなインターフェースに仕上がっている。デジタルに詳しくない高齢者からも好評で、同シリーズの安心感につながっている。
記録方法は、全てのモデルでローカル保存とクラウド保存の2パターンに対応している。コストを抑えるならSDカードによるローカル保存、セキュリティを強化するなら有償サービスを活用したクラウド保存という選択肢があるので、ユーザーは予算や目的に沿ったぴったりの使い方ができる。
なお、有償サービスについても、iOSが月額400円/台~(年額4000円/台~)、Androidが月額440円/台~(年額4400円/台~)とリーズナブル。コスパがすぐれている点も魅力となっている。今後は室内のHDDに映像を記録できるNAS機能を備えたハブ製品も展開予定で、使い勝手の良さはさらに高まりそうだ。
エンジニアである齋藤氏は、Internet Protocol Version 6 (IPv6)に対応していることも、ユーザーにとって安心材料につながっていると語る。「市場で現在販売されているモデルでもIPv6に対応していないものは意外と多い。当社製品はネットワーク機器のメーカーということもあり、このあたりは漏れなく対応している」とのことだ。
4K&フルワイヤレスモデルとして人気の「Tapo C660 KIT」
直近のトレンドである「4K」と「フルワイヤレス」の両方を叶えたモデルとして人気を高めているのが、「Tapo C660 KIT」だ。ハイスペックにも関わらず、実勢価格は2万2800円。付加価値に対してコスパが非常に良く、ユーザーの購入を後押ししているようだ。
同モデルは800万画素の4Kカメラを搭載。18倍までデジタルズーム機能を備えており、先述したように記録した映像から車のナンバープレートなども鮮明に確認することができる。暗い場所もフルカラーで監視できるカラーナイトビジョンも好評で、幅広いシチュエーションで確かな安心を提供してくれる。
フルワイヤレスを実現する小型のソーラーパネルは、毎日45分の直射日光を当てるだけで1日中稼働することが可能。1万mAhのバッテリーを内蔵しているので、雨や曇りの日が続いても急に使えなくなる心配はない。定期的なメンテナンスがいらないのもポイントだ。
Tapo C660 KITは現行でソーラーパネル&パンチルトに対応する唯一のモデルとなっている。ソーラーパネルに加えて首振り機能に対応し、水平360°/垂直90°をカバーできるため、設置の柔軟性は格段に高まる。齋藤氏も「初めてネットワークカメラを使用する場合、最適な位置に設置するのは難しい。Tapo C660 KITなら難しいことを考えずに目的を満たす設置ができる」と太鼓判を押す。
このほか、動きを検知すると自動で対象を追いかける360°自動追尾や、人物・ペット・車両などを識別して必要に応じてアラートを行うAI機能、双方向通話機能など、便利な機能も盛りだくさん。これからネットワークカメラの導入を検討する人には、ぜひ選択肢に入れてほしいモデルとなっている。
見守り目的の屋内カメラは記録のために買い増しする人も
ここまで屋外に設置するネットワークカメラの話をしてきたが、同カテゴリーには子どもやペットの見守りを目的とした屋内カメラもある。TP-Linkはこちらでも多彩なラインアップをそろえているが、その中でも注目を集めているのが、「Tapo C260」だ。実勢価格は1万450円。
Tapo C260は現行の屋内モデルで唯一4Kカメラを搭載するモデルだ。特徴的なのは顔認証機能で、最大20人までの顔が登録可能。家族や知人、配達員などの顔を事前に登録しておくことで、カメラが映像内の人物を自動で識別し、タグ付けして記録する。未登録の人物が映った場合には即座に通知が届くため、不審者の検知にも役立つ。
パンチルト(水平に360°/垂直に118°)も備えており、1台で部屋の隅々までモニタリングできるのも強みだ。また、レンズを物理的に遮蔽したり、特定のエリアを録画しないようにカスタマイズしたりできるなど、プライバシーに配慮した設計になっている。
直近で高画質の屋内カメラが注目されているのは、単なる見守り用途としてだけでなく、記録用のカメラとしての需要が増しているという事情もある。子どもやペットのどんな瞬間も見逃したくないという理由で、1台だけでなく複数台を設置するというユーザーもいるそうだ。
隠れた注目製品は「スマートドアホン」
少し毛色の異なる製品ながら、注目しておきたいのが「カメラ付きスマートドアホンキット」だ。玄関のドアベルとして活用するものだが、Tapoシリーズではネットワークカメラとしての機能を盛り込むことで、新たな価値を創出している。
ドアベルとの違いは、ネットワークを経由して外出中にも応対できること。子どもの留守番時や訪問販売対策に有効なため、注目を集めている。新製品の「Tapo D235」は180°の超広角レンズを搭載しており、訪問者の手元まで確認することができる。宅配であれば荷物のサイズを目視できるので、ドアを開けて応対するときの安心感がぐっと高まる。実勢価格は1万8800円。
費用対効果の高いネットワークカメラ
ネットワークカメラは必要に迫られない限り、最新の市場動向などを知る機会はほとんどない。そのため、「価格が高い」「設置のハードルが高い」などの先入観を持つ人は多いといえる。その認識は過去には正しいものだったが、現在では大きく様変わりしている。
現在の性能や相場を踏まえれば、自宅の安全性を高めたり、QOLを上げたりする手段として、ネットワークカメラは費用対効果の高いアイテムだ。TP-Linkには今回紹介した製品以外にも幅広いモデルが揃っているので、ぜひ比較・検討しながら自分のニーズにぴったりとはまるものを見つけてほしい。(OFFICE BIKKURA・小倉 笑助)







