イラスト制作でよく使うツールに関する意識調査
オンラインイラスト教室を運営する株式会社アタム（本社：東京都港区、代表取締役：宮澤惇、以下 アタムアカデミー）は、生成AIイラストを作成したことがある500人を対象に「生成AIイラストの活用方法に関する意識調査」を実施し、そのデータをランキング化しました。
あなたは生成AIで画像を作ったことがありますか？実際に街中や広告などでも、「これって生成AIで作成したのかな」という画像を見ることが増え、活用範囲が広がっていることを感じます。
一方で、権利関係の課題やクリエイターごとのスタンスの違いなど、議論が続いている分野でもあります。
今回、オンラインイラスト教室を運営するアタムアカデミー（ https://atam-academy.com/ ）は、現在の利用実態を客観的に把握するために、生成AIイラストを作成したことがある500人にアンケート調査を実施。その結果をランキング形式でまとめました。
調査結果に対して、メディアスケッチ株式会社代表取締役の伊本貴士氏よりご考察いただいております。
※本考察は、今回のアンケート結果に基づいた専門家による分析であり、アタムアカデミーとしての公式見解や推奨を示すものではありません。
【データの引用・転載についてお願い】
本リリースの調査結果・画像をご利用いただく際は、必ず「アタムアカデミー」のURL（ https://atam-academy.com/ ）へのリンク設置をお願い致します。
【調査概要】
調査対象：生成AIイラストを作成したことがある人
調査期間：2025年12月1日～5日
調査機関：自社調査
調査方法：インターネットによる任意回答
有効回答数：500人（女性311人／男性189人）
回答者の年代：10代 3.0％／20代 22.4％／30代 33.0％／40代 22.4％／50代以上 19.2％
【調査結果サマリー】
・生成AIイラストの活用方法は「アイコン画像の作成」
・生成AIイラストの使用頻度は「数回程度」が最多
・生成AIイラストを使ってみて良かったことは「作業効率が上がった」
・生成AIイラストを使ってみて困ったことは「思い通りのイラストが出ない」
生成AIイラストの活用方法は「アイコン画像の作成」
「生成AIイラストの活用方法」の1位は「アイコン画像の作成（36.8％）」でした。2位「イラストのアイデア出し（15.6％）」、3位「仲間内で楽しむ（13.2％）」、4位「サムネイル画像の作成（10.4％）」が続きます。
SNSのアイコンや投稿画像、動画のサムネイルなど、広く一般の目につく場でも生成AI画像の利用が進んでいることが伺えます。
＜1位 アイコン画像の作成する＞
・LINEのプロフィール写真に使っています（20代 男性）
・マッチングアプリのアイコン作成（30代 女性）
生成AIでアイコンを作成する背景としては、「自分の写真をSNSに投稿するのは抵抗がある」「イラストだと自分に近いが特定されづらいので、安心して使える」という声がありました。
「顔写真を使うのはプライバシー面などから抵抗があるものの、まったく関係のない画像だと個性が出しづらい」という悩みが、AIイラストで写真をイラスト化することによって、解消できているようです。
＜2位 イラストのアイデア出し＞
・Web画像に使う素材のアイデア出し。加工用の素材としてAIに作ってもらうので、生成された画像そのものを使うことはない（40代 女性）
・趣味でイラストを描いているので、自分では思いつかないアイデアの参考として（50代以上 男性）
イラストを描く人からよく聞かれるのが「構図やモチーフがワンパターンになる」という悩み。
生成AIであれば、自分では思いつかないような複数の提案を短時間で出してくれます。最終的には自分のデザインに落とし込みたい人でも、AI案をたたき台として使うことで発想の幅が広がります。
＜3位 仲間内で楽しむ＞
・SNSで流行っていたドット風の絵を作って、友達と共有して楽しんだ（10代 男性）
・友人間で、好きなアーティストをイラスト化して、デザインの良さを共有しあっている（30代 女性）
スキル不要で気軽にイラストができる生成AIなら、誰でも簡単に遊べるため、みんなで楽しめます。生成AIは、人とのつながりを促進するツールやエンタメとしても機能していることがわかります。
＜4位 サムネイル画像の作成＞
・YouTube動画のサムネイルに使用しております（20代 男性）
・自分で執筆しているnoteのサムネに使っている（20代 女性）
動画やブログ記事のサムネイルには、一瞬で内容を伝えて、視聴者や読者の興味を引きつけることが求められます。ただサムネイルを自作する場合には、時間もデザイン力も必要です。
