来訪者を自動録画するパナソニックのVS-SGZ20L
特殊詐欺の被害は増加し、マンションの共連れやストーカー被害、置き配の盗難など、日常の中での防犯対策が必須となっている。パナソニックはこのほど防犯対策2025ラウンドテーブルを開催し、防犯アドバイザーの佐々木成三さんによるトークセッションと防犯対策に役立つ同社の製品を紹介した。
犯罪件数は減少しているが、被害額は拡大傾向
警察庁の発表によると、2025年上期の特殊詐欺の被害額は約597億円。前年同期の約2.6倍に増加し、月別でみると12月は発生件数、被害額とも1年の中で最も多い月という。
この理由としては、クリスマスや年末年始で現金の所持が多くなることと日没が早くなって家に侵入しやすくなることが挙げられる。
特殊詐欺だけでなく、マンションのオートロックを突破する共連れやストーカー被害、高齢者世帯や子どもの留守番、置き配の盗難など、身近なところで防犯対策を必要とするケースは増えている。
警察庁の資料では侵入窃盗の手口として家主が不在時の空き巣は64.1%と多いものの、家主が就寝中に侵入する忍び込みや家主が在宅中に隙を見て侵入する居空きは合わせて30.2%。つまり、侵入窃盗の30%は在宅時に発生しているのだ。
本年7月に実施したパナソニックのアンケート調査によると、回答者の約6割が実家の防犯に不安を感じているが、実家で実施している防犯対策では近所付き合いが40.6%、施錠管理が38.1%。防犯という観点では、まだアナログな対策をしている人が非常に多いのが実状である。
また、マンション暮らしでは回答者の4人に1人がオートロックのエントランスで共連れの経験があると回答したものの、2割以上はオートロック以外の防犯対策が不要と考え、約4割がゴミ出しや郵便ポストの確認など短時間の外出時にカギをかけていないことが分かった。
元埼玉県警察本部刑事部捜査第一課の警部補として多くの犯罪者や犯罪の現場に立ち会ってきた防犯アドバイザーの佐々木成三さんは「窃盗や強盗詐欺、横領も含む財産犯の被害額は昨年、初めて4000億円を超えました」と話す。
長期的に犯罪件数自体は減少している。しかし、「犯罪の手口が巧妙化して1件あたりの平均被害額は、令和4年の約260万円から令和7年の上半期は約460万円と大幅に増加しています。警察官を装った偽警察官詐欺に限定すると、平均被害額は約860万円にも達し、1件の被害額が高額になるのが
特殊詐欺の怖いところです」
犯罪組織は防犯対策をしていない被害者と地域を狙ってくる。そのため、今は自分で自分を守らなければいけない時代であると佐々木さんは説く。また、特殊詐欺の被害者は高齢者というイメージがある。確かに高齢者の被害自体は減っていないが、中高年層や20~30代の被害者も大幅に増加しているという。それだけ詐欺の手口は巧妙になっているのだ。
複数の機器で多層的な防犯対策を
では、具体的な防犯対策はどのようなものか。佐々木さんは「オートロックのマンションでは自宅の無施錠が多く、当たり前のことですが玄関ドアは施錠しておくことが重要です。戸建ての場合は侵入経路がいくつかあるので、私の自宅では防犯カメラを玄関ドア前と駐車場、庭先と3台設置しています」と説明する。
置き配の盗難に対しては、配達物が届いたら、なるべく早く自宅に入れることと宅配ボックスの使用が盗難対策として有効だ。
防犯対策で肝心なのは、防犯カメラや防犯用ライト、迷惑電話防止機能付き電話機、窓やドアの開閉センサーなどを併用して、多層的な防犯の仕組みを作ることがさまざまな犯罪に対応できると解説する。
だが、それでも犯罪者が侵入してしまった場合は、「とにかく逃げること」が最優先。窓ガラスが割れた、誰かが入ってきた、というときに確認しようとして犯罪者と対面し、強盗の被害にあうというケースが実は多いのだ。
「逃げることができなければパニックルームではないけど、内側からカギが掛けられる部屋に逃げ込みましょう」。佐々木氏によると、110番通報をしてから警察が駆けつけるまでの平均時間は約7分。安全な場所に、その7分間いることが重要と説く。
その110番通報だが、電源ボタンを素早く5回押すと、緊急連絡先に発信する機能がスマートフォンには備わっている。設定から確認してみよう。また、スマートフォンの設定により音声で110番通報をすることも可能だ。これらは、万が一の場合にぜひ覚えておきたい機能だ。
簡単取り付けのワイヤレステレビドアホンで侵入をブロック
ラウンドテーブルでは、パナソニックのワイヤレステレビドアホンVS-SGZ20L(以下、SGZ20L)の取り付けが実演で披露された。
同社では、玄関のドアホンは音が鳴るだけのタイプからSGZ20Lのように来訪者をモニターで確認でき、録画もできるタイプに交換することを推奨している。SGZ20Lはコードレス電話機と同じ無線のDECT準拠方式を採用しており、ワイヤレスモニター親機との間に障害物がなければ約100mの範囲までカバーしている。
すでに設置されているドアホンから同製品への交換は非常に簡単だ。必要なものはプラスドライバーと絶縁テープのみ。設置されているドアホンのネジを回して、本体と台座を外す。台座の裏側にケーブルが付いているが、これも外して電流が流れないように絶縁テープを巻き、今後使う予定がなければ取り外す。
その後、外したネジでSGZ20Lの台座を取り付ける。さらに子機本体を台座にはめてネジを回すだけで交換は完了。子機本体は単3乾電池6本で動作し、パナソニックのエネループハイエンドモデルの単3形電池なら最大2年間電池交換がいらないという。
また、戸建て住宅の防犯対策として同社の各種製品が紹介された。LED電球ポーチライト(センサ付)のHH-SL0010Lは人感センサーで人を検知して点灯し、明かりで犯罪者をひるませるのに役立つ。LEDシーリングライトのHH-CM1234Aは設定した時刻に点灯し、不在をさとられないようにできる。
モニター付き屋外カメラのVL-CV100Kは、撮影範囲内の空間と人の動きを検知後にライトを点灯して録画を開始。通話機能で親機や連携したスマートフォンから声で警告を発することも可能だ。
窓やドアの内側に取り付ける開閉センサーのKX-HJS100は、窓やドアが開くと開閉センサーや別売りのホームユニットから報知音が鳴り、スマートフォンにも通知できる。
※KX-HJS100はホームユニットが必要で、単独では作動しない。報知音は警戒モードに設定した場合のみ鳴る。
マンションの防犯対策では、玄関ドアに引っ掛けて固定するモニター付きドアカメラのVS-HC400ならドアの改修をすることなく、玄関前の様子をモニター親機で確認できる。HDペットカメラのKX-HDN215は子どもの留守番や不在時の様子を遠隔でチェック可能。いずれのカメラも声で侵入者を威嚇できる機能を搭載している。
パナソニックは2023年に全国47都道府県の警察と連携し、チラシの配布や講演会など防犯に対する啓発活動を行っている。また、全国508の自治体でドアホンや電話機などが補助金の対象となっている。この補助金対象情報はWebサイトのDENZAI TERASUを通して発信しているという。
冒頭でも触れたように12月はほかの月と比べて犯罪が増える傾向にある。自宅や実家の防犯対策を改めてチェックし、より防犯に役立つ製品に交換して攻めの防犯に転じよう。







