EOS後のPC市場についてLGに聞いた

Windows 10のサポート終了(EOS:2025年10月14日)から市場は「とりあえず買い替え」よりも、目的や価値軸でPCを選ぶ流れが強まっている。LG Electronics Japanは、17インチ級でも約1.3kgのノートPCを武器に、価格競争ではなく価値競争で存在感を高める戦略でビジネスを拡大しようとしている。「軽さ×大画面×剛性」で価値を訴求し、AI活用と移行支援をセットにした総合設計で、価格一辺倒ではない選択肢を提供。安藤康夫・Digital Commerce Dept Marketing Team Marketing Communication Part General Managerと、塩川弘司・Marketing Team Marketing Communication 2Part担当に、EOS後の動向、製品特徴、AI PCの見立てを聞いた。(BCN・佐相 彰彦)

EOS後の買い替えは“段階戦” 価値訴求がカギ

(以下、敬称略) 今回は過去ほど「今すぐ買い替えねば」という切迫感が強くなく、緩やかな波でした。その分、「今のPCに不安があるから買い替える」という動機が中心で、相対的に低価格帯の動きが目立ったのが特徴です。ただ、買い替えの波はまだ続いており、セキュリティー意識の浸透とともに段階的に進むと見ています。

EOSは、段階的に買い替え・環境整備を支援するテーマです。店頭とWebで継続的に情報発信し、Windows 11環境やデータ移行、セキュリティーの要点を分かりやすく提示しました。また引き続き延長保証やキャンペーンで安心して移行できるよう背中を押します。

17インチの約1.3kgで作業性と携帯性を両立

当社は「大画面でも軽い」設計を徹底的に行っています。16~17インチ級でも約1.3kgの軽さで、移動の多いビジネスパーソンが出先でも広い作業領域を確保できる価値を提供しています。14インチ主流の市場に対し、「軽い大画面」という選択肢で差別化しています。加えて、開閉安定性やボディー剛性など、見えない部分の品質まで作り込んでいるのが当社の強みです。

注目は「LG gram Pro 17」のような大画面・軽量モデルです。公式サイトの特集や店頭プロモーションで、一度持って、開いて、入力してもらえば作業性の差が分かることを訴えています。また、キャッシュバックや最長4年の延長保証などの購入支援も実施し、ビジネスでも学生でも選びやすい環境を作っています。春商戦の「14インチ常識」に17インチで風穴を開けるのが狙いで、家電のStylerやスマートモニターに通じる当社らしい独自性をPCでも提示します。

メインは目的が明確なユーザーです。全国を飛び回る年齢層が高めで男性のビジネスパーソンが中心で、移動中でも大画面で仕事がしたいニーズに応えています。同時に春先は学生需要が伸びます。荷物が多い中でも軽さ・大画面・堅牢性で、4年間の長期使用を見据えた選択に応えられるようにしています。

価格ではなく「価値」で選ばれる市場を見ています。「軽さ×大画面×剛性」という触って分かる差を積み重ね、体験コンテンツや店頭施策、保証・キャンペーンを束ねて総合的な安心と生産性を提供します。一時的な低価格買い替えに流されず、目的を持ってPCを使う人に確実に届くブランドであり続けます。

AIは「生産性のコパイロット」 PCの役割が進化

今、「検索のためにネットへ行く」という時代から「生成や効率化のためにAIへ行く」という時代に転換しようとしています。企業や個人でクローズド(ローカライズド)なAIを安全に活用したいニーズが高まり、そうなってくるとPCが最適なデバイスになります。AIは「生産性のコパイロット(副操縦士)」として情報過多の中で取捨選択を支援します。そして、最終判断は人が下す。そのワークスタイルを広げる存在だと考えています。

PC市場は飛躍的に上がるとも下がるともいえませんが、コアな需要は底堅いと考えています。AIを核とした価値の積み上げと、軽い大画面という物理的な利便性の組み合わせで、ユーザーの生産性を着実に押し上げる製品を出し続けていきます。