生成AIを使えば、テーマに合うビジュアルを短時間で作成可能。手軽に見栄えが整うため、フォロワーやアクセス数が増えたという体験談もありました。
＜5位 資料内の挿絵作成＞
・プレゼン資料に掲載するための、イメージ画像の作成（20代 女性）
・企画書や提案書で、雰囲気を示すための参考画像として利用（50代以上 男性）
仕事で使う企画書などの資料は内容が難しくなりがちなうえ、文字だけだとイメージが湧きづらいことも。挿絵があるだけで、相手に伝わりやすくなります。
生成AIなら、説明内容にぴったり合うイラストをすぐに作れます。
＜6位 イメージ案のアイデア出し＞
・日常のコーディネートで迷った際に、イメージを生成して参考にする（20代 女性）
・デザインを外注する際、デザイナーさんに「こんなイメージで」と伝えるために、生成したイラストを活用することがあります（40代 女性）
ぼんやりしたイメージを生成AIに具現化してもらうことで、コーディネートやキャラクター設計の検討が進みやすくなります。
イラストやデザインの制作をプロにお願いする際、イメージとして生成AIイラストを渡すケースも。イラストがあることで、具体的にイメージを伝えやすくなり、外注の失敗などを防ぐ効果も期待できます。
＜7位 SNS投稿用画像の作成＞
・SNSに投稿する写真や動画を生成するために使っている（20代 男性）
・会社のSNS投稿に載せるイラストを作成。なかなか思うようなものが見つからないときに活用している（30代 女性）
SNSに情報を投稿する場合には、投稿を目立たせたりわかりやすくしたりするために、画像を添付することも多いですよね。しかし毎回凝った画像を用意するのは時間も労力もかかります。
生成AIなら、投稿のテーマに合ったイラストを短時間でキレイに作成できます。
＜8位 LINEスタンプを作成する＞
・イラストを生成し、Canvaを使って加工してLINEスタンプを作成（40代 男性）
・LINEのスタンプを生成し、家族や友達とのやりとりで利用（50代以上 男性）
自分でオリジナルのLINEスタンプを作って利用・販売することも可能です。生成AIを使うことで、LINEスタンプは格段に作りやすくなります。
生成AIイラストの使用頻度
生成AIイラストを作成したことがある500人に使う頻度を聞いたところ、「（これまでに）数回程度（25.0％）」と回答した人が最も多くなりました。「必要に応じて(4.0％）」「月1回未満（4.0％）」という人も含めて、日常的には使っていない層も多くなっています。
一方で、週1回以上のペースで定期的に活用している人は41.8％。高頻度で活用している人の活用方法を見ると「SNS投稿」「サムネイル作成」などの情報発信、「資料の挿絵」などの仕事関係、「アイデア出し」などのイラスト作成関係が多くなっています。
生成AIイラストを使ってみて良かったことは「作業効率が上がった」
「生成AIイラストを使ってみて良かったこと」のダントツは「作業効率が上がった（40.6％）」、
2位は「思い通りのイラストが作れた（27.8％）」でした。
また「自分ではできないことができる」「新しいアイデアを得られる」といった回答も多数。生成AIが創作活動の幅を広げたり、スキルを補ってくれたりすることも伺えます。
＜1位 作業効率が上がった＞
・イラストのセンスに自信がないため、イメージを形にするのは難しかったのですが、AIなら短時間で高品質な画像を仕上げてくれるので、とても助かっています。デザインに悩む時間が減り、必要な場面にすぐ使えるのが便利で、作業全体がスムーズになりました（30代 男性）
・画像を探す手間はなくなったので、効率的になったと感じています（40代 男性）
生成AIでの画像作成では、時間と手間を大きく減らせる点が高く評価されています。生成AIを使うと、数行程度の簡単な指示を打ち込むだけで、短時間でイラストを返してくれるからです。
「デザインを考える時間」「イラストを描く手間」「ストックイラストサイトで、欲しいイラストを探す手間」などがなくなります。また、イラストレーターへの依頼にあたり必要な情報をまとめる労力や、発注後に納品されるまで待つ時間も必要ありません。
＜2位 思い通りのイラストが作れた＞
・思い通りのイラストができたときは、「使って良かったな」と感じます（30代 女性）
・びっくりするぐらいリアルで怖い画像ができたことです（50代以上 男性）
イラストは「ユーザーや依頼主が思い描く理想」と「納品物」がズレやすい分野です。しかし生成AIで細かな指示や修正を重ねることで、満足いくレベルに達することも少なくありません。
＜3位 自分ではできないことができる＞
・自分自身にイラストを描く才能がないので、AIが登場するまでは入手するのに苦労しました。AIイラストが登場して、イラストを描く才能がなくても画像が生成できることは、非常に良いと思っています（40代 男性）
・背景イラストを描くのが苦手なので、助かる（50代以上 男性）
生成AIを使うと、イラストスキルがない人でも、自分が思い描いたイラストを「ストックイラストの利用」や「イラストレーターへの依頼」をすることなしに入手できます。
イラストスキルがある人の場合も、「背景が苦手」「特定のテイストは苦手」といった苦手分野を補ってくれる存在として、生成AIを活用していました。
「自分では作成できないクオリティで絵を作成してもらえるので、仕事の幅が広がった」という体験談も。生成AIの助けを借りてスキルの限界を超えることで、ユーザーの活動範囲が広がるとわかります。
＜4位 新しいアイデアを得られる＞
・自分では思いつかない、斬新なアイデアが出てくる（20代 女性）
・自分にはない発想や技術による提案が得られるので、とても参考になる（50代以上 女性）
自分だけで考えていると、自分が見聞きしたものから得られる発想に偏りがちになります。しかし生成AIであれば、膨大な学習データをもとに、個人の経験にとらわれない、さまざまなパターンやバリエーションの案を提案可能です。
自分では思いつかない構図や彩色、組み合わせを見せてくれるため、新しいアイデアを得るために活用している人も多くなりました。
＜5位 単純に楽しい＞
・自身が好きなキャラクターの服を、好きな色やデザインに変えて楽しめた（20代 女性）
・想像通りの絵にするのが意外と難しくて、過程が楽しい（50代以上 男性）
生成AIイラストは、実用的なツールとして重宝されているだけでなく、遊び道具としても楽しまれています。活用方法としては「仲間内で楽しむ」と回答した人が多くなりました。
生成AIイラストを使ってみて困ったことは「思い通りのイラストが出ない」
「生成AIイラストを使ってみて困ったこと」の圧倒的1位は「思い通りのイラストが出ない（54.8％）」でした。2位「修正指示が伝わりにくい（18.0％）」、3位「権利関係に不安がある（13.2％）」と答えた人も多くなっています。
＜1位 思い通りのイラストが出ない＞
・望んだシチュエーションの絵が出せないことも多く、少し時間がかかりました（20代 女性）
・人間だとすぐ伝わることでも、指示によっては言葉をいろいろ変えても伝わらないことがあり、難しい。ニュアンスが伝わりにくい（40代 男性）
画像生成AIは、入力されたテキストでの指示を解釈して絵を作る仕組みのため、ユーザーの意図が細かく伝わらないことも。人なら簡単に理解できるニュアンスも、AIにとっては抽象的すぎたり曖昧だったりするからです。
また多くの画像生成AIは英語で学習しているので、日本語での指示だとAI側が意味を正確に掴みにくくなる可能性もあります。
画像生成AIは文字をイラスト化することにも弱点があるので、「文字を入れると、文字化けしたようになる」など、文字を入れ込んだ画像が思い通りに生成できず、苦労している人も多くなりました。
＜2位 修正指示が伝わりにくい＞
・何度やっても細かい指示が反映されなくてイライラした。修正しなくていい部分を勝手に変更されて、さらにイライラした（30代 女性）
・イメージと違った場合、修正を指示しても思い通りに修正できないことが多い（50代以上 男性）
現在の画像生成AIは、部分修正があまり得意ではありません。多くの画像生成AIが「イラストを修正するときには、丸ごと作り直す仕組み」になっているからです。人間のように「一部分だけ消して書き直す」「大枠を残して、部分的に上書きする」という作業ができないので、指定した箇所と関係ない部分まで大きく変えてしまうといったことも。
結果として「ここだけ直したい」というユーザーの意図が反映されにくいので、イライラしてしまう人も多くなりました。
＜3位 権利関係に不安がある＞
・「実は著作権上の問題や、類似のイラストがあるのではないか」とひやひやしてはいる（20代 女性）
・著作権の所在が難しいところだと感じています。著作権が保護されている生成AIはありますが、SNSなどに安易に投稿することでリスクは高くなるため、注意をして使用しております（40代 男性）
AIが生成した画像については、著作権や肖像権、類似性の問題に関するルールや法律の整備が十分に進んでいません。明確な基準がないため、ユーザー側も「SNSに投稿していいのか」や「商用利用していいのか」を判断しにくく、不安につながっています。
また画像を生成するためにAIが学習するデータについて、透明性がわかりづらいサービスも。そのため、AI生成イラストをSNSなどに投稿したとき、誰かの権利を侵害してしまうのではと心配している人も多くなりました。
＜4位 不自然な画像になりやすい＞
・手の組み方などで物理的におかしいイラストが生成されてしまうときに、難しいなと感じました（20代 男性）
・時折おかしな画像が生成されること。人間の指が多かったり少なかったり、姿勢がおかしいなど（30代 男性）
生成AIには、物理法則や人体構造の理解はまだ不完全であるという弱点があります。
そのため人間のイラストレーターや絵師であればしないようなミスや、人間が見ればすぐ不自然と気づくようなミスも発生します。
＜5位 生成に時間がかかる＞
・無料版のためか、作成に時間がかかった（30代 女性）
・生成するのにかなりの時間がかかることですね。聞いてはいましたが、こんなに待たされるものだとは思ってもいませんでした（50代以上 女性）
生成AIによっては、画像生成に時間がかかることも。テキスト生成に比べて画像生成の処理は複雑で、時間がかかりやすいという特徴があるからです。
クラウド型の生成AIだとサーバーが混雑することで生成に時間がかかるケースもあり、さらに無料版だと優先順位が低くなって時間がかかることもあります。
まとめ
生成AIイラストは、アイコン作成のような身近な場面から、ビジネスシーンでの資料作成、イラストデザインのアイデア出しまで、さまざまは場面で活用されています。便利だからだけではなく、楽しさや表現活動の幅を広げることを求めて使われていることも明らかになりました。
一方で著作権や肖像権への不安は根強く、「参考としてだけ使い、表には出さない」といった使い方を心がけている人も複数見られます。「生成AIが便利だ」「自分の可能性を広げてくれる」と考えている人は多いからこそ、安心して使える環境の整備が望まれます。
▽伊本貴士氏の考察
生成AIは驚くほど進化しており、漫画などを描くこともできます。一方で、そのクオリティについては、人間と同じ感性を持っているわけではありません。そのため、感情を揺さぶる作品を創るという点では、人間には及ばないと考える人が多いと思います。
アンケートを見ても、アイコン、サムネイル、挿絵、SNSの投稿画像など、質より効率が重視される用途で利用している人が多い結果となっています。生成AIが進化したとしても、高いクオリティは人間が、高い効率はAIが担う世界に向かうと思われます。
また、イラストのアイデア出しが2位となっていますが、人間の補助ツールとしてAIを使うなど、人とAIが協力して作業する場面がプロの現場でも増えています。つまり、イラストを描く力のある人が、AIをアイデア出しや下書き、色塗りの補助に使うことで、効率よくクオリティの高い作品を作り出すようになる可能性があると思います。
■監修者紹介
伊本 貴士
メディアスケッチ株式会社 代表取締役、サイバー大学 客員准教授
NECソフト株式会社（現 NECソリューションイノベータ株式会社）、フューチャーアーキテクト株式会社を経て、メディアスケッチ株式会社を設立。
企業のDX支援を主軸として、IoTデバイスやAI開発に関する戦略策定、研究開発支援、人材育成支援などを展開。
また、地方自治体への支援にも積極的に取り組み、地方版IoT推進ラボメンターやふくい産業支援センターDX戦略アドバイザーなどを歴任。
デジタル技術の伝道師として、フジテレビの『ホンマでっか！？TV』など、テレビやラジオなどの番組にも出演。
全国各地でDX、AI、サイバーセキュリティに関する講演活動を行っている。
著書
ビジネスの構築から最新技術までを網羅 AIの教科書（ https://amzn.asia/d/fPjtgCn ）
IoTの全てを網羅した決定版 IoTの教科書（ https://amzn.asia/d/4DE2Tgi ）
Webサイト
https://media-sketch.com/
http://imoto-takashi.com/
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■アタムアカデミーについて
アタムアカデミーは、子供の創造性を育てるオンラインイラスト教室です。2020年5月よりオンラインのイラスト教室としてサービス提供開始し、2023年７月現在、小中学生を中心に日本全国から生徒が通う日本最大級のイラスト教室にまで成長しています。
サービスサイト：https://atam-academy.com/online/
■株式会社アタムについて
株式会社アタムは、「イラスト教育により子供の可能性を最大化する」をビジョンにオンラインイラスト教室を運営するスタートアップです。
所在地：東京都港区
代表者：代表取締役 宮澤惇
コーポレートサイト：https://atam-academy.com/
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